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2004年06月16日
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カテゴリ:民法
契約が問題なく結ばれてても、履行期まで時間があいていて
壷は未だに三島さんの手元に有る場合があります。
そんなとき、お金に困った三島さんが
「壷は確かに清水君に売ったけど、現実に壷はここにある。
そうだ、この壷を蒲原達樹にも売って
蒲原からはすぐに現金をもらおう」
などと邪な考えを持ち、
実際に蒲原達樹に売ってしまったらどうなるでしょうか。

ここで、「契約によって所有権は清水君に移ったんだから、三島さんは無権利者となる。ということは蒲原達樹が即時取得しない限りは壷は清水君のものではないのか?」と考えた方、私の文章を本当によく読んで下さってまことにありがとうございます。

確かに、即時取得の要件は
1、動産であること
(=不動産でないこと)
2、売買などの取引行為によって占有をすること
(=売買などで物を手に入れること)
3、相手方が無権利者であること
(*相手方が無権利者でなければ通常の売買です)
4、平穏・公然・善意・無過失であること

であり、即時取得が成立するようにも思えます。

ですが、この場合は三島さんは全くの無権利者ではないのです。
所有権は契約によって一応清水君に移るのですが、
引渡しをするまでは三島さんにも所有権が残っていると考えられています。
ということで、三島さんは無権利者ではなく即時取得は成立しません。


では、どうなるのでしょうか。
清水君はもちろん所有権を手に入れています。
そして所有権を持っている三島さんから壷を手に入れた蒲原達樹も
所有権を手に入れています。どちらも所有権を手に入れていますが、壷は一つです。
一体最終的にはどちらに壷を帰属させれば良いのでしょうか。
このように、どちらも所有権を有していて対立している状態を
「対抗関係にある」といいます。
では、この対抗関係をどう処理すればよいのでしょうか。

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条 
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡がなければ、第三者に対抗することができない。

「動産」は不動産で無いものを言います。
そして「物権」はここでは所有権のことをいいます。
とすると、動産の所有権は引渡しが無ければ「第三者」に対抗できないと言うことになります。
では、「第三者」とは誰を言うのでしょう?
判例は「当事者もしくはその包括承継人以外の者で物権の得喪および変更につき引渡しの欠缺を主張する正当の利益を有する者」と言っています。
早い話、当事者以外で全くの無関係者で無い者と思っていただければ十分です。

本件では、壷は不動産で無いので「動産」です。
そして、今は壷の所有権が問題になっているので「物権」です。

また、清水君は三島さんと契約したのですから、清水君にとって
当事者は三島さんのみです。そして蒲原は三島さんと契約したのですから壷について全くの無関係者ではありません。
よって清水君にとって蒲原は「第三者」です。
逆に、蒲原からみれば清水君も「第三者」となります。

ということは、清水君も蒲原も、壷の引渡しがあれば
相手方に対抗できることになり、壷が最終的に帰属します。
このように、対抗できるようになる手段のことを「対抗要件」といい、動産では引渡しが対抗要件であると言うことになります。

本件では蒲原が壷の引渡しを受けていますので、対抗要件が蒲原にあることになります。
よって壷も最終的には蒲原に帰属することになります。

このように、契約で所有権は移転するのですが、引渡しを受けるまでは二重売りをされる可能性があります。
みなさんもお気をつけください。







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最終更新日  2004年12月23日 10時29分52秒
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