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カテゴリ:民法
さて、人を担保に取る保証はかなり恐ろしいと言うことは
分かっていただけましたでしょうか。 やはり、人より物を担保に取るのが安全ですね。 まず物を担保に取るといって思いつくのは質屋さんですね。 法律的には質屋さんのように物を担保に取ることを 「質権を設定する(しちけんをせっていする)」と言います。 では、質権について検討していきましょう。 まずは条文をご覧ください。 第三百四十四条 質権ノ設定ハ債権者ニ其目的物ノ引渡ヲ為スニ因リテ其効力ヲ生ス 質権は物を担保に取ることが目的ですから、 実際に物を渡さなくては質権の契約が成立しません。 清水君が三島さんからお金を借りるとき 三島さんが質権を設定したいと思ったら 三島さんは清水君から実際に物を手に入れなければ 質権は成立しません。 (もちろん、お金の貸し借りについての契約はお金さえ 渡せば成立します) これも、こう考えれば分かるでしょう。 質屋さんがお金を借りていった人に「あなたは物を渡さなかったじゃないか。 早くよこせ」と裁判するなんて事があるでしょうか。ありませんね。 ですから、質権は物を実際に渡さないと成立しないのです。 この質権で面白いのは、流質契約は一応禁止されていると言うことです。 つまり、「お金を返せなかったら、貴方の物は返しませんよ」と 言うのは禁止されているのです。条文もあります。 第三百四十九条 質権設定者ハ設定行為又ハ債務ノ弁済期前ノ契約ヲ以テ 質権者ニ弁済トシテ質物ノ所有権ヲ取得セシメ其他法律ニ定メタル方法ニ依ラスシテ 質物ヲ処分セシムルコトヲ約スルコトヲ得ス 「質権設定者」はお金を借りる人、「質権者」はお金を貸した人です。 つまり、お金を貸した人に所有権が移るような契約をしてはいけませんよ、 といっているのです。 「あれ?」と思うでしょう。「じゃあ、『質流品大特価』という チラシを見たことがあるけど、あれは何?」とか、 「実際に質屋に流されたぞ!あれは違法なのか?」 とかお考えになる方もいるでしょう。 実は、「其他法律ニ定メタル方法ニ依ラスシテ」というのが曲者です。 質屋さんはその質屋さんに対する法律で質流れが認められています。 個人が勝手に質流をすると違法なのでご注意ください。 さて、明日は不動産を担保に取る方法をお話しましょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月04日 08時48分22秒
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