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カテゴリ:民法
不法行為が成立するには、
1、故意または過失ある行為によって 2、他人の権利を 3、正当な理由無く侵害して損害を発生させたこと 4、行為者が自分の行為正当な理由が無いことを認識していること 5、行為と損害に関係があること でした 今日は4についてです。 これは、刑事事件でも良く問題になる責任能力のことです。 自分の行為に正当な理由が無いことを認識していない と言うのは、幼児などを想定してください。 例えば清水貴君が三島さんの車に傷つけてしまったとします。 もちろん、普通なら不法行為です。 しかし、清水貴君が3歳ならどうでしょうか。 3歳くらいなら、まだ車を壊すことがいいことか悪いことか 区別がつかないでしょう。 つまり、自分の行為に正当な理由があるかどうかなどわかっていません。 これが、自分の行為に正当な理由が無いことを認識していないということです。 この場合、「行為者が自分の行為に正当な理由が無いことを認識していること」と言う不法行為の要件を満たさず、不法行為が成立しません。 条文はこちらです。 第七百十二条 未成年者カ他人ニ損害ヲ加ヘタル場合ニ於テ 其行為ノ責任ヲ弁識スルニ足ルヘキ知能ヲ具ヘサリシトキハ 其行為ニ付キ賠償ノ責ニ任セス では何故、自分の行為に正当な理由が無いことを認識していない場合には損害賠償しなくてもいいのでしょうか。 それは、自分の行為に正当な理由が無いことを認識していないような小さい頃の行為で一生賠償責任を負わせるのは酷と言う判断からです。 物心つく前にした行為で、物心ついた後に賠償しなくてはならないとなったらそれは辛いでしょう。 ですから「行為者が自分の行為に正当な理由が無いことを認識していること」という要件が必要なのです。 しかし、これでは車を傷つけられた三島さんは泣き寝入りですね。 そこで、清水君の親御さんに責任を取ってもらうのです。 第七百十四条 前二条ノ規定(引用者注・712条のこと)ニ依リ無能力者(=幼児など)ニ責任ナキ場合ニ於テ 之ヲ監督スヘキ法定ノ義務アル者ハ其無能力者カ 第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス 但監督義務者カ其義務ヲ怠ラサリシトキハ此限ニ在ラス 「監督スヘキ法定ノ義務アル者」とは親権者つまり親のことだと思って下さい。 親は、幼児のしたことについて責任を取らねばなりません。 ただし、親がちゃんと監督していることを証明すれば親も 責任を取らずに済みます。 これで、第5章は終了です。 また、「5、行為と損害に関係があること」と言うのはそのままであります。 ということは、今日で不法行為編は終りです。 お疲れ様でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月04日 08時46分03秒
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