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2007年09月10日
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テーマ:ニュース(99469)
カテゴリ:光市事件


橋下弁護士が「たかじんのそこまで言って委員会」で、懲戒請求した方には不法行為が成立しないと言う理由を説明されていました。

私も以前ご説明したとおり、平成19年4月24日判決によれば、懲戒請求をする者には調査検討義務が課され、調査検討義務を怠ると不法行為が成立すると考えられます。

これに対し橋下弁護士は、「平成19年4月24日判決は、当初から事件に関わっていた人が懲戒請求した事案である。しかし、光市事件の場合は、懲戒請求した人は事件に関わっているわけではないので、事案が違う。だから、光市事件の場合は不法行為が成立しない」と言う旨をおっしゃっていました。

ここで、判決文の仕組みについてご説明いたします。
1、判決文は、まず、抽象的な基準を示します。
2、次に、1で挙げられた基準に事案をあてはめます。
3、そして、結論を出します。

そして、抽象的な基準の部分は、いわゆる判例として、今後も通用していくことが多いです。
平成19年4月24日判決においては、
「同項に基づく請求をする者は,懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものというべきである。そうすると,同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。」
この部分が抽象的な基準の部分です。

そして、
「Y1は,法律家ではないとしても,Aによる別件仮差押事件の申立て当時から,その代表者として上記申立てを含めて事業活動を行っていた者であり,Bによる足利支部に対する別件損害賠償訴訟の提起が正当な訴訟行為であり,何ら不当なものではないことを十分に認識し得る立場にあったということができる。そうすると,Y1は,通常人としての普通の注意を払うことにより,本件懲戒請求等が事実上,法律上の根拠に欠けるものであることを知り得たにもかかわらず,あえてAの代表者としてこれを行ったものであって」
この部分が事案を当てはめている部分です。

最後に、
「本件懲戒請求等は,弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められ,Y1は,本件懲戒請求等による上告人の名誉又は信用の毀損について不法行為責任を負うというべきである。」
この部分が結論です。

と言うことで、平成19年4月24日判決と今回の事件とは事案が違うと言うのは、橋下弁護士のおっしゃるとおりでしょう。
ただし、判例で示された基準に、「当初から事件に関わっていること」が入っているわけではありません。ですから、当初から事件に関わっていなくても、判例で示された基準にあてはまってしまえば、不法行為が成立します。

ちなみに、確かに、判決の中には「事例判断」等と言って、ほとんど同じ事案でない限り判例としての通用力が無い判決もあります。
しかし、どの判決が「事例判断」なのかは学者や弁護士の方々でも争いがあることが多く、「事案が違うから大丈夫」と断言するのは怖いものです。
例えば、弁護士の先生が一生懸命判例を引用したのに、裁判所から「弁護人の引用する判例は事案を異にし、妥当でない」と言われたり、逆に「○○という基準は、当裁判所の判例とするところである」とあっさり判例引用を認めてくれたりすることも有ります。

ですから、橋下弁護士のご説明は、平成19年4月24日判決が事例判断であることを前提としたものだと思います。そして、この判決が絶対に事例判断でないとは言えませんが、逆に絶対不法行為が成立しないとも言えないと思います。
少なくとも私は、平成19年4月24日判決がある以上、仮に光市事件の弁護団を批判すべきと考えていても、「懲戒請求しましょう」なんて怖くて言えませんし、自分も懲戒請求なんて出せません。

と言うことで、橋下弁護士のご説明を聞いても、まだまだ安心は出来ないと思います。



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最終更新日  2007年09月10日 20時38分03秒
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