テーマ:今が旬の話(414)
カテゴリ:時の話題・9条の会
今週末に与党「教育基本法改定案」は、衆院を通過しようとしている。
文部科学省は、教育基本法改定案を11月に成立させることを前提に、全国学力テスト実施を盛り込む、「教育振興基本計画」の策定にむけて、来年までのスケジュールを立てていたことが明らかとなった。このスケジュールに沿って、今週末10日には衆院を通過させようというのが、与党の予定表である。 前の国会後、教育基本法の改定の根幹を、揺るがすような教育に関する新しい問題が、次々に起きている。 さらに、青森県八戸市では、「教育改革タウンミーティング」で、内閣府が、タウンミーティグ開催前に、与党「教育基本法改定案」に賛成するように、政府が県教育委員会・教育庁に「やらせ質問」の3つのひな型(質問項目案)を送って、発言者に依頼して、タウンミーティングで、発言候補者に発言させていた。いわゆるやらせである。 文化省作成の質問項目案の発言者には、「せりふの棒読みは避けてください」「『依頼されて...』というのは言わないでください。」「あくまで自分の意見を言っているという感じで」などと細かに発言の仕方の注意点まで指示するという手の込みようである。 タウンミーティングとは、小泉首相が01年の就任直後から「国民の対話」を掲げて始めた、国政への民意の反映、住民参加をめざして始めたものである。開催費用は昨年度は1ヶ所につき、1100万円にものぼっている。小泉政権5年余りで174回開催された。 開催に費やされている税金は膨大である。 このような「やらせ」は、今までにもやられていたに違いない。民主主義の仮面をかぶって、民意を自己に有利に導こうとしている。(民主主義とは相容れないことが公然と行われている。) これが『規範』を国民に強要している者たちのやっていることである。 教育基本法に書かれている「教育の目的」「教育の方針」は、急いで改正しなければならないような内容ではない。 世界に誇れるものである。 教育を時の国家の奴隷から解放し、人類普遍的価値への奉仕者になることを高らかに謳いあげたのが現在の「教育基本法」である。 個人の尊厳や基本的人権や自由を身につけた、「人格の完成」をめざすことを目的に掲げているのが、現在の『教育基本法』なのである。 安倍政権のめざす教育は、時の統治機構である『国家』に忠誠で、物言わぬ「国民の育成」を教育の目標の柱の一つに付け加えた。 国民の現在の『教育崩壊』を大々的に宣伝しているのは、国家危機をあおり、それを収拾するのは、「国家」の唱えるお題目・「規範」を有無言わず守らせ、守れないものには、罰則で縛ってしか方法はないと国民を脅す為である。 急がなければ益々混乱するぞと脅しをかけている。 若者達が、幼く社会性がなく、生きる力を付けないまま、大人になって社会に放り出されて、さまざまな問題が発生しているのは、安部政権のいっている「国家」を愛するモラルが無いとか、自由ばかり強調して義務を疎かにしているとかという「道徳」からきているのではない。 現代の社会のありよう、まさに安倍政権が最も力を入れている「経済成長」のためなら、なんでもありの経済のありよう、そのための競争が社会の活力だとするような、世界観、そこから生じるもろもろの文化のありよう、とても複雑なところにその原因がある。 安倍政権は、本気で「教育再生」などしようとしていない。 人間性が豊かに開花する社会は、高い品性、知性を開花させる社会だ。 高い人間的な「人格の完成」を教育の目標に掲げる現行の「教育基本法」は、国家の要請する「国民の育成」を目標にする与党の『教育基本法改定案』に取って代わろうとしている。 日本の社会は、今、質的に異なる大きな転換点にある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.11.10 06:27:30
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