タダでは起きぬ
今朝8時過ぎ。船橋発総武快速線の一触即発殺人的ぎゅうぎゅう詰め車両内でそれはもう殺気立った常連乗客にグイグイごりごり押されながら久しぶりの通勤地獄を味わったワタシ。いつもと1時間違うだけでこうも通勤快適度は変わるのか。10時始業がこんなにありがたく思えたのはいつ振りだろう。そんな目に遭いながらも営業開始13分前に到着したのは駆け込み寺的存在として有名な秋葉原の某パソコン修理やさん。ハードディスクが壊れたとおぼしきMacBook@おうちを抱えて行って来たのだ。ライダーズビルという、名前からしてニカっとしちゃうビルの2階。9時を30秒過ぎたごろ中へ入ると、ノリのよい60歳くらいのおじさまが「修理?ずいぶん早いお越しですねぇ。ささどーぞ」と出迎える。修理?って、ココ修理屋さんでしょ?と突っ込むほど今朝のワタシは気丈夫じゃなかった。いったいいくらかかるんだか、中古を買った方が安かったりするのか、難しいこと聞かれやしないか、ヘタレと見抜かれてぼったくられないか、そんなことがアタマの中のほとんどを占めていたからだ。が、不思議と緊張感を覚えなかったのは、にこやかに迎えてくれたおじさま店員さんのキャラとお店の雰囲気のせいか。というか他2名の店員さんはにこやかに遅刻で入ってくるし。種々雑多なパソコンが整理整頓されるふうでもなく置かれた店内は修理屋さんとはいえ「店頭」としてそのとっちらかりようはどうなのかしらんと思わないでもない風情。工具やパーツをどけてこしらえたスペースにMacを出すよう促されこれまでの経緯をざっと説明。「うん。ハードディクがダメになってますね。原因はメディアプレーヤーだかのダウンロード。みなさん、よくやるんです。入れても相性が悪かったのね」いやいやいやいや。入れますか?って聞いてくるんだもん。ちゃんと入ること前提だと思うよわ。それでいらん修理費用がかかる事態になるなんて、まるで犯罪じゃあないか。「いろいろ説明が書いてあったでしょ。バックアップ取ってからいれとか」うん。たぶん書いてあったんだろうし、きっと書いてあるはずだけど、電気製品買ってもまずマニュアルなんて読まないもん、ワタシ。読まんよ。「じゃあちょっと開けてみましょうかね」ここでやっとひっくり返されたMacBook。「えーっと。あれ…?えーっと、どこ行った。ドライバーはどこいったー。えーっとね。うふふっ、開店直後なんでね。準備がね…、あー、あったあった。IT産業の最前線はアタマの切れまくった電脳デジタリアンが牽引しているんだろうけど、ワタシのようなパソコン関係へっぽこ人間にはこの手の“普通に機械に詳しい店員さん”がすごくありがたい。やっと出て来たドライバーを使ってバッテリーをすっとはずしハードディスクを取り出したおじさま店員。ドライバー同様、しばし探したテスト用のハードディスクを入れたらご無沙汰していたブルーバッグのデスクトップが現れた。「ね。ハードディスクだね。最悪データは取れないかもしれませんけどね。」はい、もう多くは望みませぬ。再び動いてくれれば御の字でござそうろう。「うちのシステムはね、手数料8,000円。後は故障の内容によって変わります。ハードディスク交換と…、あとメモリどうします?増やす?今はこれは…10.4.1か…。上げときます?」壊れた箇所を修理するだけでおしまいかと思いきや、カスタマイズメニューを繰り出すおじさま店員。壊れる前よりももっと頼もしく楽しく美しいMacに仕上がるよう料金がかかるもの、かけずにできるものをそれぞれ提案してくれる。まるで美容院でその日のメニューを決めてる感覚。ナイスだ。スタイリッシュで混んでて下手に質問なんかしちゃっても理解できる答えが返ってきそうな気がしない例えばGenius Barよりもデジタル危機といえどもどこかアナログ感たっぷりなこんな店がいいな。今後は故障時だけじゃなくって“どうにかしたい”時に電話相談しちゃいそう。ワタシにとっては決して安い修理費用ではなかったけれど、久しぶりの秋葉原の街がずいぶんと明るく見えたのだった。