|
チリ鉱山の落盤事件で
無事、全員が救出されましたね。 助かったのが「全員」というのがよかったです。 誰もが真っ先に地上へ出たいはずなのに 救援カプセルが地下に到着したときには 「私は最後でいい」と 譲り合いがあったそうですね。 息苦しく真っ暗な密室に、長期にわたり 閉じ込められていながらも、人間というのは やさしさを持てるものなんですね。 私は、こうした人間の姿に 感動したり、学んだりします。 もしも宇宙で、外界と連絡が取れなくなり 宇宙船も壊れ、何もない惑星に取り残されたら どのような集団行動を取り どのような生活を送っていくのか・・・ 大いなる絶望とかすかな希望の物語 藤子・F・不二雄先生のスコシフシギな SF短編『宇宙船製造法』を読んでみましょう。 ■ 宇宙船の故障 少年たちの乗っていた宇宙船は 大きなダメージを受け、壊滅状態となってしまった。 ■ どうにか着陸 せめてもの救いが、水と空気のある 地球型惑星に着陸できたことだった。 ■ 地球に帰れない メンバーの一人、堂毛がカッとなる。 ■ いいがかりをつける 宇宙船を運転していた小山に 怒りをぶつける。 ■ 小山に責任はない 宇宙船は、どうやらワープをした際に 事故に遭ってしまったらしい。 ■ 銀河の果てに来てしまった・・・ 現在位置を調べてみたところ、銀河の端におり 連絡を送っても20万光年もかかるという・・・ ■ 地球に帰れる望みは絶たれた・・・ メンバーの中の2人の女性は泣き出してしまう・・・ ■ 度々いいがかりをつける堂毛 気の荒い堂毛は、またしても他人に責任を押し付けた。 少年たちは、春休みの旅に宇宙へ出ていた。 ■ 気が休まらない ユカという少女は、とても寝られる状態ではなかった。 それでも、小山は寝るようにいう。 ■ 希望を捨てるな いかに絶望的な状況でも、何があるか分からない。 小山は希望を捨てていなかった。 ■ 小山は語る 宇宙船そのものは動く。パワーも残っている。 表面的な故障さえ直せれば、希望は持てると小山は説明する。 ■ 志貴杜(しきもり)には現実を見ていないといわれる リーダーの志貴杜は、小山の考えに否定的だった。 まったく現実的でないという結論を出されてしまう。 ■ 宇宙船の話は聞いてもらえなかった 食料も尽きるので森で食物を収穫、農畜も検討など まずは生き延びることを考えるべきとの意見が出る。 ■ 事件が起きる・・・ ■ リーダーの志貴杜に逆らう 自分勝手な不満で、短気な堂毛は 志貴杜に反抗する。 ■ 堂毛が暴力を振るう ■ 手当てを受ける志貴杜 メンバーは8人いたが、皆が 乱暴者の堂毛に怖気づいてしまった。 ■ 翌日メンバーたちは団結する 銃も持っていたが、銃は使わないと決め 全員、素手で堂毛に立ち向かった。 ■ 皆が堂毛と戦う ■ 暴力を犯したら刑罰を実行 この星では、ここが自分たちの国であり、全員で 規律、法律、約束事を決めていた。そして実行した。 ■ 突然動き出す宇宙船!! 後半、物語は大きく動き出します。 宇宙船は、サイレンを鳴らし、全員が乗り込むと・・・ ■ 宇宙船を直す方法を発見!! いつも宇宙船修復のことを考え、地球に帰る希望を 持ち続けた小山は、あるヒラメキが生まれた!! ■ しかし勝手な行動は規則違反だった 思いつきだけの、危険な賭けは許されないと 志貴杜は、小山の勝手な行動を止めようとした。 ■ ユカが止めに入る いつも、小山のそばにいて、彼の思いを知るユカは 志貴杜の持っていた銃を奪い、止めに入った。 ■ 小山に賛成するメンバー ■ そして皆が賛成をする 宇宙船を勝手に動かし、誰にも話すことなく 独断行動を取った小山だったが、皆から賛同された。 ■ 小山を応援し握手を交わす堂毛 小山の考えた方法は、可能性が低いものだった。 確実な安全も保障されていなかった。しかしメンバーは応援してくれた。 宇宙の果てに取り残された少年たちは 無事、地球に帰ることはできるのか・・・!? NASAでは、スペースシャトルの搭乗メンバーの選出は 技術、体力、知識などの他に、性格も重視しているそうです。 自由の利かない、孤独で密室の宇宙空間&シャトルでは メンバーの協調が保たれないと、任務が遂行できないからです。 「宇宙船製造法」の堂毛のように和を乱す者がいたら大問題です。 チリ鉱山の事件と違い、「宇宙船製造法」の少年たちは 地球型の惑星の着陸で、自然との触れ合いもありますが 地球に帰ることができない、という事実は 地下に閉じ込められることよりも、途方もない絶望といえるでしょう。 ラストに分かる宇宙船復活の必殺技も スゴイのですが、絶望に直面した人間たちの ドラマがあります。集団行動、団結や協調の難しさ 希望を持つことの大切さなど、数々のことが見えてきます。 人との付き合いが薄れ、コミュニケーションが 上手く取れなくなった現代人には 学ぶことが多いかもしれませんね 少年SF短編集 [未来ドロボウ] 【宇宙船製造法】収録 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[『藤子・F・不二雄 先生』 SF短篇 Perfect] カテゴリの最新記事
|