祖母の薔薇
我が家の花壇では、今、祖母の愛がいっぱい花開いています。数年前、亡くなった祖母は、私たち家族に『感謝する気持ち』の大切さと、『真の愛情』の大切さをその身を以て教えてくれました。血の繋がりがあるなしに関わらず、祖母は子どもたちを愛しみ、可愛がってくれました。半身の自由が利かない不自由な身体で、こんぶをしっかりと抱きしめ、子守りをしてくれました。大してお役に立てていないだいこん母に、「子どもたちを育ててくれてありがとう」「美味しいおかずをありがとう」「話を聞いてくれてありがとう」と、たくさんの『ありがとう』をプレゼントしてくれました。祖母の愛があったからこそ、今のおでん家はあります。どんな時にも不平不満は一切言わず、いつもにこにこと「ありがとう」と感謝し続けた祖母。人は、「ありがとう」と言われる経験を通して、自己肯定感を高めていきます。かつて『継母』であることを理由に、「次男くん、可哀想」と言われ続け、傷付いた心を慰めてくれたのも、祖母の「ありがとう」でした。祖母の大切にしていた薔薇は、今ではおでん家の花壇を飾っています。祖母亡き後、祖父がわざわざ株分けして、我が家の花壇に移してくれたのです。祖母の形見といっても過言ではない大切な薔薇を、快く株分けして譲ってくれた祖父の懐の大きさにも感謝しています。何しろ素人が育てるのです。枯らす危険があるにも関わらず、の決断ですから…(笑)薔薇が花を咲かせるたび、祖母の深い愛情を思い出します。祖母はいまでも、未熟な私たちを見守ってくれている、と信じています。