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2015.05.16
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
60年代のアメリカの少年が主人公の冒険小説の下巻を読んだ。

○ストーリー
アラバマ州の小さな町ゼファーに住む少年コーリーの1年間が語られる。上巻は「燃える秋」「冬の冷酷な真実」の2章で構成されている。秋になり新学期が始まり,コーリーは学校へと戻る。いつも通りの秋のはずが,愛犬と親友の死を経験し,父親は失業してしまう。そして冬が訪れ,コーリーは1年近く前に目撃した殺人事件の犯人の正体にたどり着く。だが犯人に監禁されてしまったコーリーは?

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春,夏の上巻と来て,秋,冬の下巻だが,予想以上に厳しい運命が主人公・コーリーを待っていた。

全体の流れは上巻と同じで,アメリカ南部の田舎町の少年の生活が克明に描かれ,それと同一地平線でファンタジックな世界も描かれる。ただひどい目に遭う人々が,上巻では脇役だったのに,下巻では主人公により身近な人々になっているので,季節感だけでなく,全体的に重い印象となっている。

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多少ダークな色合いが増えているけれども,60年代のアメリカと並行して描かれる空想的な世界もひじょうに魅力的だ。

アメリカ原住民の知的な酋長による矢尻,見世物小屋のトリケラトプス,主人公と一緒に旅行をする怪物たち,町外れに住むギャング一家と保安官の撃ち合い,黒人の公民館の爆破騒ぎ,そして殺人犯からの逃亡。

少年時代を懐古している作品なので,誰が書いても願望に裏付けされた脚色が入ってしまうと思うが,それをファンタジーまでぐっと振り切って描いたマキャモンの手腕は素晴らしいと思う。その境界はあいまいで,どこまでが現実か?どこまでが当時の空想か?どこまでが記憶の改ざんか?どこまでが小説的な脚色か?・・・少しも区別がつかない。

これがこの作品の魅力だと思う。

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下巻を通じてさらに困難な立場となっているのが主人公の父親・トムだ。早春に殺人事件の被害者を目撃するというトラウマにより悪夢にうなされるようになり,けれども”まじない的”な文化を担っている黒人の隣村に相談に行くには白人としてのプライドが邪魔をしている。下巻ではそれに加えて,郊外にスーパーマーケットが出店したことによる失業という事態が発生する。

そんな不幸な状況にありながら,トムは責任を他人に転嫁することなく,また町の正義の危機には立ち上がり,そして何よりも息子・コーリーに対して常に頼れる存在であり続ける。

現実的にそうした存在がいたか,あるいは自分がなれたか,ということは置いておいて,この作品で父親・トムが迷いつつも正しい答えを出す姿が描かれることで,それが背骨として作品世界の空気を決定していることは否定できない。

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さて第5章で,コーリーは成長して,妻子とともに25年ぶりに故郷・ゼファーを訪れる。短い章の中に息が詰まるほどのノスタルジアが埋め込まれていて,これまでの物語で主人公の少年時代を共有してきた僕らにも,胸にぐっと来る仕掛けだった。

全てがきれいに収まったわけではないけれども,祖父,父,自分,そして子供へと勇気をつないでいく素晴らしい作品だった。現実の我々には,なかなか出来ないことだけどね。










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Last updated  2015.05.17 19:09:40
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