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2016.06.12
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
最近読み始めた月村了衛のデビュー作を読んだ。

○ストーリー
警視庁特捜部は,刑事部にも警備部にも属さない全く新しい組織だ。外務省キャリア出身の沖津部長は,警視庁の様々な部署から人材をスカウトして驚かれ,突入部隊〈龍機兵〉の搭乗者には,外部の傭兵や犯罪者上がりを雇って呆れられた。SATの機甲隊が全滅した事件の真相は,実は特捜部への挑戦だった。警察内部にも敵を抱える中,特捜部の刑事と搭乗者たちは,次のテロを阻止しようとする。だが・・・

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都内で発生する機甲武装による立て籠もり事件。通常の警察では歯が立たず,組織のはみ出し者で構成されたチームが,新型の機動兵器で出動する。

・・・冒頭の展開は,まるでSFアニメの第1話だ。エスカレートする犯罪者の重武装化,主人公たちが所属する組織と既存の警察組織との軋轢,シニカルな搭乗者たち,圧倒的な能力を持つ機動兵器。

読んでいて,「これって評価高いけれど,ただのSFアクションのラノベか?」と心配になった。

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ところが,最初の事件が決着を見せてから,物語の骨格が見えてくる。これはSFと警察小説の両立を極めようとした珍しい作品だ。

〈龍機兵〉の搭乗者の前歴は,SFアニメ的な範疇に留まり,その筋では有名な傭兵の日本人の姿,元ロシア警察官の巨漢・オズノフ,元IRFテロリストの美女・ラードナーの3人だ。

このSFアニメ的な3人の周りを固める警視庁特捜部については,克明に描かれていて驚く。

沖津部長の次官として2人の理事官がいる。育ちが良く性格も穏やかな城木,警察庁出身で手続きと前例にこだわる宮近。全く性格の異なる2人は同期のキャリアで親友で,それぞれの方針で特捜部をきちんと運営しようとする。

特捜部の中に捜査班が存在することが,この作品の目新しさだ。その主任として由起谷,夏川の警察学校同期の2人がいる。色白で美男の由起谷,角刈りで柔道家の夏川だが,2人は親友で,警察官の友人たちから裏切り者扱いをされるのに悩みつつも,捜査にまい進する。

また〈龍機兵〉を運用する関係で,特捜部内部に技術班も存在する。その主任として設備全体の保守整備をするのが,まだ20代の女性・鈴石だ。彼女は天才的な技術者だが,家族をIRFのテロで失ったという過去があり,搭乗者の1人・ラードナーを憎悪している。

おっと,最後の技術班主任については余計だったが,理事官,捜査班と,通常の警察小説で登場する,キャリア,ノンキャリアを2人ずつ配置し,それぞれの正義,それぞれのプライドを語らせることで,作品がひじょうに立体的にリアリティを持つようになっている。

警察組織内部の実態や軋轢は,結局は間接的にしか知ることは出来ない。それでもこの作品で描かれるそれは,僕らが聞き及んでいるそれと違和感がなく,SFアニメっぽい要素と両立させることで,ひょっとしたら,と思わせる世界観が出来上がっている。

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もともと文庫版で出版されていたシリーズだが,第3作以降がハードカバーで刊行されることとなり,〈完全版〉として最初の2作も同様のフォーマットで出版されている。

第1作目からも,シリーズ化前提だったらしく,登場人物の過去は姿について掘り下げられるのに留まっている。同じ〈龍機兵〉の搭乗員のオズノフとラードナーは,過去についても軽い描写だし,ぶっちゃけ活躍もあまりしない。(とくにロシアのおっさん)

また特捜部を上げての大捜査についても,最後の最後で「わかりませんでした」で終わっており,この作品を読んだだけではスッキリ感は薄い。

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SFアクションかつ,警察の問題も描いたというと,あれやあれを思い出させるけれど,文体はきっちりした推理小説風で,これを安易に映像化してしまうと,この空気は再現出来なそうだ。

まったく新しいジャンルを目指してチャレンジしている月村了衛。もっと掘り下げてみたい。オススメだ。












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Last updated  2016.06.12 18:38:33
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