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2016.08.03
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
古美術商・宇佐美陶子のミステリー〈冬狐堂シリーズ〉の第1作を読んだ。

○ストーリー
古美術商・宇佐美陶子は,同業者・橘から贋作の硝子碗を掴まされ,激怒する。彼女と数名の仲間は,橘の後ろ暗い商いを糾弾するために,橘に対して贋作を用いた復讐を計画する。その一方で,橘は世界最高峰の科学的分析技術者と提携する。さらに橘の店の外商が殺害され,その容疑者の1人として陶子の名前が上がった。果たして陶子は復讐を遂行するのか?

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北森鴻の〈蓮丈那智シリーズ〉は,続けて読むと情報量に圧倒されるので,間隔を空けることにした。そこで,ゲスト的に登場した〈狐〉こと宇佐美陶子の作品を読むことにした。

〈蓮丈那智シリーズ〉では日本史への理解度が読者に求められたが,今回は日本美術への理解度が求められている。

今の時代のジャポニズム礼賛ブーム(かなりはっきりとマスコミで作り上げられている)のおかげで,僕も日本の美術品が備えている様々な技術を知ることになったが,日本美術の流出の歴史とまだまだ理解が不足しているその超絶技巧までを含めた状況を,20年前の1997年に作品の中に結実した意義は大きいと思う。

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あらすじだけ追う〈冬狐堂〉の宇佐美陶子と,彼女目線のそれは大きく異なる。〈冬狐堂〉の彼女は,贋作に騙され,それに復讐するために男と寝て,その過程で男に身体を弄ばれ,拉致され暴行されかける。

まるで読者サービスのように,危険な状況に陥る宇佐美陶子だが,そこに至るまでにかなり攻撃的なので,あまり同情を得るには至らない。

そうした卑近なことよりも,悪人も含めて登場人物のほとんどの人が,日本美術の価値をきちんと理解していて,それを基準として物語が展開される。たぶんそれが北森鴻の本当の読者への挑戦だ。

10年前,5年前,この作品を読んでも,簡単に振り落とされてしまったという気がする。今の時代を背景に,なんとか僕でも着いていけた。不思議な状況を喜ぶのと一方で,北森鴻の早過ぎる死を残念に思う。

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こうして〈冬狐堂シリーズ〉を読んでみると,どんな形であれ学者として認められた〈蓮丈那智〉と,市井の〈旗師〉の宇佐美陶子の立場は大きく異なる気がする。

長編で始まってしまって,様々な思惑に左右されそうな陶子と,短編で始まり,色々な状況に斬り込める状況の〈蓮丈那智〉は立場が異なるのだが,それを勘案しても,〈冬狐堂〉の続編を待ち望む気持ちを抱くのは,素直な心根だと思う。

勝手に完成している天才タイプの〈蓮丈那智〉よりも,悩み続けて成長をする〈冬狐堂〉の方がよほど魅力的だと思う。

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条件を絞り込むとますます少ない対象へのメッセージとなってしまうけれど,ミステリーファンと古美術ファンへのオススメ作品だ。









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Last updated  2016.08.03 20:39:31
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