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カテゴリ:読書
生き地獄天国雨宮処凛 書籍としては雨宮処凛のデビュー作となる自叙伝。 子ども時代はアトピーが原因でいじめられた。14歳からビジュアル系バンドの追っかけを始め、その後バンドメンバーとのセックスを目的にした「ファック隊」に加わる。 自殺未遂の後、人形作りに魅かれて弟子入りするが、アトピーの悪化で断念。やがて右翼団体に参加。愛国バンドパンクを結成。そして北朝鮮訪問、右翼団体を脱会、イラク訪問・・・といった遍歴が描かれている。 この人の生き方に共感する、と言ったらウソになる。 でも・・・ 古くは中曽根、最近では小泉のような政治家に、自民党政治の被害者であるはずの若者が熱狂する、という傾向はよく理解できなかったのだけど、本書を読んで何となくわかるような気がしてきた。 人は世の中に「生きにくさ」を感じた時に、自分を束縛する何かを求めてしまうのだろう。雨宮処凛にとってはそれが右翼団体などだったのだけど、しだいに疑問を持つようになる。それまでの入れ込み方が尋常ではなかったからこそ、その落差が激しい。しかも彼女はそれまでの行動を自己批判的に全否定しているわけではない。そこに不思議なくらいの説得力がある。解説で鈴木邦夫氏が「現代の聖書」とまで持ち上げているのも大げさではないと思う。 彼女はいわゆるロストジェネレーションに含まれる。阪神大震災と地下鉄サリン事件が起き、そして日経連の「新時代の日本的経営」が発表された1995年に20歳になっている。まさにこの国の「生きにくさ」が露呈した年であるし、それは着実に悪化しながら現在まで続いている。 「曲がったことは許せない」という若者も年を経ると「曲がったことは直せない」とあきらめるようになってしまう。でも年取った若者もこの「聖書」を読めば、雨宮処凛のように生きてみようか、と思うに違いない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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先に書評を書かれてしまいました。
彼女が苛められて、小学生を殺そうとして公園に連れて行ったくだりにものすごい「真実」を感じましたし、やはり彼女が信じられているゆえんだと思います。 連合赤軍の元議長塩田とまで仲良くなる、才能は素晴らしい。 近々記事に起こします。 (2008.07.01 00:13:23)
KUMA0504さん
>先に書評を書かれてしまいました。 ----- 雨宮処凛については、まだどう見たらよいのかわからないんです。なので、もう少し彼女の言動に注目してみたいと思っています。 (2008.07.01 20:04:15)
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