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カテゴリ:映画
監督 李相日
少しあらすじ 若い女性保険外交員が殺され、その直前まで彼女を車に乗せていた金持ちの大学生(岡田将生)に疑いがかけられる。しかし捜査が進むうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。 祐一は出会い系サイトで知り合った光代(深津絵里)に、殺人を犯したことを告白する。 感想 実は、殺人を犯した男に感傷的に肩入れする作品という先入観を持っていたので、結果的には予想より良い作品だった。 出会い系サイトに出会いを求める光代、セックスにしかはけ口を見出せない祐一、二人の孤独感が短い時間の中でうまく描かれているので、二人が惹かれあう展開に不自然さがない。 被害者の父(柄本明)が呟く「今の世の中、大切な人がおらん人間が多すぎる」というセリフに一番大切なテーマが込められていると思う。大切な人に出会うのが少し遅かったのが、光代と祐一なのだろう。 その範囲で観る限りは良い作品だと思う。 問題は、祐一が光代に殺人を告白し、犯罪に至る場面の回想シーンである。まるで被害者の方に非がある、という展開だが、それは祐一の主観に基づくものなのか、客観的なものなのか。祐一の主観であるなら、ある程度自分に都合良くゆがめられたものと解釈もでき、その意味での納得性もある。 しかし、このシーンは祐一の知る由もない大学生の車の中での出来事とつながって描かれているので、あくまでも客観的な事実ということなのだろう。そうだとしたら、被害者の描かれ方は酷すぎる。また金持ち大学生の男も、あまりにもデフォルメされていてウソっぽい。 また加害者の祖母(樹木奇林)が詐欺商法にひっかかるという場面も、加害と被害の関係を曖昧なものにするために無理矢理入れたように見える。 ベビーフェースのブッキーが自ら望んでヒールを演じたということが話題だが、本人の意気込みは別にして、やはり悪人にはしてもらえなかったということか。 モントリオール映画祭で女優賞を獲得した深津絵里は、何をやっても器用にこなす上手い役者だと思うが、今作では何度もあるアップで実に印象的な表情を見せている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.09.19 16:25:43
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