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ミステリの部屋

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2007年01月10日
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今日の作品はミステリではありません。
いつも聞いているラジオ番組に本のコーナーがあるのですが、そこで紹介されていたことと、友人に薦められたことで読もうと思いました。

京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。
男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。


京都大学大学院に在籍する現役の京大生が書いた作品。2003年のファンタジーノベル大賞を受賞しました。

ここで語られるのは、男汁あふれる日常記なのだ、と文中にあります。しかも読んだら体臭が濃くなるに違いないんだそうで。それは困るな、と思いながらも読んでみました。

まずは独特の文体に引き込まれました。

内容は、京大生の男子が主人公で「まなみ号」と名前をつけた自転車を乗り回し、水尾さんという別れた恋人を研究と称して追い回し、恋愛とは無縁の強烈なキャラクターの友人たちとつるみ、クリスマスを憎悪して一騒動起こす、という話です。

どこがファンタジー大賞なんだ?と思いますよね。

不器用で、汚くて、理屈っぽくて、強がって、「何かしらの点で彼らは根本的に間違っている。なぜなら私が間違っているはずがないからだ。」と言い切る。
独りよがりでひねくれています。京大生のイメージが変わりそうです。

でも、考えてみれば、青春というものの実体は、本人は真剣なのにはたから見ればおかしくて、かっこ悪くて、相当痛いものではなかったでしょうか?

鴨川ではデートする男女が等間隔に川べりに並ぶという「鴨川等間隔の法則」に挑戦するためにわざと男たちで割り込んでみるけれど、逆に寂しさがつのり河原の風に吹かれ立ちすくむのです。

本当に馬鹿だなぁ、と思うし、余りにくだらないことばかりするので笑えるのですが、笑いながらもこのくらいの男の子って、みんなこんなものなんじゃないかと親しみを感じました。

初めはファンタジーというより、男の妄想であふれた物語だと思っていました。

ところが、ちらちらと挟み込まれる、舞台となる京都の町のゆかしい地名や町の風情が意外に美しいのです。

さらに、時に登場する叡山電車がファンタジーの世界に連れて行ってくれます。
真夜中に京都の街を駆け抜けていく光の箱。その姿は夢のようで強い印象を残します。

そして最後まで読んだ時には思いがけずほろっときてしまうのです。

はずれかけた仮面の下がちらっと見えたから。
強がりは青春の純な心の裏返しでした。

強がるなら最後まで強がってほしいとも思うのですが、今の世の中は、硬派としては生きにくいんでしょうね。


  太陽の塔 : 森見登美彦

………………………………………………………………………………………………………………

2006年06月文庫化されました。表紙は全く一緒ですねw(2007年7月14日追記)








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最終更新日  2008年02月25日 23時54分23秒
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Re:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   ときあさぎ さん
こんばんは。
新聞か何かで紹介されたのを読んで、ちょっと気になってた本です。
「オタク学生の妄想小説風」みたいに紹介されていて、読みたいような読みたくないような状態で保留中でした(笑)。

でも、京都という舞台設定が魅力的に思えます。
それに、samiadoさんのも「最後まで読んだ時には思いがけずほろっときてしまうのです」の言葉に、図書館に予約してみようかしらという気持ちに傾いてきました。
(2007年01月13日 01時23分20秒)

Re[1]:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   samiado さん
ときあさぎさん、こんにちは!

>新聞か何かで紹介されたのを読んで、ちょっと気になってた本です。
>「オタク学生の妄想小説風」みたいに紹介されていて、読みたいような読みたくないような状態で保留中でした(笑)。

わかります。私も男汁って何なの?と、ちょっと引いてしまいましたから(笑)

>でも、京都という舞台設定が魅力的に思えます。
>それに、samiadoさんのも「最後まで読んだ時には思いがけずほろっときてしまうのです」の言葉に、図書館に予約してみようかしらという気持ちに傾いてきました。

恋人がいることを良しとする世の中に、果敢に立ち向かおうとする強がりな男たちの妄想がとても笑えます。
ところが、後に残るのは不思議とロマンチックな情景なんですよ。
ぜひ楽しんでみてください♪
(2007年01月13日 09時38分58秒)

Re:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   ときあさぎ さん
こんばんは。
先日「太陽の塔」読みました。
結構はまって読んでしまいました。
感想をちょこっと書いたので、TBつけさせてくださいね。

(2007年03月13日 01時03分56秒)

Re[1]:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   samiado さん
ときあさぎさん、こんにちは!
TB有難うございます♪

>先日「太陽の塔」読みました。
>結構はまって読んでしまいました。
>感想をちょこっと書いたので、TBつけさせてくださいね。

読まれたんですね。感想を読ませていただきに伺います。
そういえば今日テレビで太陽の塔を見ました。今月一杯は中も見学できるそうです私も行ってみたいと思いました。 (2007年03月13日 16時57分26秒)

Re:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   hina_max さん
この本ほんと面白い。。

TBありがとうございます。
自分もTBさせてくださいね。(*^^)v (2007年07月15日 16時21分32秒)

Re[1]:太陽の塔:森見登美彦(01/10)   samiado さん
hina_maxさん、こんばんは!

>この本ほんと面白い。。

>TBありがとうございます。
>自分もTBさせてくださいね。(*^^)v

TB有難うございます♪
男子学生たちの姿がいじらしくも可笑しかったですね。癖になる面白さでした。 (2007年07月15日 23時55分25秒)

TBさせていただきました   パラナガ さん
こんばんは。
こちらの記事にもTBさせていただきました。

> 強がりは青春の純な心の裏返しでした。
> 強がるなら最後まで強がってほしいとも思うのですが、今の世の中は、硬派としては生きにくいんでしょうね。

この本の受け止め方が、人によってやはり
違うんだということを改めて実感しました。
この記事を読んでいて「受容」という言葉が
頭に浮かびました。今だったら、この本にも
もっと優しく接することができる気がして
きました。 (2009年03月23日 22時08分22秒)

Re:TBさせていただきました(01/10)   samiado さん
パラナガさん、こんばんは!
TB有難うございます♪

>> 強がりは青春の純な心の裏返しでした。
>> 強がるなら最後まで強がってほしいとも思うのですが、今の世の中は、硬派としては生きにくいんでしょうね。

>この本の受け止め方が、人によってやはり
>違うんだということを改めて実感しました。
>この記事を読んでいて「受容」という言葉が
>頭に浮かびました。今だったら、この本にも
>もっと優しく接することができる気がして
>きました。

人それぞれだから面白い、というのはありますから、その時の感じ方を大切にされていいのではないでしょうか。
確かに読んだ時期によって、感じ方や受け止め方は変わってきますね。
(2009年03月24日 23時44分33秒)

やっと来れました!   アルビレオ さん
何が忙しかったのか?なんやかやと私の行く手を阻むものが次々に現れ何とか今やっとここに辿り着くことが出来ました。本当は,このページに来るつもりでは,無かったのですが,ラジオの番組という言葉に惹かれて来てしまいました。「太陽の塔」は,図書館においてありましたが,samiadoさんのコメントを読んでからと思っていました。今から図書館に行きますが,あったら借りようと思いました。 (2009年08月30日 13時48分50秒)

Re:やっと来れました!(01/10)   samiado さん
アルビレオさん、こんばんは!
お忙しいところ、来ていただいて嬉しいです♪夏も終わりますが、お元気そうで何よりです。
「太陽の塔」は癖があるので、人によって、すっかりはまったり、まったく合わなかったりするようです。果たしてアルビレオさんは……(笑)

(2009年08月31日 00時01分30秒)

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