カテゴリ:ミステリ以外の小説
「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。 名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。 道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。 (「BOOK」データベースより) 図書館で、何となく背表紙を眺めながら歩いているとき、このインパクトのあるタイトルが目に飛び込んできました。 21歳で躁病の「あたし」と24歳で鬱病の「なごやん」、が福岡の病院から脱走して、車で九州を縦断、逃避行を繰り広げます。 奇妙な幻聴に悩まされたり、薬の名前がたくさん出てくるところなど、とてもリアルですが、決して重苦しくはなく、まるでロードムービーを見ているように、すらすら読み進めることができました。 何よりも嬉しかったのは、「あたし」が喋るバリバリの博多弁です。 九州を離れてからは 博多弁に接することもほとんどなく、喋り方さえ忘れそうな私には、懐かしくてたまりませんでした。 いつかは終わりが来るとわかっているからこそ、美味しいものを食べて、きれいな景色を見ながら、南へ南へとくだっていく珍道中は、切なく、おかしく、いとおしいものでした。 名古屋出身だけれど東京好きの「なごやん」が、「くそたわけっ」と叫ぶところも良かったです。 いつもより明るい色で、故郷の景色を思い出しました。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月22日 22時38分59秒
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