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イチロー・インタヴューズ 石田雄太「イチロー・インタヴューズ」(文春新書) 文藝春秋 2010年刊 ○「天才、言うなっ」 「別に、そうな思わないですね。それだけのことをやってきたわけですから」 それだけのこと・・とは、 「子どもの頃から誰と比べることもできないほど別の次元で練習を重ねてきた。」 「練習量と質を問い続け、己を鍛えて、技を磨きぬいた現代の最高傑作」 ○イチローの最大の武器 「それは、飛び抜けたバッティングセンスでもなければ、類い希なトータルバランスでもない。 彼の第一の武器は、“心”の持ち方である。」 「彼をここまでにしたのは、想像を絶する練習量であり、その練習に足を向けさせた彼の 心の強さである。」 メジャーの選手に対して、「完成された技、見劣りしない力、そして誰よりも強い心」がある。 ○ポストシーズンに強いチームの特徴 「イチローの言葉を借りれば、「イメージを持ってプレーできるかどうかの差」・・ 「経験がある、ということはイメージができるということじゃないですか。 試合が始まるまでの気持ちの持っていき方が違ってきますし、 だいたいこうだとイメージできれば、あらゆる場面でどういうふうに対処していくか ということがわかりますからね」 ○ジーターの凄さ 「彼は詰まることをイヤがらない選手です。」 詰まらされても、ピッチャーに負けたという意識を持たず、 意図して詰まらせて打つことができる。 「結果として、ではなくて、そこに持っていってるんですよ、意図的に。」 それは、超一流の技術である。 イチローが安定して高打率が残せるのも、 「追いつめられた時のオプションをいくつも持っているからだ。」 ○プレッシャーとつきあう法 年間200本安打を打つ選手は、毎年2~3人でるが、 257本打った選手は84年間誰ひとりいなかった。 このプレッシャーを乗り越えられた理由は、 「それは、常に諦めなかった、ということです。」 「去年、行き着いた一つの答えは、プレッシャーを克服する方法なんて、結局はないんだ、 ということです。以前はプレッシャーが目の前に現れるたびに、どうやったら簡単に なくなってくれるのか、プレッシャーがない普通の状態に近い自分をどうやって取り戻す ことができるのかと、そういう“薬”みたいなものを探していました。 でも、そんなものはないんだというのが現段階での結論です。 そう思えたことは大きいですよ。 あるかもしれないと思っているのと、ないんだと割り切っているのとでは、 プレッシャーに対する向き合い方はまったく違ってきますからね」 さらに、年間200本安打を続けることでプレッシャーは、ますます増える。 「決して毎年、同じことを繰り返しているのではない。 年を重ねるごとにその難易度は増している。 なぜなら、記録が途切れることでリセットされる時間が長ければ長いほど、 失うものも大きくなるからだ。大切に積み重ねてきたものを失いたくないと思えば、 それだけプレッシャーも増してしまう。」 「プレッシャーと向き合っている間、何が難しいかって、力を抜くことなんです。 自分でも余分な力が入っているのはわかるんですよ。 でも、なかなか抜けないんですよね。」 ○チームプレー? 低迷が続いたマリナーズのチーム・ミーティングでは、 マイク・ハーグローグ監督が「苦しいときほど、チームのためにがんばってくれ」 といったが、この言葉を聞きながらイチローは 「苦しいときほど、自分のためにやるべきではないか」と疑問を感じていた。 「イチローの言う『自分のため』という言葉には、 チームは低迷していても、そこまで選手としてできることはすべてやっている、 という前提がある。すべてやってきて、それでも勝てないのに、チームのためを 考えたからといってできることが増えるわけではないと考えるイチローは、 だからこそ、今まで以上に自分の役割を果たすことに徹するべきだ、と言いたかった。 「強いチームというのは、個人があってチームがあると思うんです。 個々が持っている力を発揮して、役割を果たして、それが結果としてチームとしての 力となる。でも、弱いチームはそうではない。個人の力が発揮されない。 だから勝てない、チームのためにという言葉でごまかして個人の力を発揮できない ことへの言い訳を探す。そうしたらもっと勝てなくなる・・悪循環ですよね」 王監督曰く、 「オレは自分のためだよ。 だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、 チームのために、なんていうヤツは言い訳するからね。 オレは監督としても、自分のためにやっている人が結果的にチームのためになると 思うね。自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。 何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうもの だからな」 「このオフ、いろんな人に会いましたけど、トップの人はみんな口を揃えて言いましたよ。 『自分のためにやっている』って。 誰一人としていませんでしたね。まずはチームだって言った人は・・ゼロ、ゼロです。 みんな、それがいずれはいろんなところにいい影響を及ぼすってことを知っている。 それが僕にはすごく心強かったですね。」 ○階段 スカイマークスタジアムの脇にある「114」段の階段・・ <目次> 1 飛翔―2000-2002 (「どうせなら、ユニフォームのカッコいいところがいいな 「向こうに行くことが夢じゃないですから」 ほか) 2 試練―2003-2005 (「一番苦しいと感じるのは、できるのにできないということ」 「え、トップって、何が?」 ほか) 3 栄光―2006-2007 (「獲りにいって獲った世界一ですから」 日本のこと、大好きです」 ほか) 4 結実―2008-2010 (「去年の涙は、悔しさがすべてではない」 「おっと、松坂選手、言うようになったね」 ほか) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.10.16 12:15:04
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