『カポーティ』(2005年/米国 原題:Capote)を見た。
『ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's/1958)』の作者として有名な米国の小説家トルーマン・カポーティが、犯罪ノンフィクションという新たなジャンルを切り開いた著書『冷血(In Cold Blood/1966)』を書くため取材を始めるところから書き終わるまでを描いた作品。
カンザス州の農園でおこった一家4人の惨殺事件に興味を抱き、小説にしようと、
トルーマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、幼なじみの
リー(キャサリン・キーナー)とともに、取材を始める。2人の容疑者の逮捕後、
トルーマンは容疑者に接触、そのうちの1人
ペリー(クリ布団・コリンズJr.)と、同じ孤独を抱えた人間同士として、どんどん親しくなっていく。
ペリーは
トルーマンに心を開き、複雑な家庭環境など生い立ちを話し出すが、肝心の事件の犯行の詳細は語らないまま、裁判が始まり、2人には死刑判決が下される。
(ここからネタばれ反転)他方、トルーマンは、ペリーの死を望むようになる。そうしなければ、彼の小説は完成しないからだ。“いい人”を装いつつ小説に利用するためにペリーに近づいたトルーマンだが、死刑執行間際に届いたペリーからの手紙で、彼が心底自分を信用してくれたことを知り、苦悩に陥る(ここまで)。
以下、感想を箇条書きに。
・フィリップ・シーモア・ホフマンの演技が大絶賛された本作だが、トルーマン・カポーティ自身をぜんぜん知らない、著書を読んだこともない私には、そのすごさが理解できたのか、よくわからない。甲高い声で不気味に話す
トルーマンという人物を、違和感なく見せられた、というのは彼の演技力の賜物なのだろう、程度のことはわかるけれど。
・『冷血』とは
トルーマンのことを指すんだろうな。途中から、どっちかというと
ペリーの側に立っている自分がいた。
・台詞回しがなかなか面白かった。具体例を挙げろと言われると困るけど、
トルーマンの話術ってすごく巧みだったんだな、と思わせる節が何度かあった。
評価は、
★★★ (満点は5つ)