テレビ電話など通信機器を使った遠隔医療の対象拡大
日経新聞によれば、厚生労働省はテレビ電話など通信機器を使った遠隔医療について、在宅の糖尿病患者などに限定している現状を改め、対象範囲を広げる方向で検討するという。花粉症や皮膚病などの診察で幅広く認められるようになる可能性があるという。さらに地方の診療所と都市部の病院が遠隔医療で連携しやすい体制を整え、過疎地でも質の高い医療サービスを受けられるようにするという。患者の利便性を高め,医師不足問題に対応する考えと言う。そもそも、都市への集中と地方の過疎化が進む中、過疎地に住む、高齢者を中心とする人々が都市部に住むのと同等の医療を受けるのに、CO2の発生量が相対的に高い、建築的手段に頼るより、CO2の発生量が相対的に低い、IT技術によることは、資源エネルギー環境問題的視点からも望ましいであろう。一方で、現実的な医師不足、特に専門医の絶対的不足と、一般医のかかりつけ医が多い過疎地における専門医不足の問題を解決する為にも、遠隔医療の対象拡大は、効果的であると考えられる。過疎地などにおける医療設備の拡充には多大な投資が必要であるが、中央に集中した医療設備を過疎地の遠隔医療に利用できることは、都市部における医療施設の余剰設備を利用できることにつながると考えられる。遠隔医療は現在、医師と患者が直接向き合う対面医療が難しい場合の補助的な位置づけであるというが、厚労省は、症状の的確な把握が必要な初診と急性期の患者の遠隔医療を原則禁止する一方、在宅の糖尿病患者や高血圧患者、アトピー性皮膚炎患者など慢性期疾患で症状が安定しているいくつかのケースは可能との見解を示しているという。7月31日に、総務相と厚労省が共同開催している「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」(座長 金子郁容慶応大学教授)の提言書は、「慢性期の病気や健康管理、予防医療、生活習慣にかかわるものは遠隔医療が可能である」と見ているという。遠隔医療の実施レベルで、地方と都市などの2つの医療機関が遠隔医療をで患者の検査情報をやり取りして診察した場合に、現在は、地方の診療所側にしか支払われないが、地方と都市の両方が診療報酬を受け取れる様に検討するという。これにより、地方の診療所の利便性が向上するほか、都市の診療所の施設整備拡充が可能になると考えられる。遠隔医療のニーズは多いが、患者側にもテレビ電話や携帯電話などの装備が必要になる他、地域によって医療体制がことなるなど課題が多いという。