判ったような、手前勝手な上から目線が鬱陶しい?
ぼぉっとTVを見ていたら現地住民さんによる奇想天外な「日本のおもてなし」を紹介してそこに超一流の職人さんが出張って行ってモノ申す、みたいな感じの番組をやっていた。あたしは途中から見始めたのでお話は日本有数の温泉旅館の若女将がまずはロシアの日本温泉旅館風ホテルに修行に行って。その後、番組の後半でそこのロシア人女将とオーナーさんを、日本の超一流旅館に招待するって内容でした。ロシアの日本温泉旅館風ホテルでは仲居さん?のアイサツは、胸の前で手を合わせて拝むような様(さま)?とりあえず漢字らしき文字の花瓶や何やかやが置かれた和室には、畳一畳もない?で和食は、すべてご近所の自称・和食店からの出前で何だかチーズケーキモドキみたいな物体が出ていた?そしてそして目玉の温泉、お風呂は、サムライ風呂とかで中国から取り寄せた木の桶に、ビールを大ぶりのジョッキに何杯も入れてハーブを入れて、松の葉を入れて、松ぼっくりも入れて、水面を一杯に覆っちゃう?まあこれが、「日本のおもてなし」スタイルなんだ、と現地じゃ評判を呼び、セレブ御用達の繁盛店になっているとか、いないとか。ロシア人女将さんも、ロシア人のオーナーさんもほぼ何事も、ネットで調べて見よう見まねでやっていて。お風呂上りにマッサージと称して、俯きに寝させてタオルをかけ、上から丸箒みたいなもので叩(はた)くのもサムライ風呂とやらにハーブはともかく、どうして松ぼっくりまで入れるのかも何ひとつ、意味が判ってやっているワケでもない?ただただロシア人女将さんがネットで調べたら、何だかそんな風なことをやっていた、ってだけ?そんなでこのロシア人女将さんは地元産業振興の功労者さんとして表彰され、一目置かれていたりする?後半になりロシア人女将さんとロシア人のオーナーさんの二人を日本有数の温泉旅館に招待してきっちりかっちりお出迎えにしろ、ひなびた露天風呂にしろ、和食のコースにしろホンモノの「日本のおもてなし」を見せつける訳なのですが。………ごめんなさい。なんなら、ロシアと違って日本の老舗旅館さんは何もかも判ってやっているんだろうか?玄関で仲居さんがきっちり一列に並んでする、きっちりかっちりのお出迎えってどういう意味があるんですか?お客さまへのおもてなしにはなぜそうするのか?そうしなきゃいけないのか?ダレか、ちゃんと意味を判ってやってんですか?客室への案内だって同じ?キレイか?きれいに見えるのか?何だか知りませんけどあえて、それを、そういう風にする意味をダレか判ってから、やってんでしょうか?様式美の極地たる茶道だって古田織部さんだったか、利休さんから叱られてますよね?以前に見た利休さんのお点前を、そっくり真似て、真似しきって。どんなものだと、踏ん反り返っていたところに。あなたと、わたしとでは背丈が違う。わたしは姿勢や見栄えが良いようにと、茶筅(ちゃせん)を、心持ち長く持って茶をたてた。それを背丈がまるで違うあなたが、そっくり真似て、どうするんだ?あなたお茶の心なんて、ちっとも判っていないんじゃないですか?と。お客さん商売の旅館の女将、仲居さんならそれこそお客の要望や願い、その心持ちは手に取るように判るのでしょう?ゆえにそこから導かれる様式美たる「おもてなし」の行動規範には、一分の隙もないかも知れません。けれどあなたもそう、あたしもそう、つまりは、ヒトって生(なま)ものですから必ずしもみながみな、至れり尽くせりの最大公約数で、喜び勇んとは限らないんじゃないのかな?日本有数の老舗温泉旅館さんではお料理は、それぞれ素材の味わいを感じてもらいたいからと薄味のお料理から、徐々に、味の濃いお料理にしていくそうで。途中ロシア人女将の、味が薄いからお醤油が欲しい、ってお願いを聞かなかった?まあ素材の味を楽しんでいただくために、だんだん味が濃くなるようにしています、と説明して納得してもらっているしロシア人オーナーさんからはたしかに風味や、この微妙な味を感じるためには、醤油を貰わない方がよかったってお話でしたけど。いやいやいや。お客が醤油を欲しいってんなら、素直に、渡してやればいいじゃん?いくらいま、お醤油を使ったらこれから徐々に味が濃くなっていく、その微妙な味覚の変化が味わえませんよ。たってお醤油が欲しいってことはその薄味のお皿は、美味しくないってことでしょう?いくら微妙な素材や味付けのグラデーションを楽しんでもらいたい、たってそのためにわざわざ、薄味の不味いお料理を出していいのかい?そこから食べさせなきゃいけないんかい?そういうのちょっとお店の傲慢とか言いませんか?すっごくとんちんかんなことばっか、やっているけど。ロシア人女将さんはおバカじゃないんだよ?モスクワで買った薄手の着物は…まあ、何といいますか。けれど日本の老舗旅館若女将から手渡された着物を、きちんと着られるんだよ?そして知らないことは、一所懸命に吸収しようとしている?どっちがどっちとは言えませんけど。たとえば「わたしたちのおもてなし」は、こうなんだ!と百年一日が如く、ひたすら、苔の生えた古からのサービスを繰り返すのと。ときにビールや松ぼっくりが入った、サムライ風呂もあるけれど臨機応変に貪欲に新たな知識を得たら、すかさず新しい顧客サービスに還元していくシステムと。果たしてあなたは、どちらがお好みですか?ってお話ですよ。はっきり言ってあたしはロシア人とか大嫌いですけど。このロシアの日本温泉旅館風ホテルとロシア人女将さんには侮(あなど)りがたし、って印象を受けました。何でもかんでもあぁ昔が良かった。古き良き伝統に勝るものは無い。いいですよ。ダレが何を、どう考えたって…あたしの知ったこっちゃありませんから。ただいま、ネットでもリアルでもそういう何でも正解を教えたいオジサン・オバサンばかりになっちゃって何事も形式美ばかりと言うか、問答無用でその意味を失って、哀しいほどに形骸化しているような?職場の宴会じゃビールのラベルを上にして、注ごうと、どうしようとそのビール瓶で、気に入らない上司に殴り掛からない限りラベルの上下なんて、それこそ、どうでもいいじゃん?できることならあたしは百年一日が如くカビが生えた古臭いサービスの繰り返しより臨機応変にそこそこ最大公約数のお客が喜ぶサービスに、どんどん変化していっていいような気もします?つまりはそれが、ダイバーシティ(多様性)ではないかしら?何においても正解なんて何ひとつないんだよ?山深い老舗温泉旅館の古よりの「おもてなし」がいい?ロシアの日本温泉旅館風ホテルの、ビールが入って松ぼっくりで覆われたサムライ風呂がいい?どっちがいいのかそんなこと、それそれが、それぞれに考えればいいことだと思うのですよ。ただただめちゃんこ鬱陶しいのがこの番組企画の根底にある無知なあなたたちに、わたしたちがホンモノってヤツを教えてあげましょうよ!って上から目線。そういう判ったような、手前勝手な上から目線が、あたしは何より鬱陶しく感じます。べつにいいじゃん?ロシアにビールが入って松葉や松ぼっくりで覆われたサムライ風呂があったって?和風マッサージと称して俯きに寝させてタオルをかけ、上から丸箒みたいなもので叩(はた)いたって?そういうのが和風なんだって、そこそこお客が満足してそこそこお客が求めるのなら、そういう和風もあっていい?と言うか醤油も渡さないで、無理矢理、薄味の不味い料理を食べさせるより、ずっといい?自分こそが正解を知ってるんだ、と思うヒトほど案外あたしたちは何も知らないのかも知れません?あなたもそう、あたしもそう、つまりは、ヒトって生ものですから必ずしも百年一日が如く、古より繰り返されてきた伝統的なサービスが正解とは限らないかも知れません?みながみな至れり尽くせりの最大公約数が正解とは限らないのかも知れません?ならばダイバーシティ(多様性)のためあたしたちが心掛けることは、たったひとつ?たとえどんなに伝統があろうと、どれほど古人から推挙された案件だとしてもいまダレかが傷付くような判断は、どこをどう考えたって「正解」じゃないんだよ?ならばそんなものに拘泥して、ダレか他人に強要しようとするんじゃない。何かを拒絶するタメの言い訳なら何かを受け入れるための戯言の方がずっとマシなような気がしませんか?