「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

　愛国者は、金持ちだけで良い。
　酷い、言い方かも知れん、けど
　あたしは、そう思うことが在る。
　何と言うか。
　あたしは、日本って国に頼って生活している。
　税金を払って、利便性や安全が確保され
　健康保険料を払って、病気に備え
　年金保険料を払って、将来を託す。
　それが
　あたしの日本国に帰属する理由であり、そして、限界なんだと思っている。

　もし、どこかの国が
　日本よりも低廉に、日本と同じくらい、利便性と安全が保たれて
　日本よりも安価に、日本と同じ医療水準の国民皆保険制度が在って
　既に支払った年金保険料を肩代わりして、60歳になったら、年金を支給してあげる。
　そう、言うのなら
　あたしは、たぶん、日本を捨てる。
　まあ
　相手の国としちゃ、あたしなんか、いらない、だろーけど。

　だから
　みんなが、一所懸命に働いて、いっぱい税金を納めてくれたら
　あたしの税金納付額が、まんま、変わらなくても
　充足する社会インフラとの相関から、あたしの生活は、すこおし豊かになる。
　なので
　お金持ちさんは、もっともっと熱狂的な「愛国者」になって、滅私奉公して欲しい。

　国家の正体とは？
　堅苦しく考えると、色んな国家観が、玉石混淆…いや、百花繚乱なんだろう、けど
　畢竟、或る「社会統治システム」との「片務契約」に違いなく
　その複雑怪奇さ故に国家を、相互依存の「双務契約」なんて見誤る、と
　とっても痛い、しっぺ返し、を受けることになる。
　「片務契約」と云っても
　サヨクさんみたく、「国民は、国家に隷属して、一方的に搾取され続けている」とか、言いたい訳じゃない。
　それ、「真逆じゃないの？」って、あたしは感じている。
　だって
　あたしたち、みんな、国籍を捨てちゃうって、とっても簡単で自由じゃない？
　そんなに酷い国家なら、どうして、みんな、わざわざ鎖に繋がれたがる、わけ？
　もしかして、サヨクさんって、マゾ？

　日本みたく属人主義なら、親が邦人で、米国みたく属地主義なら、本国で出生すりゃ
　誰だって、自動的に、その国籍を得る。
　日本国憲法第22条で、「国籍離脱の自由」を保障されている国民、と
　要件が具備したら、誰にでも不作為に国籍を与えなきゃなんない国家。
　どう考えても、国家に不利な、一方的な契約じゃない？
　それに
　税金未納でも「生存権」とか煩いし、重大犯罪を犯しても、極刑で「居なくしちゃう」以外、国籍剥奪なんか出来っこ、ない。

　あたしは、それが悪いとは思っちゃいない。
　長い年月を掛けて、あたしたちの祖先が勝ち取った成果なのだから、否定する心算はない。
　けれど
　先進国に多い「大きな政府（福祉国家）」は、既に、為政者が国民を隷属させるんじゃなく
　身勝手で、賢（さか）しらな国民が、為政者を、雁字搦めに縛っちゃう。
　そんな、行き過ぎた「ポピュリズムの枷（かせ）」から、抜け出せなくなっちゃった。
　なんて、あたしは邪推しちゃう。
　そんな、一方的に国家が不利な「片務契約」の延長線上に、今の「愛国心」が在る。

　広島の原爆死没者慰霊碑を損壊した人が捕まった、らしい。
　碑文「安らかに眠って下さい　過ちは繰返しませぬから」の、「過ちは～」の部分に金色のペンキを吹き付けた、とか。
　この容疑者は、77歳の自称作家さんで、「碑文の文言に腹が立ってやった」と「愛国者」気取り。
　こー云う「愛国者」モドキって、どうなの？

　あたしは、「過ち」は、米国の原爆投下だとは思っちゃいない。
　あんな無謀な戦争をしなけりゃ、原爆が落とされることはなかった。
　だから
　戦争なんて「過ち」は、二度と繰り返しません、って意味じゃなかったの？
　知らないうちに、内閣法制局が、碑文の「解釈」を変えっちゃった、とか？
　つーか
　読解力が微塵もない人とか、歴史認識が甘い人とか、多過ぎる。
　そんなじゃ、中国や韓国を嗤えない、よ。

　何か、さぁ。
　身勝手な妄想に浸るのは勝手なんだが
　それは、梅の花が咲き誇る「頭ん中」だけに留めてくんないか、なぁ。
　戦争主体と戦争被害、その理想と本質を、ごちゃまぜにして、被害者ぶって、いない？

　明治維新の為政者、薩長田舎侍中心の「烏合の衆」は、次第に馬脚を現し始め、大正デモクラシーの台頭に伴って、一気に国民の支持を失っていく。
　そこで
　大正15年に、初めて「歴代天皇」が整理整頓され、突然に「皇国史観」が始まっちゃう。
　薩摩の西郷さんは、「錦の御旗」なんて嘯（うそぶ）いたけど
　あれ
　長州征伐の「勅旨」の前に、既に作られてなきゃ薩長戦争に間に合わない、とか。
　天皇を「神聖不可侵」と思っていたら、畏れ多くて、「勅旨」がないままに「錦の御旗」を作る、なんて、在り得ない、じゃない？
　結局、彼には、天皇なんか利用できりゃ、それで良かった、わけで
　何の「畏敬」も感じちゃいなかった、ってこと。
　明治新政府の殊勲者ですら、その程度なら、国民は、推して知るべし。
　誰も、天皇に「畏敬の念」なんぞ持ち合わせちゃ居ない。

　度重なる失政と、デモクラシーの渦の中、窮余の策に、軍政の根拠として「天皇を頂点とするヒエラルキー」が、捏造された。
　「万世一系の皇統」なんて嘯くけれど、藤原摂関家の系譜の方が、余程に信憑性がある。
　天皇家が「万世一系」か如何か？あたしは知らん、けど
　少なくとも「皇国史観」は、ここ百年に満たない期間に限った妄想でしかなく
　「万世」に亘って農民クラスの、あたしたちのご先祖さまが、崇拝していた事実はない。

　そんな軍部でも、「幕僚参謀」は、日本の頭脳を集めた秀才集団だから
　誰も、開戦なんか望んじゃいなかった。
　どう考えたって、世界を相手にして、勝てる筈がない、もの。
　けれど
　既得権益を失いたくない薩長閥が、失われつつある国民の支持を取り戻そうと、「ちぇすとぉ！」なんて、戦争を始めちゃった。
　その反省もなく、今だに政界じゃ「長州閥」が続いている、んだが。

　そんな、ただ、「自分が可愛いだけ」の為政者のために
　どれだけ兵隊さんが死んで、本土空爆に、どれだけの民衆が死んだの？
　例えば
　落選するから衆院解散を引き伸ばす、そんな「自分が可愛いだけ」の民主党さんの為に
　貴方、死ねる、わけ？
　貴方の家族が、死んじゃってもいい、わけ？

　為政者は、能力がない程に、曖昧な「愛国心」を煽っては、国民の関心を引こうとする。
　失うモノが少ない庶民ほど「愛国者」を装って、戦果を訝（いぶか）しむ者を非国民と罵っては、辛い生活の憂さを晴らし、勇ましいだけの「シュプレヒコール」が、飛び回る。
　いつしか
　戦争責任や、勝敗に関係なく待ち受ける戦禍。国力の疲弊、国民の大量死。
　そんな、熟慮は矮小化され、空虚な蛮勇一色に染まっちゃう。
　それが、「愛国心」や「戦争」の本質で
　だから、マトモな人なら、「二度と戦争なんかしたくない」と思っている、はず。
　その「悲願」を込めて
　「安らかに眠って下さい　過ちは繰返しませぬから」の原爆死没者慰霊碑じゃないの？
　それを
　身勝手な妄想老人に、穢されちゃ、ねぇ。

　酷い言い方かも知れん、けど
　すんごい税金を払って、あたしの生活を、少しでも楽にしてくれる。
　そんな「大金持ち」が、愛国心を謳うのは、まあ、「ご勝手に！」と。
　まあ、あたしは「戦争なんて、金輪際、ゴメン」だけどね。
　けれど
　自分の生活すら、自分で守れない人が、「愛国心」なんて。
　それ
　貴方が日本人だから、日本国に住んでるから、って理由だけで
　「日本人なら、同朋の私を救いなさい！」とでも言いたい、わけ？
　なんか
　その、薄汚い腹の中が、透けて見える、よーなんだが。
　まあ
　純粋に「愛国」を謳われても、迷惑に違いはない、んだが。

　日本社会は、嫉妬が渦巻く伏魔殿だから、権力者や大金持ちに、自由な発言は許さない。
　けれど、社会的弱者？なら、ビンボなら、何を遣っても、何を言っても良い、筈がない。
　あたしも、どビンボだから
　豊かな他人を「僻（ひが）む」のは、判らんでもない、けれど
　その情けない心中を、みんなに「疑われる」のは、如何なのかしら？

　あたしみたく、社会に、ぶら下がってしか生きられない、なら
　そんな人間の「正義」、「正論」なんか、如何ほどの価値が在る？
　長く人生を生きてきたのなら、もう、好い加減、自覚したら、どうです？
　反対に
　所詮は、「他力本願に、自分を救って欲しい、だけ！」とか、深読みされちゃう、よ。
　日本人としての「誇り」を言うなら
　「愛国心」よりも
　世間さまに恥ずかしくないよう、自分の生活を如何にかする方が「先決」でしょーが。
　そんな
　莫迦莫迦しい身勝手な行動で、世間さまを苦笑させる、んじゃなく
　たまに、ブログで愚痴ったり
　あたし同様、社会の隅っこで、大人しく、余生を送りましょーよ。

　あたしみたく、社会の底辺で暮らす者には、「愛国心」なんて、烏滸（おこ）がましく
　「お金持ち」だけが、趣味の範疇で「愛国者」を、気取って居れば、良い。
　ビンボな人は、何も言うな！とは思っていませんが、失うものがないからと、無責任に社会全体に迷惑を掛けるべきじゃない。
　自分を戒（いまし）めながら
　あたしは、そう、思っています。