テーマ:ワイン大好き!(30246)
カテゴリ:ワインコラム
前回紹介した「きた産業」さんの記事の8ページ目に各素材別コルクの酸素透過量データがグラフ化されています。 http://www.kitasangyo.com/e-Academy/wine/wine_closure_column.pdf 軸が対数軸なので、正確な数字を読み取りにくいのですが、 良質なコルクを湿らせた場合(1st quality bark closure wet) →約0.005/月 ~ 約0.1ミリグラム/月 ぐらいのレンジに線が引かれています。 一方、コルクが乾いている場合(bark closure dry:良質か並質かの記載はなし)は 0.05~1.00ミリグラム/月 のレンジに引かれています。 いずれにしてもかなりの幅がありますね。 5年~10年、あるいはそれ以上の熟成を想定したワインであればそれなりのコルクを使っていると想定されますので、まずはそれぞれのミニマム値に近いほうの数字(寝かせた場合=0.01、立てた場合=0.1)を、仮にボトルを寝かせていた場合と立てておいた場合の酸素透過量に見立てて、3年後の酸素流入量の累積値を計算をしてみました。 (↑ということで、全くもって机上の計算です。) 良質コルクでコルクが湿っている場合(ボトルを寝かせていた場合を想定) 0.01ミリグラム/月×36=0.36ミリグラム 良質コルクでボトルが乾いている場合(ボトルを立てておいた場合を想定) 0.1ミリグラム/月×36=3.6ミリグラム 並級のコルクを立てておいた場合 1ミリグラム/月×36=36ミリグラム ちょうど十倍ずつになりました。 条件がよい場合(セラーで寝かせておいた場合)は、3年経過してもヘッドスペースの酸素(1.7ミリグラム前後)よりごくに少ない量しか流入してきませんが、コルクが乾いていると(=立てておいた場合)累計でセラーのヘッドスペース分以上の酸素の流入を許す計算になります。 並級コルクの安価なワインを3年にわたって立てておくと、かなりヤバイことになりそうです。 ここで3年と見立てて計算したのには理由があります。 かつてRWGの黎明期の「ワインの保存」の連載でボトルを立てておいた場合と寝かせておいた場合の3年後の検証をしたことがあって、そのときの試飲では明確な違いを見つけられなかったからです。 ちなみにこのときの検証ワインはCH.タルボ99年とM・グロの99NSGでしたので、使用コルクはそれなりに上質なものだったのでしょう。 ということは、この程度の酸素の流入量は中期的にワインの香味に大きな違いを生じないということでしょうか。 その前に、ワインの熟成や劣化に関連する大きなファクターとして忘れてはいけないSO2について、次項でこちらと併せて考察してみたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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