えー、写真という仕事は、ほとんどオーダーメイドと言っても過言ではありません。それだけにお客様の希望をかなえる職業でもあります。今日はそんなお話。
お金を支払って写真を撮ってもらう、創ってもらう、という注文を受けるのがプロ写真家の仕事です。注文を出す人にはさまざまな思惑があります。自分の姿を残したい。子どもや親など身内の姿を残したい。自分の仕事に必要な映像イメージが欲しい。など様々です。写真に詳しい雑誌編集者や広告代理店やデザイナーもいれば、撮りたいという希望だけで求めたい希望のイメージがしっかりしていないお客様もいます。
こーいった千差万別のオーダーに答えて行くためには、コミュニケーションが大切だと思います。話をすることで、クライアントの持っている「求めたいイメージ」を引き出すこともサービスのひとつです。
さて、この時とっても困る言葉があります。それは、
「普通はどうなんですか?」
という質問を受けた時です。
正直言って、答えにくくて、とほほ、です。
お客様の多くは、「スタジオへ行けばどんな写真もすぐに撮ってもらえる」と思われていることです。もちろんあながち間違いではありませんが、対応できる場合とできない場合が当然発生します。できる限りお客様の希望はかなえたいですし、オーダーメイド感覚ですから、アプローチもさまざまに変化します。
で、困っちゃうのが「普通」を求められた場合です。
「普通」ってその人なりの「価値観」を示しますから、「これが普通です」と言うことは、オーダーメイドの世界では説明しにくいのが現状です。
写真を撮って欲しい → どんなイメージにしますか?
上半身あればいい → 差し支えなければご利用用途はなんですか?
演奏会のプロフィール用です → どんな楽器ですか?
オペラなので声楽です → それでは顔や表情を中心にすればよいですね?
そうですね → どんなイメージがよいですか?
イメージ? → 白黒なのかカラーなのか。静止しているとか歌っているとか。
とこのあたりまでコミュニケーションを取って来るとあの言葉が出てきちゃいます。
「普通はどうなんですか?」
ふ、普通ですか?( ̄□ ̄;)
一応自分の信条として、「知識は浅くてもいいからより広く」をモットーにしていますし、雑誌やポスターなど写真が掲載されているものを見れば、頭の中にファイリングするように訓練しています。そのため、ある程度の提案はすぐにできると自負しています。しかし僕の価値観による「普通という提案」が、お客様の頭の中にある「普通」とはかけ離れているかもしれませんし、お客様のイメージそのものに合致する可能性もあります。やっぱりもっともっとお客様情報を引き出したならば、そのお客様にとっての「普通っぽい」イメージやアイデアの提案ができることでしょう。
したがって、単純に「普通」を求められても、残念ながら「普通」という言葉からイメージが広がりません。
なにかモノを買い求める時に、対象の深い知識が必要だとは思いません。しかし、なるべく言葉多めにオーダーをすれば、希望したいモノは早く確実に手に入れられると思います。求めたいことについて口にすることは、決して恥ずかしいことではないはずです。サービスを提供する側にとっては、その言葉があったほうが良いというケースが多いと思います。
オーダーメイドに普通は無い
ちなみに僕はかなり年齢を重ねるまで、「電車事故があり、◎◎線はフツウです」という音を「普通」だと思い込んでいて、なんで普通なのにわざわざニュースになるんだろうと疑問に感じていた、国語2男です。(恥)
「影」
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