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2008.03.12
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カテゴリ:「公教育」考

杉並区立和田中学校校長、藤原和博先生による「フィンランド調査報告(07年9月末)」を読む、シリーズです。
 前の日記は↓の5本です。
和田中藤原校長の「フィンランド調査報告」を読む その1
藤原校長の「フィンランド調査報告」を読む その2
藤原校長の「フィンランド調査報告」をよむ その3
「フィンランド調査報告」を読む その4
藤原校長の「フィンランド調査報告」を読む その5


 今回は、「その5」の続きからです。

 よたよたあひるの寄り道たっぷりコメント抜きで、
藤原校長のレポートを全文読む場合は、
フィンランド調査報告(07年9月末へどうぞ。
和田中と地域を結ぶページに掲載されているPDFファイルです。


 以下、引用は、藤原和博校長の「フィンランド調査報告」
 まずは、いつものとおり、<2.社会的な背景の違いについての理解>より冒頭部分と見出しです。
----------------
2、社会的な背景の違いについての理解
 PISA調査の結果が良かったからと言って、日本がフィンランドの制度や指導法だけを真似ても、同じ結果は得られない。
 その理由は、主に社会的な背景の違いに求められる。

(1)フィンランドには「徴兵制」が残っていて、ほとんどの子供(とくに男子)は軍役を機にルームシェアするかパートナーと同棲するなどして親から独立する。
(中略)
(2)フィンランドの「教育改革」は国の存亡を賭けた戦いだった。
(中略)
(3)日本が8位から14位に転落したと話題になった「読解リテラシー」(日本語の意味における「読解力」ではない)について、「フィンランドの教師がみな修士号を持つから」とか「フィンランドでは読書量が多いから」という表面的な理由はみな的外れだ。
(中略)
(4)10段階評価で4が二つ以上あると留年することになる。
(中略)
(5)ほとんどの親が5時には家に帰って家族で夕食を食べるのがフィンランドの習慣だ。
(中略)
--------------------------

 
この文脈の中で、本日は、
<(5)ほとんどの親が5時には家に帰って家族で夕食を食べるのがフィンランドの習慣だ。>の項を引用しコメントして行きます。

まず、引用です。
------------------------
(5)ほとんどの親が5時には家に帰って家族で夕食を食べるのがフィンランドの習慣だ。
 だから、夕食までとか夕食後に、ゆとりを持って地域のスポーツクラブに参加したり(部活動の替わり)、音楽の先生についてレッスンを受けたりできる。一般的には受験競争がないから、塾はない。
 最近は日本からアニメやゲーム文化が侵食し、親の間で問題になっている。
 ヨーロッパはみなそうだが、テレビ(地上波)は2局くらいしかないし、あまり面白いものをやってはいない。したがって平均テレビ視聴時間も短い(日本の子供のおよそ半分くらいか)。この家族で過ごす時間の長さが、逆に離婚率が高いことの原因になっているという(フィンランド人自身の)指摘もあるようだが・・・?(笑)
 協会の機能は弱まったが、地域社会のコミュニケーションはスポーツや文化活動を通じて期待されている。なにより放課後の子供たちの居場所である。
 所得税35%(年金と保険を加えて負担率は約50%)と消費税22%でもやっていけるのは、日本と比べて圧倒的に地価が安いこと(ほぼ同じ国土面積に20分の一の国民)と、貯金をしなくてもよい厚い保障(大きな政府)があるから。
 フィンランドは王政を採らず、教育政策を含めて、資本主義の皮を被った「社会主義」の道を行く国家だととらえたほうがいいかもしれない。
--------------------------
もう!!この見出しには
うらやましい!うらやましい!うらやましい!うらやましい!うらやましい!!
のよたよたあひるです・・・ort

 もっとも、白夜の国ですから、冬場の夜の長さを考えると、うらやましいとばかりは言っていられませんけどね。5時に家に帰れるとしても冬場は寒くて真っ暗でしょうから。でも、共働き家庭が当たり前の中で、父母ともに5時に家に帰ることができる条件は、やはりうらやましい、の一言しかでてきません。日本のお父さんたちで子どもたちの生活リズムを崩さない時間帯に家族と夕食を食べることが出来る人は今、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。ちなみによたよたあひるは、通勤時間が1時間20分くらいなので、日勤の日は定時に帰れば7時前に帰宅できるはずなんですが、のろまなもんですから、7時半くらいにならないと家に着かないことが多いです。以前はアライグマオヤジさんが日中の短時間パートだったもんで、夕食の支度は全部お任せだったのですが、最近は夕方のパートを始めたので帰宅は私の方が早いんですよね。とろろ丼さんは、学校から帰ったあと、とりあえずのお腹ふさぎおやつを食べ、我が家の夕食は8時から9時くらいになってしまっています。ちととろろ丼さんの負担が大きいのですが、やむを得ません。

 藤原校長は<ほとんどの親が5時には家に帰って>と書いておられますが、当然フィンランドにも病院や福祉施設はあるわけで交替勤務をしている保護者だっているはずです。
 で、保育事情をちょっと調べてみました。
 
 北欧福祉研究科 山田眞知子先生による
 フィンランドの家族政策と教育制度というページによれば
<北欧社会福祉研究家による世界・北欧の社会福祉事情>に掲載
以下、緑色の文字で引用します。
------------------------------
(前略)産休・育児休暇が充実しています。これらの休暇はあわせて263日(労働日)あります。そのうち産休が105日、育児休暇は158日で、父親母親どちらが取得してよいことになっています。
(中略)
 保育については、1996年に保育法が超党派の女性議員の協力で改正され、すべての6歳児は保育の権利を有するようになりました。つまり、保育を望む親には、自治体が保育を提供しなければなりません。ですから、保育はほとんど公立保育所で行われています。また、保育所の監督下に、家族保育制度もあり、一人の保育者が自分の子を含めて4人まで自宅で保育することができます。さらに、2000年からすべての6歳児には、就学前教育が行われるようになりました。親は、この就学前教育を保育所で受けるか、小学校で受けるか選択することができます。

 保育時間は原則として10時間で、不規則な勤務時間の仕事をする親のために 24時間保育も用意されています。保育所では朝食を食べさせてくれるので、働く親にとっては助かるといえましょう。保育児童と保育者の割合は、0-3歳児のグループは保育児童12:保育者3、3-6歳児の場合は保育児童21:保育者3、統合保育(障害のある児童5+健常児7)では保育児童12:保育者4+必要なセラピスト(たとえば言語セラピスト、理学療法士)と定められています。
 保育の料金は両親の収入と家族構成によって定められますが、最高額が月額約2万5000円程度です。さらにすべての児童が16歳に達するまで、親の所得に関係なく児童手当が支払われています。(後略)
---------------------
 有給の産休育休は合わせておおよそ1年ほどですから0歳児保育もありますし、不規則勤務の保護者のために24時間保育があります。けれども不規則勤務の被雇用者もまた労働条件は守られているので、24時間保育があるから長時間保育になるというわけでもありません。保育は公教育とは異なり利用料金が発生しますが、児童手当が支給されるしくみもあります。
 人が人をケアする仕事にきちんとペイできるような仕組みが作られているということでしょう。背景には、やはり労働組合の組織率が高く発言力が強いということもあるでしょうね。
 日本ではしばしば家庭や地域の教育力の低下が叫ばれていますし、今更ながらのように、「ワークライフバランス」などというカタカナ言葉で人が生きていく上で必要なプライベートな時間、家族の時間をどう確保するか、例の教育再生会議などでもお勉強会がされていましたけど、プライベートな時間を犠牲にして働くことで日本経済は成り立ってきているのですから、この方向性を変えていくことは並大抵のことじゃないはずです・・・ort・・・

 フィンランドなどの北欧諸国の高負担高福祉の政策は、今の日本では絶対に無理です。
 でも、ある程度の負担がないと社会的ケアに必要な人件費は保証できない。税や保険料の形にするか、それとも個々の家庭の個別負担にするか・・どっちもイヤ、というわけにはいかないでしょう。

 藤原校長は、<フィンランドは王政を採らず、教育政策を含めて、資本主義の皮を被った「社会主義」の道を行く国家だととらえたほうがいいかもしれない。>と書いておられますが、この「資本主義の皮を被った社会主義」という言葉が「共産主義のイデオロギーに基づいた社会主義経済の形はとらないが、国民生活の経済的格差が比較的小さく、教育や就職における機会均等が確保されていて、階層固定化が強くない社会」というのであれば、かつての日本はある程度までそのような社会を構成できていたのだと思います。
 おそらく80年代の半ばくらいまで。もちろん、「ある程度」ですけど。
 一億総中流って、そういうことですよね。でも、今は違う。
 
 フィンランドと同じ道(高負担高福祉)は行くことができないとするなら、さて、日本ではどのように「機会均等」を確保できるでしょうか。



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Last updated  2008.03.12 00:16:54
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“しょう”です お久しぶりです   shchan_3 さん
>フィンランドなどの北欧諸国の高負担高福祉の政策は、今の日本では絶対に無理です。

 確かにそうかもしれません。が、現在の日本における問題点(多くの人々の生存権さえも充分保障されず、家庭・地域の教育環境も崩壊しつつある)を直視し、多くの人々が幸せになっていける社会はどのような社会なのかを考えていく上で、北欧の現状は大きな刺激になると思います。
 経済誌(『週刊東洋経済』)が北欧の特集を組んだこと自体、「どん底への競争」とは別のありかたを本気で考えていこう、というメッセージだったように思うのです。
 引用を増やしましたのでよろしければ…
http://sky.geocities.jp/shchan_3/pagetw.htm
(2008.03.12 22:38:19)

こんばんは。   四死天 緋水 さん
自分はフィンランドに友人が居ます。なので、今回の題材になっている「ほとんどの親が5時には家に帰って家族で夕食を食べるのがフィンランドの習慣だ」と言うのは知っておりました。フィンランドに限らず、ドイツやイタリアなどでも同じような体制を取っている国があるらしいのですが、一連のシリーズを読んでいて、改めて「人間の存在を大切にしているな」と強く思いました。正直申し上げて、現在の日本に無いのがこの部分だと思うんです。人間を大事にしていない。それ故教育者が減ったり、医療関係者の数が減少している。そう思えてなりませんね。自分としてフィンランドと同じ道を歩む事って可能だと思うんですよ。だけどそれをやろうとしない日本のお偉いどもの存在があるわけで。ヨーロッパ諸国の勉強をしていて思うのは、日本と比べると、向こうの人々って考え方が非常に柔軟なんですよ。常に何か革命を起こすと言う姿勢で取り組んでいる事柄が多く見受けられますが、一方の保守的国家「日本」は何もかもがグレーであり、統一されていません。ましてや劇的な変化を嫌う傾向にあるような感じさえ受けてしまいます。そう言った部分で根本的に思想が異なってますからね。自分には「出来ない」のではなく「やろうと思えば出来るけど、やろうとしない」そう言った姿が浮かびます。 (2008.03.12 23:40:50)

Re:“しょう”です お久しぶりです(03/12)   よたよたあひる さん
shchan_3さん
>>フィンランドなどの北欧諸国の高負担高福祉の政策は、今の日本では絶対に無理です。

> 確かにそうかもしれません。が、現在の日本における問題点(多くの人々の生存権さえも充分保障されず、家庭・地域の教育環境も崩壊しつつある)を直視し、多くの人々が幸せになっていける社会はどのような社会なのかを考えていく上で、北欧の現状は大きな刺激になると思います。
> 経済誌(『週刊東洋経済』)が北欧の特集を組んだこと自体、「どん底への競争」とは別のありかたを本気で考えていこう、というメッセージだったように思うのです。
> 引用を増やしましたのでよろしければ…
>http://sky.geocities.jp/shchan_3/pagetw.htm
-----
 たくさんの資料のご紹介ありがとうございました。フィンランドもですが、北欧の国々について調べていると、「その時々の状態を見据え、何が必要なのか、何ができるのかを考えて、実際にやってみたことの良い点を分析しながら、新しい道を作り出している」ように思います。
 福祉の領域で言うと、ノーマライゼーションの始まりである「脱施設化」なども、もとをたどると、戦時中に大規模な障害者施設の維持が難しくなったときに、少人数のグループホームのような対応を始めたところから、という話を読んだことがあるんです。これは、正解になる目標が決まっていて「進んでいる」とか「遅れている」という評価をするのとは違うことですよね。
 「60年代に北欧諸国の福祉を調べた人が『大きな施設がたくさんあって福祉が進んでいる。』といい、80年代に視察をした人ガ『やっぱり福祉が進んでいる、施設がほとんどない』といった・・」というジョークがありましたが、刺激を受けたあと、目の前の「問題」をどう解決するのか、日本の力と苦手なところを踏まえて考えてい泣かなくちゃならないと思っています。
(2008.03.13 12:37:28)

Re:こんばんは。(03/12)   よたよたあひる さん
四死天 緋水さん

我が家はここしばらく、私とアライグマオヤジさんと両方でフィンランドを調べることにハマっておりました。調べていくと、本当に「一筋縄ではいかないタフなお国柄」だと思うんですよね。シビアなリアリスト集団、でもって、緋水さんが言われるとおり、人を大事にする基本があります。

 私が、日本がフィンランドと同じ道を行くことが今は絶対に無理だと思うのは、偉いさんの問題もありますが、日本の国民が「お上におまかせ」メンタリティから抜け出してないと思うからです。行政と国民・市民との関係が未熟というか信頼関係が乏しいし、国民・市民からの積極的なコミットメントが難しいですからね。「税がどう使われているかわかったもんじゃない」だから「なるべく税は払いたくない」わけです。
 最近、医療や教育で過剰なクレーマーが出現して現場は大変ですが、「クレーマー」がただの「だだこね」に終わらず、「良い公共」を作る種になればいいのですがなかなかそうはなっていません。
 今までのやり方が通用しなくなる環境(自然も経済も人の動きも)になってきているのですから、ラディカルという言葉の本来の意味、「根源的な」変化は避けられないと思うのです。 (2008.03.13 12:50:31)

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