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2009.03.13
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 3月6日の記事、<「中立」ねぇ・・>の続きです。

 3月6日の国会中継、参議院予算委員会での山谷えり子議員の質問、聞いているうちに、言いたいことがたくさんでてきたので、録画すればよかった・・と後悔していたのですが、その部分の発言、塩谷文部科学大臣とのやりとりがYoutubeにアップされていました・・やった!!
↓ (再生時間 約5分)
http://www.youtube.com/watch?v=ACJLb3_xAdA

 それで、この発言を文字に起こして、以下に引用します。そして、私の意見を述べていきたいと思います。
-----------------
山谷えり子議員:
 続きまして教育再生の問題でございます。教育基本法の改正が60年ぶりに行われ、伝統文化の継承、それから道徳心、情操心を高めること、職業教育、家庭教育の充実、地域社会との連携...すばらしいことがいろいろ入りまして、私も教育再生担当の総理補佐官として働かせていただいておりましたが、「教育の現場変わったよ」というような嬉しい声を聞いております。
 しかしながら、民主党を支えている日教組はですね、教育基本法、これに反対をしている、道徳教育にも長い間反対している、正直、親切、勤勉、チャレンジ精神、親孝行、日本人の美しい美徳です。しかし、これすらですね、「ザ・価値観」の押し付けになるから良くない、なんてとんでもないことを言っているわけです。
 そのほかに、反日教育、国旗・国家に反対する運動、過激な性教育を低学年からする、ジェンダーフリー教育といって、男女ごちゃまぜ、林間学校でも男女同じテントに寝かせるようなこともやっております。ま、このようなですね、ことをはじめとしまして、たとえば、北教組などはいじめで自殺した女の子に対して調査をしようというと、北教組は、それを調査を邪魔をした。あるいは大分県の教員の人事採用などの問題もございました。
 今、自民党は、「日教組問題究明議員連盟」というものを作っております。たっくさん、ですね、本当に悲鳴が、先生自身からもあがってきているわけで、たとえば西宮市の教職員組合、「教頭は私たちの仲間から」ということで、「教頭推薦に積極的に取り組みましょう」というようなですね、こんな文章まである、大分はもう氷山の一角で、全国でいろんなところでですね、恐怖政治をひいているわけでございますが、こうした逸脱行為、塩谷文部科学大臣、しっかりと対応していただきたいと思いますが。

塩谷文部科学大臣
  ただいまの教職員組合についてでございますが、違法なストライキや不適切な行動は公教育に対する国民の信頼を著しく欠くものであるということで、大変遺憾に思うわけでございまして、われわれ文部科学省としても、今、ご指摘があった北海道、あるいは大分、西宮、それぞれ教職員組合の違法、不適切な活動の是正について、当該地域の教育委員会と十分に連携をとって、厳正に指導をしてきたところでございます。

 また今後とも、各学校において校長の権限と責任の下で、法令にのっとった適切な学校運営が行われるように、各教育委員会と協力し、教職員組合による不適切な活動の根絶に向け、毅然と対処していきたいと考えております。

山谷えり子議員:
 日教組の元先生、参議院の民主党の会長、議員会長はですね、この新春の日教組の会合で、ですね、「教育の政治的中立はありえない」「私も永遠に日教組の組合員であるという自負をもっている」というふうに、お述べになりました。これはどういうことでございましょう、塩谷文部科学大臣おねがいします。

塩谷文部科学大臣:
 今の発言については、その真意が測れないところがありますので、コメントは直接は控えさせていただきますが、教育はそもそも中立かつ公平に行われるべきものであって、教育の政治的中立を確保することは大変重要なことだと思っております。教育基本法の14条、2項において、学校における特定の政党を支持または反対する党派的政治教育などを禁止するとともに、教育公務員特例法においては、教員の政治的行為について、一般の公務員より、厳しく制限されているところでありまして、関係法令において、教育政治的中立を確保するために規定がもうけられているというところであり、仮にそういった規定に反するという意図があれば、それは大変問題であると思っております。

山谷えり子議員:
 イデオロギー教育、日教組に加入していてもですね、イデオロギー教育や政治運動の強くない地域もあります。しかし、一方、強い地域はですね、本当に子どもたちがかわいそうで、いろんな問題があるわけでございます。「政治的中立はありえない」というような民主党が政権をとるということは、本当に恐ろしいことだと国民は心配しているというふうに思います。
----------------


 山谷えり子議員は、教育基本法の「素晴らしい改正」について語り、<民主党を支える日教組>がこの改正教育基本法に反対しており、道徳教育にも反対していることに言及しています。そして、「日教組の教育」や「日教組の活動」を批判し(ここに「」をつけているのは、列挙されている項目が様々なレベルの問題をごちゃまぜに取り上げているので、すべての評価を同等にあつかうのが難しいと私が考えているからなのですが)、日教組出身の民主党参議院議員会長の例の発言「教育の政治的中立はありえない」をとりあげて、「民主党が政権をとるということは、本当に恐ろしいことだと国民は心配しているというふうに思います。」と結んでいます。
 これは、岩永浩美議員の関連質問だったそうで、岩永議員は、民主党の小沢一郎代表の政治資金規正法違反事件に関して、法務大臣の見解をお尋ねになったとのことです。
(自民党HP 3月6日ニュース http://www.jimin.jp/jimin/daily/09_03/06/210306b.shtml)話題はまったく異なり、「民主党批判」という趣旨以外は「関連性」はないと思われますが、国会での「関連質問」というのはそういうものなのでしょう。

 でも、その当の教育基本法の改正は、最終的に野党4党が欠席する中で、強行採決されたものです。教育基本法の「改正」に反対していたのは、何も日教組だけではありませんし、タウンミーティングのやらせ問題など法の文言と別次元での問題もありました。いじめや履修不足、学力低下論争問題等々、緊急の対策を必要とする教育に関する問題は山積していましたが、「基本法」の「改正」をあの時点で与党のみの単独採決で決めなくては解決できないというような問題ではなかったはずです。小泉郵政選挙で自民党に投票した人の中に、教育基本法の改正を望んでいた人・・いや、そういう改正に至るであろうと予測した上で自民党に投票していた人はどれだけいたでしょうか。
 道徳教育の教科化に関しては、2007年4月26日に、当時の中教審の山崎正和会長が、日本記者クラブ会見で「価値観が多様化する中、決着のつかない倫理的問題は学校になじまない。」「点数をつけられるものでもなく、学校で簡単に教えられない。代わりに民法や刑法などの順法精神を教えればいい」という個人的見解を語っています。道徳教育に批判的、反対の立場の人が何も「反日教育」をしたい人だけではありません。
 また、大分の教員採用・人事をめぐる問題に関しては、日教組だけじゃなくて、自民党議員の口利きもあったわけですから、どっちもどっちという問題・・もっと言ってしまえば、要するに、そのような口利きをする日教組自体が体制内存在に過ぎないということでしょう。
 だいたい、国会審議の中で提出された民主党による「改正案」には、それこそ「公共の精神を大切にする人間の育成」も「日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求することである。」という文言まで入っていましたから、日教組批判から始まった質問を「政治的中立はありえない」というような民主党が政権をとるということは、本当に恐ろしいことだと国民は心配しているというふうに思います。」と結ぶのはちょっと変です。勇み足がすぎた、ということかな、と思ったりもしますが。

 この山谷えり子議員の「質問」に対して、塩谷文部科学大臣の答弁は、かなり慎重な発言になっておられるな、と思いましたが、「教育はそもそも中立かつ公平に行われるべきものであって、教育の政治的中立を確保することは大変重要なことだと思っております。」とおっしゃっています。
 この「中立」ってどんな意味かなぁとずっと考えています。
 まぁ、「新しい教科書を作る会」の教科書も、教科書検定にひっかかって、訂正を余儀なくされていますから、「中立」を成り立たせる努力はこれまでも行われてきたかな、と思いますけれど。

 
 多数派なら「中立」なんでしょうか。
 
  
 以下に、「改正」後の教育基本法の第16条を文部科学省に掲載されているPDF、<改正前後の教育基本法の比較>を緑色の文字で引用します。

http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf
太字は旧法にはなかった言葉、項です。
-----------------
第三章 教育行政

(教育行政)
第16条
 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。

4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
----------------


 「法律」の定めるところにより、とありますから、「法」の規定に沿っていれば、「中立」が担保できるのでしょうか。でも、その「法」の決め方が、与党単独採決でいいのかしら。「中立」は多数決で決めることができるものですか。
 

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Last updated  2009.03.14 21:21:50
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