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カテゴリ:バレエ(見る)
第13回世界バレエフェスティバル <プログラムA>
指揮:ポール・コネリー 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 ■第1部■ 18:00~18:45 「スターズ・アンド・ストライプス」 振付:ジョージ・バランシン/音楽:ジョン・フィリップ・スーザ ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン 我らがダニール・シムキンがトップバッターですよ(おかげでうっかり遅刻出来ない…)。明るくて軽快な作品ですが、正直に言えば(^^;、もうちょっとはっちゃけてくれても良かった様な…。ちなみに、ダニールはつい2,3ヵ月前にめでたく米国グリーンカードを取得されたそうで、その意味でもこの作品をやる感慨があったそうです(と、トークショーで話してました)。 「モペイ」 振付:マルコ・ゲッケ/音楽:C.P.E. バッハ フリーデマン・フォーゲル ユーモラスな振付ですが、既に何度か見ているので、改めて(しかも同じダンサーを2回出してまで…放送対策だと思いますが)観たいとは思わないなー。 「幻想~『白鳥の湖』のように」より第1幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン ノイマイヤーらしい幻想的な風景…基本的に好きなんですが、もう少し緩急があった方が良かったのか、こちらの集中力が足りなかったのか。聞くところによると「白鳥の湖」をかなり書き換えた作品なのだそうで、全幕を観る機会があれば、ぜひ見て観たいです。その前にDVDかな。 「ドリーブ組曲」 振付:ジョゼ・マルティネス/音楽:レオ・ドリーブ 上野水香 マシュー・ゴールディング え~っと、衣装は似合っていました。上野さんは、スタイルが良いので、デベロッペとかしたら綺麗なんだけれど、回ると上半身がグラグラで、あ、軸が弱いってこう言うことを言うんだな、とか余計な感想を…。マシュー・ゴールディングのマネージュは、この作品特有の逆マネージュじゃなくて、順マネージュだったで、楽しみ半減。 ■第2部■ 19:00~19:45 「扉は必ず...」 振付:イリ・キリアン/音楽:ダーク・ハウブリッヒ(クープランの「プレリュード」に基づく) オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ 6年前、第11回のバレエフェスでこの作品を初めて見た時は、かなりのインパクトで心を奪われました。あの時は二人が光を放ち、輝いて見えた…。 今回、残念ながら、お二人とも年を取ったなぁ、と。何がどうと言うわけじゃないのですが、色褪せて見えた、本当にそんな感じです。 「海賊」 振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー ポリーナは相変わらずの健康娘。 しかし、なぜだかゼレンスキーが気に入りました。たぶん、長年バレエ人気を支えてきたbig name達が、今回のフェスで衰えを隠しきれないのに対し、まだまだ現役とばかり、美しい跳躍を交えて果敢に踊っているからなのでしょう。若手の様に息もつかせず立て続けとはいきませんが、キメどころでは充分高く美しいのです。良いものを見たなぁ。 「セレナータ」 振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:アメリゴ・シエルヴォ ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ ネット上でいろんな方の感想を読むと、好き嫌いが分かれる感じがしましたが、私は好きですよ、この作品。土臭く激しく踊る、この2人に合っていると思いますし、こう言った方面にも芸域を広げる意欲も買います。イワン・ワシリーエフは、主にサポートに徹している感ありましたが、オシポワの身体能力、やっぱり半端ないなぁ。 「瀕死の白鳥」 振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス ウリヤーナ・ロパートキナ チェロ:遠藤真理、ハープ:田中資子 いや~もう、「至宝」とか「文化遺産」とか「人間国宝」とかそう言った言葉が行き交う、バレエ芸術の一つの頂点で、眼福でございました。チェロ、ハープの演奏も良かったです。 もともと「瀕死の白鳥」ってそんなに好きじゃないんですよ、プログラムにあると、え。また~?とか思っちゃう位で。でも、やはり究められた動き、特にアームスの美しさには、ため息が出るばかりです。 で、古典をやるなら、こういう究極の美を目指して欲しいな、と、これはすべてのバレエダンサーに対して願う訳です。 ■第3部■ 20:00~20:55 「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・クランコ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー あーこれは、とても良かったです! マクミラン版と雰囲気的には似ているのですが、初恋の輝きに満ちている感がとても伝わってきて。(マクミラン版との)こまかい相違点を指摘出来るほど詳しくはないのですが、やはりクランコっぽい振りが入ったり(ジャンプして回転してロミオの胸に飛び込んだりとか)、していたように感じました。そしてプロコフィエフの音楽も本当に好きです。 「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" 振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス むむむむ。ダイヤモンドは、やっぱりピンと張った緊迫感がないといけないと思うんだよね。硬質の輝きというか。ノーコメント。 「ディスタント・クライズ」 振付:エドワード・リャン/音楽:トマゾ・アルビノーニ スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ 以前より痩せたかな?と思うけれど、やはりザハロワは美しい。振付の妙とかそいうのはあんまり覚えていないんですけれど、ただただザハロワの美しいラインに見惚れていた様な…。メルクリエフが踊っている時でさえ、上手側で佇んでいるザハロワ様のラインに見惚れていた様な(ごめん!)。 「パガニーニ」 振付:マルセロ・ゴメス/音楽:ニコロ・パガニーニ マルセロ・ゴメス ヴァイオリン:チャールズ・ヤン や、これはソロじゃなくてデュエットですよね、ヴァイオリニストとの。 掛け合いも楽しく、ウィットにも富んでいて、フレーズ毎にいろんなカタチの踊りを見せる、とても楽しい作品でした。こういう音楽と戯れるタイプの作品はとても好みで、ゴメスとはまた持ち味も出せるものも違いますが、ダニールにもこう言う系統の作品をやって欲しいな、と、かなり熱く(^^;願っています。 少し退屈な演目も多かったAプロの、文句なくMVP! 「ラ・シルフィード」第2幕より 振付:ヨハン・コボー オーギュスト・ブルノンヴィルに基づく/音楽:ヘルマン・S.レーヴェンスヨルド タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー これも良かった~。巷では、タマラの着地音がどうだとか言われている様ですが、そんなことどーでも良いよん。ジェイムズ・マックレーと無邪気に戯れる様が可愛いよ、タマラちゃん。そして、スティーブン・マックレーの、おお!これか!ブルノンヴィル(コボー)!的な脚捌きの連続がま~見事で、惚れ惚れしちゃいました。タマラの技巧を見せる作品じゃなかったのだけれど、マックレーの良さを見せるためにこの作品を選んだんじゃないかな?と思わせる位。お互いのリスペクトも感じて、この二人のお気に入り度、ぐんぐん上昇中です。 ■第4部■ 21:10~22:10 「ブレルとバルバラ」 振付:モーリス・ベジャール/音楽:ジャック・ブレル、バルバラ エリザベット・ロス ジル・ロマン 正直に申し上げて、ベジャールは苦手。いやベジャールが苦手なのか、ジル・ロマンが苦手なのか、もしかしたら後者の様な気もするけれど。たぶん以前にもどこかで見たことのある作品で、かつ長いため、私にはちょっと苦痛でした。 「明るい小川」よりパ・ド・ドゥ 振付:アレクセイ・ラトマンスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー 全幕からどのように抜粋したのか、ちょっとよくわからなかったけれど、明るくて、また私に取ってはちょっと懐かしい(昨年散々ABTで観たので)演目をこの二人がやるのは、とても楽しくて良かったです。(苦手なコンテもちょっと続いていた後だし…)コボーのパートは、バレエ・ダンサー(コボーもダニールも演っていた)だとわかるんだけれど、コジョカルの方は、ジーナなのか、バレリーナなのかちょっとわからない。そもそもコジョカルは明るい小川演じたことあるのかしらん? 「カンタータ」 (世界初演) 振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ 。。。マラーホフ。。。(絶句)。 あーでも、当初Bプロの予定だったのを入れ替えたのは正解だったと思います。ファンを驚愕させるのなら、先にしておいた方が(たぶん)良いもんね。 世界初演ということですが、特に印象に残る部分もなく、衣装と体型の残像しか残ってない…。 「オネーギン」より第1幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル ドラマティックな人達が演じたら(踊りもかなり技巧を要しますが、それでも演じると言う方が適切か、と)、盛り上がる名作ですが、このペアははずれですね。どうせなら、オルガとレンスキーで若々しく踊ったら良かったのに、と思います。リフトされながらシュッと回るポリーナの脚先のスピード”だけ”は、ちょっと好きでしたけれど(^^; 「ドン・キホーテ」 振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ サラファーノフもノヴィコワも大好き~なんですけれど、ちょっとフェスのトリには、地味めで、華やかさが足りないように感じました。ノヴィコワは、眠りとかもっとお上品な姫で観たい感じです。サラファーノフも、コーダ、ザンレール-ピルエット-ザンレール-ピルエットの連チャンでしたね。このシーケンス、結構好きかもしれない。 ---- Aプログラムを通しては、第3部が楽しかったかな。コンテは好みが分かれますし(合わないと長く感じる…)、フェスらしく飛んで跳ねて競うような演目(それが良いって訳じゃないですが、正統に美しい演目もコントラストがあって生きてくるというもの)もあまりなかったせいか、ちょっと燃焼感には欠けたような気がしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.08.19 18:47:23
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