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まろ0301

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2012.06.06
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1944年6月6日

ノルマンディー上陸

 

「勝敗はこの海岸で決まる。敵を撃退するチャンスはただ一度しかない。それは敵がまだ海の中にいて、泥の中でもがきながら、陸に達しようとしているときだ。味方の援軍は攻撃された地点にやってくるまい。期待するほうが間違っているのだ。ここが主要防御戦線になる。この海岸にそって味方の全兵力を置かなければならない。上陸作戦の最初の24時間は決定的なものになるだろう。この日いかんによってドイツの運命は決する。連合軍にとっても我々にとっても<一番長い日>になるだろう」

 これは、ロンメルが西部軍総司令官にして陸軍元帥であったフォン・ルントシュテットの敵が上陸してのちにこれをたたくという戦術に対して副官のヘルムート・ランク大尉(36歳)に語った言葉である。

 ヒトラーの信任を勝ち得ていたロンメルは、その考えを実行する。

 こうして、「上陸地点として好都合だと判断したあらゆる海岸の干潮線と満潮線のあいだに、それぞれの土地で徴用した人夫に助けられた部下たちの手で、鋭い角のある鋼鉄の四面体、鋸歯状の柵、鉄の刃のついた木の杭、セメントの円錐などの障害物を設置させた。これら全ての間に地雷が埋められた。地雷がない時には、ちょっと触れただけで破裂する榴弾がその代わりをした」

 「ロンメルは、落下傘部隊やグライダー部隊の脅威も忘れてはいなかった。彼は要塞化された地域の背後の低い土地を水浸しにし、海岸から10キロまでの木のない地域に巨大な杭を一面にうちつけた。これらの杭の間には、鉄線が走っていて、ふれるやいなや地雷が破裂するのだ」

 対策は完ぺきといってよかった。ただ一つだけ問題があった。ノルマンディーの海岸に連合軍が押し寄せていたまさにそのときにロンメルは休暇を取って現地を離れていたということである。

 ドイツの情報将校ヘルムート・マイヤーは、イギリスBBC放送からフランスのレジスタンス組織あての暗号による指示を傍受していた。6月1日に彼の部下が、以下の句を傍受した。

 

秋の日の

 ヴィオロンの

 ためいきの

 

 情報局長のヴィルヘルム・カナリスは、ヴェルレーヌのこの有名な詩が、連合軍の上陸を予告するものという確信を持っていた。

 続く、

 

 身にしみて

 ひたぶるに

 うらがなし

 

 が発信されたら、「発信後の深夜から数えて48時間以内に侵攻が開始される」という確信も持っていた。

 この情報はただちにルントシュテットとロンメルの総司令部へと伝えられた。

 しかし有効に活用はされなかった。ルントシュテットはロンメルが対処すると思っていたし、ロンメルは連合軍の意図については独自の見解を持っていたからだ。6月4日の午前7時、朝食を終えたロンメルはドイツに向けて出発した。

 イギリスでは、『デイリーテレグラフ』紙のクロスワード出題者であったレオナード・シドニー・ドウが、5月27日付の紙面に載せたクロスワードの中のいくつかの言葉についてスコットランドヤードの対諜報科の尋問を受けていた。

 「どうしてこの言葉を選ばれたのかを知りたいのです」

 その言葉とは、オーヴァーロード、オマハ、マルベリー、ネプチューンであり、それらはすべて侵攻作戦、上陸地点、人工海岸、上陸に際しての海軍の行動の総称の暗号だった。ドウには、何のことやらわからなかった。不思議な暗合だった。

 

 アイゼンハワーは、5月17日に上陸作戦を6月5日から7日までの三日間のうちに決行することを決心していた。この三日間だけ、遅い月の出と夜明け直後に干潮が発生するのだ。

 空輸される歩兵部隊と落下傘部隊とは月明かりを必要とするが奇襲効果を発揮するためには夜の暗いうちに攻撃地点の上空に達していなければならない。遅い月の出は不可欠な条件であった。そしてロンメルが敷設した障害物が見えるためには上陸作戦は干潮時に行わねばならなかった。

 彼は6月5日を選んだ。不測の事態や気象条件が最悪となった場合でも一日の延期はできるからだ。しかしもうそれ以上は延期できない。その時期を逃せば1カ月、2カ月の延期を余儀なくされる。20万人もの人間が集まっていることをドイツが察知しないはずがなかった。

 6月4日の9時半に最新の天気予報が発表された。

 新しい前線が英仏海峡に向かっており、数時間後に上陸地点一帯の天候は一時的に好転する。5日の夜から6日の朝にかけて爆撃機の行動も可能となるだろう。

 決定するのはアイゼンハワーただ一人であった。D-DAYは、6月6日火曜日と決定され、巨大な歯車が回り始めた。

 著者は、空挺師団の兵士たちの悪戦苦闘に多くの紙面を割いている。

 風に流されてコースをそれ、沼地、あるいはロンメルが用意していた水浸しにされていた地帯に降下しておぼれ死ぬもの、ドイツ第711師団の指揮官ヨーゼフ・ライヘルト将軍の目の前に降下したもの。

 ライヘルト「おまえたち、いったいどこから出てきたんだ」

 兵「申し訳ありません、でも、ここに落ちたのはまったくの偶然なので・・・」

 目的地へ降下できたものも、できなかったものも、自分たちに与えられた使命を果たさねばならなかった。それは、橋の確保であり、道路の占拠、電信線の寸断などであった。もちろん、レジスタンスメンバーとのいち早い連絡も任務の一つであった。

 「ノルマンディーのあらゆる地域で、ドイツ兵とアメリカ兵とはしばしばばったりと顔を合わせた。どちらが生き残るかは、冷静さと引き金に手をかける際の一秒の何分の一かの遅速にかかっていた」

 しかし、こんな例もあった。

 果樹園の中で全く孤立していたある軍医は、一人の男がそろそろと進んでくるのを見た。かれは、所属部隊の合言葉「フラッシュ」と叫んだ。答えは「サンダー」のはずだったが、相手は、「イエス・キリスト!」と叫ぶとくるりと振り向いて気が狂ったように逃げて行った。

この事態に対して、ドイツ兵たちは最善を尽くして戦ったが、上層司令部は「万事平穏」「上陸などはありはしない」と判断し、ロンメルに連絡すらしなかった。

 6月6日の早朝、約5000隻のさまざまな種類の船がノルマンディーの海岸の沖合に停泊していた。

 兵士の一人は祈った。

 「神よ、ご承知と思いますが、私はこれから恐ろしく忙しくなります。私はあなたを忘れるかもしれませんが、神よ、あなたは私をお忘れになってはいけません」

 午前5時半、すでに第一波は海岸に接近しつつあった。海は荒れており、大半の兵士が船酔いに苦しんでいた。

 戦艦、巡洋艦の艦砲射撃が始まり、爆撃が敢行された。だが、雲に視界を遮られた329機の爆撃機は、自軍を爆撃することを恐れて、海岸線のドイツ軍要塞から5キロも離れた内陸部に1万3000発の爆弾を降らしていた。

 ロンメルの作戦は功を奏した。上陸用舟艇の何隻かは障害物に沈没させられ、機雷に接触した平底揚陸船からは一台の戦車が「30メートル以上も高く空中に舞い上がって、ゆっくり水に落ちて姿を」消していった。

 多くの舟艇の中で兵士たちは武器に執着していた。特に弾薬に。こっそりとまぎれこんで弾薬を持っていなかった兵は懇願してやっとのことで八人の兵士たちから一発づつの実弾を分けてもらえた。

 オマハ海岸では、上陸部隊を支援するはずだった水陸両用戦車の半数が沈み、要塞からの銃撃、砲撃によって何百人もの死者を出すこととなった。あれほどの艦砲射撃にもかかわらず、ドイツ軍の要塞の攻撃力は旺盛であった。

 「オマハの海岸線では、舟艇が船首の扉をおろすと、それが敵砲火の再燃の合図となるかのようだった」と著者は記しているが、スピルバーグの「プライベート・ライアン」を観た私はあの恐ろしいシーンを想起した。舟艇の船首部分には、分厚い鋼鉄が使用されているのだが、そこに、機関銃弾が音を立てて当たってきている。舟艇の船首部分の鋼鉄の壁は、上陸が敢行される場合には、海岸線に向かって下ろされる。つまり、最前線にいる兵士は、突然機銃掃射にさらされるという運命が待っているということになる。兵士たちはハチの巣になり、死体の山が築かれていく・・・。

 障害物にひっかかった舟艇に乗っている兵たちは海岸まで何とか到達せねばならなかった。重い装備のために溺死するものも続出する。

 しかし、障害物を取り除こうと奮闘した工兵たちの損害はこんなものではなかった。爆薬を装着したのを狙いすまされて臼砲射撃を受け、狙撃兵に狙われて、工兵の半数がその日の終わりまでに戦死していた。

 






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Last updated  2012.06.06 18:12:05
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まろ0301@ Re[1]:ドラマ「舟を編む」(03/27) maki5417さんへ 正社員二人というのは、…
maki5417@ Re:ドラマ「舟を編む」(03/27) 私も見ています。 キャスティングを見てど…
まろ0301@ Re[1]:ドラマ「舟を編む」(03/27) 嫌好法師さんへ 「なんて」の語釈。 […
嫌好法師@ Re:ドラマ「舟を編む」(03/27) ある人から勧められ私も今ハマっています…
まろ0301@ Re[1]:大二病なのか?(03/20) maki5417さんへ 確かに「詳細につきまし…

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