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「刑事フォイル」(衛星 土曜日)を見ている。元題名は、「フォイルの戦争」。 最初のシリーズは、戦時下のイギリスで起きる難事件をフォイルが解決していくもので、これは面白かった。 新シリーズは、戦後のイギリス。フォイルは、警察を辞職して、情報機関MI5に所属している。冷戦に翻弄される人々、西側と東側とのし烈なスパイ合戦。 前のシリーズでフォイルの運転手を勤めていたサム(サマンサ)・スチュアートは、このシリーズでもフォイルの運転手をつとめている。労働党の議員と結婚している。彼女は大変に無鉄砲なところがあって事件に深入りして危ない目に遭うし、ついでにお腹には赤ちゃんがいるしという状態でハラハラさせられる。 今回は、「ハイ・キャッスル」。イギリスのウィスキーらしい。最初に貨物船に忍び込んで、樽に入ったハイ・キャッスルを盗み出そうとする兄弟が登場する。盗みは失敗して兄弟は逃亡・・・というところから始まるのだが、見終わって、岡倉古志郎著『死の商人』を思い出した。第一次大戦の時、塹壕戦となった英、独両軍。互いに手りゅう弾を投げ合うのだが、ドイツ製の手りゅう弾は不発弾が多かった。ところがある時期を境に爆発率が劇的に向上(?)、英軍には多大の死傷者が出る。 ある日、たまたま不発弾が転がって来たので手に取ってみてみると、英軍が使用している手りゅう弾とそっくり。あとでわかったのは、イギリスの武器商人アームストロングが、手りゅう弾の製造方法をドイツにも提供していたこと(もちろん、巨額のパテント料と引き換えに)。 「ハイ・キャッスル」の仕掛けは更に巧妙になっている。戦後の世界で重要性をさらに増した石油の取引が絡んでくる。 戦後のイギリス社会の問題も取り上げられている。サムの夫は労働党の議員。彼のところには、降格されて賃金も減らされたという女性からの何とかしてほしいという訴えがある。彼は同僚とともに彼女の職場に乗り込んでいくのだが、彼女の後釜に座った男性の履歴を知ることとなる。 テレビで「アフター・ヒトラー」(前)(後)を見たのだが、まだまだ知らないことの多さに圧倒された。 45年の5月にドイツが降伏して確かにヨーロッパでの戦争は終わった。しかし、復讐が多発、東欧在住のドイツ系の人々は、大変な目に遭う。強制収容所が解放されてから亡くなった多くのユダヤ人の死因。自分の国に帰ろうとする人々の長蛇の列。破壊された町の復興。手作業での瓦礫の処理・・。 今回の「ハイ・キャッスル」には、ニュルンベルク裁判で裁かれようとしているIGファルベンという巨大化学企業の幹部が出てくる。ヒトラーに様々な兵器を提供し、アウシュヴィッツなどで使用された毒ガスのチクロンBを製造した企業である。もちろんその男は罪悪感など感じていない。「我々の持っている技術をアメリカも欲しがっていたのに、なぜ私がこんな目に遭わねばならないのか」とくってかかるほどだ。 もちろん、イギリス企業の手も汚れている。フォイルはそれを突き止める。最後に、トップシーンがもういちど、更に詳しく出てくる。ウィスキーの樽と信じて穴からチューブを使って盗もうとした少年は、一旦ウィスキーを吸い出して、あとはサイフォンの要領でバケツに入れて盗もうとする。しかし、少年が吸い出そうとしていったん口に入れた液体はウィスキーではなかったのだ。
次回作品は「パレスティナ」が出てくる。イギリスの手が汚れている地域だ。さて、どうなるか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.05.18 22:32:36
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