□◇どうして暗いのか◇□「くらい」の漢字
常用漢字では「くらい」というと「暗い」「闇」ですが、常用漢字外にも「くらい」と読む漢字はいろいろあります。 どの字も、物理的に「くらい」から、人として物事に対して「くらい」(よくわかっていない、愚かしい)意味を持つようになっています。(ほの暗いの「幽」を除く)「どういう暗さ」からきた字なのか、見ていくとバラエティー豊かで興味深く思えます。 ほかにも溟(小雨が降ってくらい)・暝(日が暮れてくらい)・瞑(目を閉じる→はっきり見えなくてくらい)矇(目が見えなくなる、目が覆われてよく見えない→くらい)という漢字もありました。☆昏…コン、くら(い)、くら(む)☆蒙…モウ、ボウ、おお(う)、こうむ(る)、くら(い)、おさ(ない)昏い 蒙=「ヒカゲノカズラ」の画像を見たら羊歯というより地を覆う苔のような植物です。常緑で、採集してからもみずみずしさを保てることから、神事や正月飾りに使われるそうです。ヒカゲノカズラ 「蒙」は、覆うようにはびこる羊歯植物から、「覆われて暗い」になりますが、「まだ道理をわかっていない、無知な」という意味があり、そこから「啓蒙」の熟語もできました。 「啓」は「ひらく、導く」。「啓蒙」で「専門的な知識に暗い(無知な)人々に向けて、教え導く」という意味になりますが、広く社会に向けた活動を指しました。「教育」の意味合いが強い言葉です。 「啓蒙活動」は、例えばワクチン接種(効果と安全性のデータが出ていることが前提です)の大切さを、専門的な知識を持った人たちが広く国民に呼びかけるような活動。あるいは、動物虐待防止や、環境問題についての活動など。 「啓蒙思想」は、イギリス・フランスからヨーロッパに広がった革新的な思想。キリスト教会の権威から解放された、理性による思考の普遍性・不変性を主張する思想です。詳しくは歴史・哲学に「くらい」ので言えません。ごめんなさい。