鹿児島県伊佐市出身で「天と地と」「西郷隆盛」などの歴史小説で知られる,海音寺潮五郎の功績をたたえる講演会が、10日、鹿児島市の鹿児島市のかごしま県民交流センターで開かれました。
幕末の水戸藩士に嫁いだ女性の半生を描いた小説『恋歌』」で,今年の直木賞を受賞の朝井まかてさんが,「女たちの幕末期」と題して記念講演しました。
朝井まかてさんは,薩摩藩の島津家の分家に生まれ徳川将軍の正室になった篤姫についても書きたいと思っていたとし,「幕府が崩壊するまでに発揮された抜群な政治力に心を動かされる。篤姫は言われることをうのみにせずみずから考え決断する力があった」と,その魅力を語りました。
会場では訪れた約400人は,朝井さんの話に耳を傾けていました。
この講演会は歴史上の人物や事件などをテーマに数多くの作品を残し昭和11年に直木賞を受賞した伊佐市出身の作家、海音寺潮五郎の功績を知ってもらおうと県立図書館が去年から開いている催しです。
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┗■ 大口酒造 『伊佐錦』
伊佐の11の蔵元が協業組合として統一ブランド『伊佐錦』の大口酒造を,1970年に創業。大口酒造の創業時,直木賞作家の海音寺潮五郎(かいおんじちょうごろう)は,次のような賞賛の書簡をよせている。
「薩摩の焼酎は,日本一…,いな世界一である…。その薩摩焼酎の中で伊佐郡の焼酎を最上とするとは,鹿児島県内の定評である…。僕のふるさとの焼酎なのである」。
厳しくも優しいその味わいが,薩摩出身の文豪を魅了したのであろう。その銘酒,「伊佐錦」の書体もまた,海音寺潮五郎による。