最大震度7を観測した能登半島地震の影響で、和倉温泉の老舗旅館「
和倉温泉 加賀屋」(石川県七尾市)は、「加賀屋」とグループの「あえの風」「松乃碧(みどり)」「虹と海」の4館を当面休業とした。1月末までは休業を決め、2月以降の対応についてはサイトで公表するという。
1日の地震発生当日、加賀屋はほぼ満室だった。宿泊客も従業員も全員無事で、避難所となっている近くの小学校に誘導した。その後、宿泊客は全員が帰路についた。鉄道利用の客は車で金沢駅まで送り届けたという。"さすが、加賀屋"さんである。
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心よりくつろいでい
ただきたい。創業
当時からの私たち
の願いです。 |
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加賀屋は2007年3月25日に発生した能登半島地震(マグニチュード6.9)で、建物は水回りを中心に大きな被害を受けた。予約のキャンセルも殺到し、キャンセル数は約2万5000人、9億円以上の損害だった。なお、地震発生の午前9時42分には、まだ3割の宿泊客が残っていたが、年2回の防災訓練がものをいって、全員無事だった。
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┗■ さすが-加賀屋の地震対応-
茂木健一郎著『
加賀屋さんに教わったおもてなし脳 [ 茂木健一郎 』の「地震による休業中の研修」の項で、加賀屋の地震対応策が紹介されている。
▼「地震による休業中の研修」
お客の「安全」が、旅館として何より大切なことは、あらためて述べるまでもない。地震のような予期しない緊急事態でも、お客を守る、安全を確保することが徹底されていたことが、宿泊施設としての実力を示している。
地震発生とほとんど同時に、宿泊客があちこちで従業員に「どうすればいい?」と訊いたところ、誰もが「すぐに全館放送が流れますから、その指示にしたがってください」と答えて、「さすが加賀屋は違う」と感心されたそうだ。従業員が、それぞれ違う指示を出すとお客はパニックになる。適切な誘導による安全の確保がなされた陰には、しっかり訓練された様子があり、お客に安心感を与えたに違いない。
「加賀屋では、あらかじめ与えられた役割分担通りに行動できるか、年二回、防災訓練をやっています。防災センターの全館放送の指示にしたがい、絶対に自分で勝手に判断しないようにと言ってきましたから、従業員は普段開き慣れているアナウンスを聞いて、『いつもと同じこと言うとるわ』 という感じだったようで、訓練通り落ち着いて行動できていました。やはり普段からの訓練は必要だなと痛感しましたね。放送している側もだんだん冷静になってきて、『ガラスが落ちているから、靴を履いてください』 など適切に指示できましたから」
そう話してくれたのは、総支配人の手島孝雄さんだった。
茂木健一郎著『加賀屋さんに教わったおもてなし脳』 p86~p87