1967203 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

A-World2

A-World2

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

a-chan8684

a-chan8684

カレンダー

お気に入りブログ

7~SevenDoors~ blacktiger2ndさん
THEおーれハイパー オーレ8275さん
Cinnamon’s… シナモン-03さん
王子様たちとわたし ぱるるまさん
りくの自己満ぶろぐ… りく7454さん

カテゴリ

コメント新着

a-chan8684@ 鳩ポッポの大きさ chachochachoさん、こんにちは。 鳩ポッポ…
a-chan8684@ 戦いの無い世界の実現 chachochachoさん、こんにちは。 一応、最…
chachochacho@ Re:小さなウスユキバト(06/04) ちいさな手頃の鳩ですね。これくらいの鳩…
chachochacho@ Re:ヒーローたちの戦いは報われたか(06/05) 深いですね。いい本に出合えましたね。タ…
a-chan8684@ 今年は空梅雨? やすじ2004さん、こんばんは。 6月になり…

フリーページ

ニューストピックス

2024.05.16
XML
横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。
今回も江戸川乱歩の感想を書きたいと思います。今回の作品群は、なかなか面白かったです。

影男
乱歩先生の作品の中でも一風変わった犯罪者・影男の物語です。頭脳明晰、スポーツ万能な彼は、遊び人、小説家、地主、若社長など、幾つもの顔と名前を持っていて、それらを全部使いこなしているから大したもの。天才なんでしょうね。
地位の高い人々の弱みを握り大金を強請るような事をする反面、恵まれない少女の為に「あしながおじさん」になってあげたりもする憎めない一面も持っています。
そんな影男に、殺人請負会社や秘密のパノラマ館(乱歩先生のパノラマ空間の中で最も女性の露出度が高い)の創設者が絡んできて、騙し騙され事態はややこしくなっていきます。
後の方になってから明智探偵が登場し、パノラマ館で影男、殺人請負会社社長、パノラマ館創設者の3悪を一網打尽にしますが、その時の描写が私には頭がクラクラ。何と言っても、裸の女性が多数いるパノラマ館の中で、犯罪者も明智さんも警部さんも警官隊も全身真っ黒タイツ姿で駆けずり回るのですから・・・・・・(苦笑)。
世間で正体がバレないように暗躍していた影男ですが、裏の世界で動くとなると、どうしても裏から裏へ話が伝わって深みに嵌っていく事になるのですよね。出所した暁には、真っ当な人生を歩んで欲しいです。

癖字で泣きを見る話。遊び人の友人に誘われて興味本位で秘密クラブに参加した主人公の男性。その秘密クラブで仮面舞踏会が催される事になりましたが、そこでとんでもない事態が起きてしまいます。
秘密クラブの会長さん、ダンスの際のパートナーは各会員の奥さんが当たるように番号札を書いていたのですが、癖字の酷い人だった為「11」と「17」が紛らわしくなり、本来なら自分の奥さんが当たる筈だったのが友人の奥さんと当たってしまい(友人も番号札を読み間違えたらしく)、泥酔した勢いで何やら酷い事をしてしまったようです(これは友人も同様のようで)。
乱歩先生も癖字で泣きを見た経験があるのでしょうか。ともかく、癖字は大きな間違いの元になりますから気を付けないといけませんね。自分も他人も。(「人でなしの恋」収録)

主人公の男性が、若い頃に思いを抱いていた女性の弟と知り合います。何やら、姉の形見の懐中鏡に主人公の男性の写真が入っていたらしく、彼はその女性も自分に思いを寄せていたものと思い喜ぶのですが、後にその懐中鏡は男性の現在の妻が修学旅行の際に盗まれた物と分かります。
懐中鏡の中の男性の写真は妻が入れた物であり、男性が思いを寄せていた女性は盗癖のある泥坊娘だったというオチ。主人公の男性も美しい夢が壊れて失意を感じたと思いますが、その分、自分を本当に愛してくれている奥さんを愛してあげて欲しいです。(「人でなしの恋」収録)

退屈していた主人公の男性が、別人に変装して妻の気を引こうとします。そうしたら、妻は本当にその相手(変装した夫)を愛し始めましたので、男性は自分の仮の姿に嫉妬心を抱くようにます。お終いには、男性は妻と離婚。変装した姿で妻と同棲するようになります。
結局のところ、妻は夫の変装に気付いていて、男性は騙すつもりが反対に妻に騙されていたようです。面白い夫婦間の愛の確かめ合いでした。(「人でなしの恋」収録)
(この話は、​摂津市民図書館​で見つけた「江戸川乱歩傑作選 獣」の中にも収録されています)

乱歩先生には珍しい軍事小説ですが、それでいて推理小説の要素もあります。戦時中に書かれた話だけあって、アメリカが徹底的に悪役になっています。それでも、アメリカでは日本に対して警戒する者がある中でも、上層部は日本を侮っているのは現実の世界のまま(この為に、アメリカは真珠湾攻撃で痛い目を見ます)。
主人公はアメリカ人の血を引く青年で、明治維新から4代に渡るアメリカ側のスパイとして育ちますが、アメリカの無差別攻撃により母を亡くした事(アメリカ軍は日本国にいる同志まで殺害)、自分を愛する女性の献身的な思いによりアメリカを裏切り、仲間達を全滅させます。裏切った以上は、死あるのみ。青年は服毒し、愛する女性と日本での上司に看取られながら息を引き取ります。
日本軍では妨害に遭いながらも新発明の超高速爆撃機を完成させ、日本の勝利は間違い無いという事で物語は終わりますが、戦時中から音速で飛ぶ飛行機を考えていたなんて乱歩先生は凄いです。実際に第二次大戦で日本が勝利していたら、どんな世界になっていたでしょうか?(「江戸川乱歩作品集Ⅲ」収録)

防空壕
戦時中、空襲見物を楽しむ主人公の男性が我が身が危うくなり、飛び込んだ防空壕の中で1人の若い美しい女性と出会います。命の危険が迫る中、男性は妻がいる身でありながらその女性と抱き合い、体を奪ってしまいます。
朝には空襲は収まり、男性が目を覚ますと女性はいなくなっていました。女性の事が忘れられず、何とか手掛かりを掴もうとしましたが、結局女性は見つかりませんでした。
防空壕の女性の正体は、何と防空壕近くに建っていたお屋敷で雇われていた婆やさん!灯の明るさが不鮮明であると、皺隠しのフィルターの役割を果たしてくれるようですが、この婆やさんも若い時には結構な美人だったものと思われます。
でも、男性に自分の正体を明かさず、美しい夢を永遠のものにしてくれた婆やさんは優しい人だと思います。男性は美女の幻影を抱いたまま、どこまで行くのやら・・・・・・。(「江戸川乱歩作品集Ⅲ」収録)

大実業家の若く美しい人妻に思いを寄せる男性が次々に殺害されていきますが、被害者には必ず白い羽根が送られます。この大胆不敵な犯人に、明智探偵が挑みます。
推理物としては本格的で、マネキン人形やテープレコーダーの使用、時計の細工といったアリバイ工作などを見ても犯人の頭脳の高さが伺えますが、その動機が明智探偵にも最後まで分かりませんでした(犯人の自白を聞いても理解不明)。
よく漫画などでテーマにされている「サイコパス」という人種のようですが、乱歩先生がこのような人種を作品に書かれていたというのは驚きです。まさに後の時代の先駆者。
この犯人の恐ろしさは、殺人動機が「恨み」や「欲望」といった人間的な感情では無く、愛情が高まると相手を殺すという、まるでカマキリに似た性質を持っている事。
殺人に対する罪悪感どころか、自分自身の死の恐怖すら感じていないようで、これから警察に逮捕されて下手をすれば死刑判決が下されるかもしれないというのに、しれっとしているのが薄ら寒いです。

今回は、ここまで。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.05.19 06:40:52
コメント(0) | コメントを書く
[横溝正史・江戸川乱歩] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.