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カテゴリ:横溝正史・江戸川乱歩
ペルシャ猫を抱く女 金田一耕助物の長編「志那扇の女」の原形とも言える短編。と言っても殺人事件が起きる訳では無く、生臭坊主が恋した女性を誰かのものにしない為に、贋作の肖像画で彼女を過去の毒殺事件の犯人の子孫と思い込ませる事を企むだけの事。まあ、主人公の男性が危うく殺され掛けますが・・・・・・。 ただ、それだけの事なので、真実を彼女に伝えた後はハッピーエンドです。 詰将棋 高名な学者とその弟子が、詰将棋の勝負にのめり込むあまり殺人に発展してしまう話。人間は勝負事にのめり込み過ぎると我を忘れてしまうようですね。サッカーのサポーターが良い例。私の父も好きな野球チームが負けたりすると機嫌が悪くなりますから、私は勝負事が昔から好きではありません。 学者が自分の妻を虐待していると思い込んだ弟子は、学者に殴りかかってしまいます。学者も正当防衛で弟子の息の根を止めてしまいます。全ては詰将棋の恨みから力が過剰に働いた結果でした。 双生児は踊る お茶目なタップダンサーの双子兄弟が探偵役を務めます。銀行強盗が盗んだ大金を工事中のキャバレー内に隠しますが、その隠し場所を巡って次々と殺人が起きてしまいます。 謎を解いていくのが、キャバレーでタップダンスを踊っている双子兄弟。理に適った事は言うのですが、言動が皮肉っぽいので警部さんは気に入らない様子。双子を容疑者と見なして、今に泥を吐かせてやるなんて言い出す始末(笑)。 結局、犯人はキャバレーの経営者だったのですが、その場に居合わせたというだけで銀行強盗の1人と見なされ、口封じに殺害された男性が気の毒です。 双子兄弟は事件を解決に導いても、犯人逮捕の際には出しゃばらず、普通にタップダンサーを続けていくのが好感が持てます。 薔薇より薊へ 映画監督の妻が、浮気性の夫とその愛人を罠に掛けます。3人で友人宅へ行く途中、妻が夫の愛人と掴み合いになります。夫が止めようとするも、妻は愛人の肩掛けを掴んだまま崖から飛び降りて自殺してしまいます。 結果として、夫と愛人が妻を崖から突き落とした状況ができてしまい、おまけに妻は夫の本に妻の殺人計画が記された手紙を挟んでいたので、夫と愛人は不利になる一方。 でも実はこの本、事件が起きる直前に友人がこっそり返していた本で、その時には夫は留守で殺人計画を挟み込めるはずが無いという事で、妻の企みは潰えてしまいました。 死なばもろ共の犯罪は怖いですが、実はこの妻も前の妻にヨットの転覆で道連れにされそうになっていたのです(前妻は溺死)。 命拾いした夫と愛人ですが、また夫が浮気したらこの愛人も先の妻達のように復讐に走るのでしょうか。 百面相芸人 どのような人物にも巧みに化けられる百面相芸人。その名も灰屋銅堂!!「びっくり箱殺人事件」にも同名の方がいましたが、どうも別人のようですね。 この灰屋氏の百面相の特技に目を付けた会社社長が、妻殺害の際のアリバイ作りに彼を利用します。何も知らされずに社長に化けて飲み歩いて楽しい時間を過ごした灰屋氏、言われた通りに飲み歩いた酒場の名前と相手をしたホステスの名前をメモした紙を社長に渡しますが、毒入りのタバコを吸わされて口封じされます。 ところが灰屋氏、何もかもお見通しで、毒入りタバコは吸っていませんでした。そして彼は社長に化けずに飲み歩いてたので、社長のアリバイは成立せず、社長は妻殺しの犯人として御用となりました。 百面相芸人、灰屋銅堂。彼は探偵としてのもう1つの顔を持っていて、社長の妻から夫の浮気調査の依頼を受けていたので事情が分かっていたようです。一筋縄ではいかない人ですね(シリーズ化して欲しかった)。 建築家の死 ある所に天才的な建築家がいました。彼はその独創的な建築技術で、家の入口を寄木細工にしたり、家の中を大迷宮にしたり、とにかく人知を超越した家を作りました。 その家から、すすり泣きの声・・・・・・!!何十日もかけてその家の中に入ってみると、建築家は部屋の中で窒息死していました。何故なら、彼は自分の部屋に入り口を作るのを忘れていたからです・・・・・・!!(これって、ギャグ!?なんか、笑えない) 生ける人形 「白い恋人」と同じ内容の話ですが、こちらには落ちが付いています。小人が女優を蹂躙する内容の映画。これは彼女に袖にされた映画関係者が復讐の為に作ったのでは無く、売れっ子になる前の女優が小人の男性と共演して撮られた映画で、その黒歴史を気に病んで、女優は小人の男性を道連れに自殺したのではないかと・・・・・・。何にしても、道連れにされた小人さんが可哀そうですね。
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最終更新日
2024.06.25 07:20:46
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