放し飼いの犬でクマ、サルを追い払う特区
危害を加えるおそれのある野生動物を追い払う訓練を受けた犬を放し飼いできるように内閣府構造改革特区担当室に長野県が提案した(04.11)。 おもしろいと思うと同時に??と思った。なぜそのくらいのことが国のお墨付きを得なければ長野県は実施できないのか。 長野県の田中知事は改革を断行して、県民だけでなく、多くの国民からも大きな声援を受けている立派な知事だ。 その知事のお膝元で、犬の放し飼いくらいの問題で国にお伺いを立てるのか。地方自治が強く求められ、地方分権が加速している現今だ。 長野県の「飼犬管理条例」には犬の係留(リ-ド)の例外として第3条(1)に、狩猟犬、牧用犬、盲導犬などが規定されており、第3条(2)に「飼犬を人畜その他に害を加えるおそれのない場所又は方法で、飼育し、訓練し、移動し、又は運動させるとき。」とある。 クマサル駆逐犬は第3条(2)の解釈ですむ問題だ。条例の趣旨は人畜に危害を加えるおそれのある犬は係留しなさいと規定しているだけであって、犬なら何が何でも係留しなさいという趣旨ではない。とえば、小犬でもリ-ドしなさいということではない。 憲法法律条例は国民県民市民の幸せの維持と向上を目的に規定されている。他人に危害を加えることなく、多くの国民県民市民が幸せに暮らせるなら、それを禁止する趣旨ではない。 法令知識が不足し、第3条(2)の解釈では明確ではないと思うなら、第3条(1)に「クマサル駆逐犬」とでも県条例の改正で追加すればすむことだ。それをわざわざ国に申請したのはなぜだろうか。長野県は地方自治ができない県だろうか。立派な田中知事がいるのに。 犬の係留を規定した法律はない。動物愛護法に関する環境省告示に「犬は原則として係留すること。」とあり、例外があることを認めている。その例外は都道府県が自らの判断で決めてよいということだ。国から自分で決めなさいといわれているのに、長野県は国にお伺いを立てている。 一事が万事。地方自治の実現のためには、まず、都道府県職員のコンプライアンス(法令順守)意識の涵養が不可欠だ。法律条例に無知蒙昧な小役人が多すぎる。 余談だが、長野県は3年ほど前に、犬の登山禁止の条例を全国に先駆けて制定しようと画策した県だ。 犬が自然環境を破壊したという科学的な証拠を示せと愛犬家に詰め寄られ、それができずに条例制定を断念した県だ。 クマサル駆逐犬と犬登山禁止とは相容れない考えだ。 長野県は犬についてはおかしなことを言い出す県だ。今日(05.2.18),全国知事会長の選挙結果が報道された。地方分権を強力に推進するという福岡県知事が当選した。 その全国知事会長に犬の係留などの微細なことでも、国にお伺いを立てる方針ですかときいてみたい。 犬の係留(リ-ド)に関する条例