四季の道の熱海桜
ウィルスは人から人へ感染する。いくら感染力が強いものでも、感染にはそれなりの理由があるはずで、単に感染者の2メートル以内のところに何分間か立っていたというだけで感染するとも思えない。だから、ステイホームとか不要不急の外出を避けるという呼びかけには疑問がある。家に閉じこもってばかりいるのは、健康にも精神衛生にもよくない。感染の不安の少ない自動車旅行などは気分転換にもぜひおすすめである。そんなわけで、この間、熱海の多賀地区のさくらまつりに行ってきた。まつりといっても露店や演芸などの催しがあるわけではなく、会場までの送迎バスがでていて、その会場には飲み物を売っている販売車があるだけなのだが。さくらというのは熱海桜で、河津桜以上の早咲きの品種らしく一月下旬には花期を迎える。ただ、ソメイヨシノのような華やかさや河津桜のような鮮やかな色彩があるわけでもなく、花としてはちょっと地味な感じがした。もっともそう思うのは桜自体がまだ満開にはなっていないせいかもしれない。そのかわり、多賀湾を望む高台からの眺めは素晴らしく、目の前には網代の町が、そしてその向こうには初島がくっきりと見えた。網代は今では熱海市に編入されているが、日本には珍しい純漁村だという。たしかに眺めてみると、山の周りの狭い土地に人が住んでいて農地になるような場所はなさそうである。その向こうの初島は首都圏からは手軽に行ける離島であり、有名な源実朝の「…沖の小島に波の寄る見ゆ」と詠んだ小島は初島だという。桜といえばソメイヨシノを連想するが、最近では熱海桜や河津桜のような早咲の品種があちこちで植栽されており、本家の熱海や河津以外でも見ることができる。ただし、松田市のまつだ桜まつりは中止となり、河津桜まつりは開催する方針だが、近隣で深刻な感染拡大があった場合には開催可否を判断するということになっているという。