■「吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」(論語)。40歳で惑わず、50歳で天命を知るなんて・・・(*_*; 「40にして一層惑い、50にして己れの限界を知る」ならわかる! なんて自嘲する方もいるのでは?
いやいや嘆くのは早いぞ、ご同輩!
ライフネット生命保険CEOの出口治明さんが著した『「働き方」の教科書』(新潮社)を読めば、少しは希望が湧くこと受け合いだ。この書籍を知ったのは糸井重里さんの『ほぼ日刊いとい新聞』。いきなり目に飛び込んだ『無敵の50代』という言葉に驚き、すぐさまamazonから同書を購入した。49歳で左遷され、59歳でライフネット生命保険を起こした著者ゆえに、言葉ひとつひとつに説得力があって面白おかしく読めた。
■出口さん曰く、
40代は「組織を率いて仕事をする」世代。例えば課長から部長にワンステップ上がることで、担当範囲が広がるもの。その時、課長時代のタスクにとらわれるのは×。当然、得意分野のはずだが、それに拘泥すれば視野が狭くなる。新たに増えたタスクにこそ注力し、得意分野は思い切って捨てよ。
50代は「無敵」の世代。目利き、資金調達力、人脈、ノウハウなどは20代よりはるかに整っているし、「仕事とそれ以外の人生は3:7」(仕事8時間/日、それ以外16時間/日)といった原理原則を知っているはず。仕事はどうでもいいことだと割り切って、適当に(いい加減に、という意味ではない。必要以上に深刻に考えないで)起業しよう、と。
■景気回復により人手不足が表面化した昨今、仮に失敗しても金を稼ぐ手段はいくらでもある。だから心配いらない、窓際に追いやられて汲々として大企業にしがみついて、いったい何が楽しい? 名刺が大事か? 定年後は、そんなもの何の役にも立たないぞ。(※)但し、社長レースに乗っかっている方は、ぜひ今のままお続けください、とも。
繰り返すが、仕事はどうでもいいこと。多少人間関係がぎくしゃくしても、自分の腑に落ちたことだけを堂々と主張し行動すれば、それでいいと割り切ることが重要。家族がいて友人がいるのだから、自分に正直であればそれでいい。そう考えれば仕事で何が起こっても平気なはず。
例えば「天知る、地知る、我知る、人知る」という言葉もある。順序を見ればわかるとおり「人知る」は最後。即ち、人の目を必要以上に意識する必要はない。結果として合理的な判断ができ、意思決定も早くなる。
■いやはや、痛快この上ない。「起業」という言葉が頻出することには賛否両論あるだろう。ボクも「起業」という言葉には多少違和感があるが、中高年が現状から新たに一歩踏み出すきっかけとして、楽しく読める一冊だった。
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