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近代日本文学史メジャーのマイナー

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2009.08.29
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カテゴリ:昭和期・転向文学

  『歌のわかれ』中野重治(新潮文庫)

 この作者は、どうなんでしょうか。むしろ詩人としての方が有名な方・評価の高い方ではないでしょうか。(まちがっているかしら。)

 確か高校の国語の教科書に、よく覚えていませんが、「もうお赤飯を食べてはいけない」というような詩が、あったような、なかったような、あれ? 
 「お赤飯を食べてはいけない」って、変すぎますね。
 なんか、間違っている気がします。

 ……、えー、今、調べてみたのですが、僕がかつて教科書で読んだと記憶している詩は、多分『歌』という詩で、「お赤飯喰うな」ではなくて、

  おまえは歌うな
  おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな


 というプロレタリア詩でありました。
 「ひよわなもの」「うそうそとしたもの」を歌わずに「胸さきを突きあげてくるぎりぎりのところを歌え」という、力強いプロレタリアートの詩でありました。
 (しかしまー、よーも、えー加減な記憶をしていたものですなー、私って。ぜーんぜん、違っているではありませんかー。でもこんなことって、私の人生に日常茶飯事なんです。すみません。)

 さて今回、僕は初めてこの人の小説を読んだんですが、それがなかなかに「厳しい」読書でありました。

 上記に、「プロレタリア詩」と書きましたが、この小説は、小説の「主義・流派」でいえば、「転向小説」になるんですね。

 大正時代中盤から「プロレタリア文学」がわっと流行り始め、昭和に入ってそれが政府により弾圧されます。
 それは、少し前にブームになった『蟹工船』の作者、小林多喜二の惨殺をピークとし、そして多くのプロレタリア作家の、「共産主義」からの「転向」へ。
 その後日本は、一気に、大陸での事変・太平洋戦争→文学の不毛時代へと突き進んでいきます。

 その「転向小説」ですね。
 この本の中に入ってあった『村の家』なんかは、「転向小説」の名作といわれています。

 えー、『村の家』は、確かにわりと面白く、きっちりしっかりと書かれていました。
 「転向小説の名作」。うん。認めましょう。
 しかし、あとが、うーん、なんというか、どうなんでしょうか。

 確か、佐多稲子の小説を読んだ時にも強烈に感じましたが(佐多稲子も一応「転向小説」作家ですかね)、作者はすっごい真面目に一生懸命書いていらっしゃるんですね。
 なんと言っても「転向」経験を語るのでありますから、生半可なものではありません。
 それは読んでいて、こちらにもひしひしと伝わってきます。

 でもね、読んでいてね、不謹慎にも、ついこんな事を思ってしまうんですね。

 「やっば、漱石って、すごいよなー」

 漱石の代わりに、太宰治でもいいんです。
 というより、太宰の方がいいかも知れません。というのは、太宰の小説も、一種の「転向小説」だからですね。

 太宰治と中野重治の作品を比べてみますと(こんな比べ方はちょっと意味がないのかも知れませんが)、太宰・漱石が、何とも他者に比べようのない「面白いお話作りの天才」であることが、ありありと分かります。

 漱石も太宰も読んでいて、まず第一に話が圧倒的に面白い。
 それに比べると、……うーん、真面目なだけでは、ダメなんだなー、と。
 
 というわけで、なかなかに「厳しい」小説を読んでいました。

 「近代日本文学史上のメジャーのマイナーな小説を読む」なんてテーマで読んでいるから、こんな事になるのはやむを得ないのかも知れませんが、しかしなんか、改めてすごく「日本文学って何やねん」って、考えさせられてしまいます。うーん。

 というわけで今回は以上。では。


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Last updated  2009.08.29 07:22:27
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