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analog純文

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2011.09.21
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  『牡丹燈籠』三遊亭円朝(岩波文庫)

 最近、夜のニュースくらいしかテレビを見ないもので、どんなテレビ番組が放映されているか、ちっとも知らないんですが、あれはまだやっているんですかね、あれは。

 それはそれは、ずーっと、ずーっと昔の話です。なにせ、白黒テレビですから。
 (今、何かの拍子に大昔の白黒テレビの画面を見たりすると、本当に「大昔」という気がしますが、記憶の中のそのころの番組、例えば「スチャラカ社員」(何、その番組? とお思いの貴兄、気になさらないでください。)とか、「てなもんや三度笠」(あ、これなら知っているとお思いの貴兄、ご協力ありがとうございます。)とかの画面を思い出すと、なんかビミョーに色が付いていたような気がしません? いえ、きっと錯覚なんでしょうが。)

 土曜日の午後あたりですが、関西圏ですからたぶん今でも「吉本新喜劇」はしていると思いますが、今回私が話題にしたいのは、すっごく素朴な形でそのころ結構たくさん放送されていた漫才とか落語とかのことなんですね。

 ほとんど何の手も加えていないような感じで、素材そのものをボンッと投げ出したように放映されていたやつです。きっと、番組作りのノウハウとかもなく、予算なんかもほとんどなかった時代だったんでしょうね。

 とにかくそんな漫才・落語の「原型」を小学校低学年の頃から、まー、毎週見ていたわけで、これは、このー、やはり「刷り込み」が行われるわけですねー。

 おかげで現在も、漫才・落語は私のフェイバレットの一つなんですが、息子が大学生になって落語研究会に入部するに及んで、我が家では、なんといいますか、「マイブーム」を越えて、日常生活の中に溶けこむに至っています。

 かくて角川文庫の、あるいは講談社文庫の『古典落語』は、親子二代にわたってむさぼるように読まれました。実はこの手の本は、やはり中央=東京指向で、上方落語は一部分でしかなく、ほとんど実感のわかない「べらんめえ」口調のものを読まされるんですが、まぁそれはそれで、面白かったです。

 さて、わたくし、そもそもそんな素地のあるところに、今回の本を読みました。
 いやー、感心しましたねー。

 「伴蔵お前先へ入んなよ。」
 「私は怖いからいやだ。」
 「じゃアおみねお前先へ入れ。」
 「いやだよ、私だって怖いやねえ。」
 「じゃアいい。」
と云いながら中へはいったけれども、真暗で訳が分からない。
 「おみね、ちょっと小窓の障子を明けろ、萩原氏、どうかなすったか、お加減でも悪いかえ。」
と云いながら、床の内を差覗き、白翁堂はわなわなと慄えながら思わず後へ下りました。


 どうですか。まず、この文章の完璧に口語表現であることに驚かされますよねー。
 それはこの本の出版が明治10年であることを考えますと、まさに圧倒されんばかりであります。
 だって、坪内逍遙の『小説神髄』が明治18年、二葉亭の『浮雲』が明治20年ですよ。驚かざるを得ません。
 (もっとも、江戸時代後期の作品、例えば式亭三馬なんかは、かなりこなれた口語表現を書いているようですが。)

 二葉亭は『浮雲』を書く時、かなり円朝を参考にしたということですが、こと「言文一致運動」に関しては、尾崎紅葉にしたところで、なぜこの方向で真っ直ぐに進めなかったんでしょうね。小説文体が円朝に追いつくには、たぶん「白樺派」まで待たねばならなかったと思います。

 次に物語の内容ですが、これがまた、やはり凄いですねー。
 構造的展開とピカレスク。
 悪党(ピカロ)が男女数名出てくるんですが、実にこれらの人物がいい味を出していますねー。
 まー、よく読みますと、この長編の中で(岩波文庫300ページほどあります)、ちょっと人格描写に一貫性を欠くような部分もないではありませんが、それでもとっても構造的に作り上げられています。

 もちろん最終的には勧善懲悪に終わるのですが、しかし今更私が指摘するまでもありませんが、日本文学がこのわくわくとする構造的な面白さを長く失っていたことについて(今でも十分にあるわけではありません)、上記に触れた「言文一致運動」の展開と同様、物事の進化というものは、なかなか一直線に進みにくい要素が、やはりあれこれあるんだろうなあと、私は読後とっても面白かったと満足しながらも、少し残念に思ったのでありました。


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Last updated  2011.09.21 05:45:19
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