D.V(ドメスティック・バイオレンス)トレーニング・8
今日のD.V・トレーニングは、朝の10時から夕方5時まであり、二つのトピックについて話し合いました。まず、始めのトピックは、「人身売買(ヒューマン・トラフィキング)」です。この「人身売買」撲滅運動と、その被害に会っている人達の為のサポート団体「Standing Against Global Exploitation (SAGE/セージ) Project Inc(英語HP)」のJさんが、講議をしてくれました。まず、どんな事が、この世界で起こっている事件/犯罪の中で、一番多いでしょうか?まず最初に、薬(ドラッグ)問題、2番目に銃などの兵器に関わる問題。そして、3番目に、この人身売買が上がっています。それだけに、世界の中で深刻な問題、犯罪の一つになっています。そして、この犯罪は、現在も増え続けています。その増え続けている理由は様々ですが、主に、貧困(お金が必要といった状況)、人々の無関心、グローバライゼーション(世の中が狭くなって、国から国の取引がしやすくなった)などがあげられます。そして、800,000~900,000人が人身売買の為に国から国へと流れているといて、アメリカでは現在、40,000~50,000人(+男性1,000人程)の人達が、売られてきているといいます。売買で買われたほとんどの人達が、過酷な労働、性的私的利用やメイドなどに強制的なかたちで、従事させられています。そこには、監視されたり、食事をあたえられなかったり、他の人との接触を制限されたり、様々な暴力にあっています。その身体的、精神的虐待、隔離などは、ホロコーストなど戦争の時に収容所へ入れられた人と同じようなトラウマ(PTSD)の症状がみられ、身体的はもちろんのこと、精神的被害は大きなものです。このように、人身売買でつれてこられた人は、犯罪を犯した者ではなく、犯罪の被害者なのです。アメリカでは、2000年に、民事法において、The Traffiking Victims Protection Act of 2000(人身売買の被害者保護法)が決まり、その法案が、被害者の解放、シェルターへの保護などの安全確保の為のサービスを提供が国家レベルで可能になりました。例えば、人身売買の被害者は、外国人なので、その強制労働から解放された後の、アメリカに3年住む権利を確保できたり、その人の家族も呼び寄せる事ができたりします。このSAGE(セージ)では、サンフランシスコを中心に、そのような売春、人身売買(メイド、過酷な労働、臓器売買なども含む)に関わり、暴力を受けている女性、子供、トランジェンダーと男性の生活向上の為に、地域への気づきを促すような事から、被害者の保護、法的手続き、精神的なサポート(トラウマ・リカバリーの為のカウンセリング・サービス)、メディカル・ケアなどの活動を行っています。この人身売買、日本にいたときに、スペシャル番組をみたことがあります。(それは、中国での人身売買の現状のドキュメンタリーでした)あと、東南アジアなどの話も聞いた事があります。けれど、実は、あまり詳しく知らなかったな・・と思いました。そして、話を聞いていて、日本は、かなりの性産業国だから、沢山、この人身売買はあるなと思いました。(日本は、かなりこの人身売買に加担しているでしょう)東京の新大久保あたりは、いろんな外国人の売春婦が立っていたりしますし・・アメリカを中心にした話でしたが、かなり身近に感じました。では、日本ではどのような状況になっているのでしょう?アジア財団のシンポジウムの紹介文では、このような事が記されていました。「外国人女性が風俗産業で接客する姿も、繁華街に佇む姿も、日本ではもう当たり前の風景です。彼女たちは日本へ出稼ぎにやって来たのでしょうか。実は、彼女たちのなかには商品として売り買いされ来日した人もたくさんいます。巧妙に仕組まれた人身売買ルートを経て、自由を奪われ、虐待され、母国へ帰ることができずにいる女性たちです。人身売買の「受け入れ国」である日本へは、タイ、コロンビア、フィリピン、ロシアなど、さまざまな「送り出し国」から女性たちが運ばれてきます。世界にはびこる人身売買網を根絶するためには、日本が人身売買と深く関わっているということを私たちが、まず知らなければなりません。」やっぱりな・・という一文です。かなり日本は深く関わっているようです。その他に、詳しい情報などは下記のサイトを参考にしてください。●日本の人身売買について反差別国際運動(IMADR)HP:アジアにおける女性と子どもの人身売買問題についてアジア女性の人身売買日本:依然深刻な人身売買の実態人身売買を問う会議が東京で開催外国人女性を借金で縛り奴隷状態に法整備の必要性で参加者が一致本当の「犯罪者」はだれか-人身売買撤廃に向けた取り組み人間の尊厳を求めて「児童のトラフィッキング」撲滅に向けた日本の闘い午前中の人身売買についての話が終わり、お昼を挟んで、午後は「Anti-Oppression Treaining/反-迫害トレーニング」をしました。これは、迫害(差別など)や特権について、話し合ったり、一人一人が気づくようなエクササイズをしたりしました。まず、初めに、3人ずつのグループになり、「私はアメリカの市民権をもっているので、~ができる」「私は、男性なので、~ができる」「私は、異性愛者(ストレート)なので、~ができる」「私は白人なので、~ができる」という文がかかれている紙を渡され、それに合う文を作る事になりました。私は、最初の『市民権~』という文を作るグループでしたが、私が言う事を、ある白人女性が分かってくれずに、ちょっとイライラしてしまいました。アメリカの市民権を取得しているというのは、アメリカ国内にいるものにとって、とっても大きいのです。なぜか、その女性は、”アメリカの市民権をもっているけど、他の国にいったとき、私はこういう扱いをされた・・”などと、現在は、アメリカの事を話しているというのに、他の国にいった時などの話をして、主題をそらしてしまいます。途中で、どんどん訳がわからなくない、ファシリテーターの人が来てくれたので、いったい、どのことを中心に話せばいいのかなどを聞きました。グループで話し合ったあとに、クラスで発表しました。もう、様々な事があります。次に、特権vs迫害という2項目をつくり、世の中で誰が、どのような人が特権をもっているか?そして、その反対の立場にいるひとは誰か?などを話し合いました。例えば、特権の方に男性がくれば、その反対側の迫害には女性だったり、異性愛者が特権を同性愛者の人よりももっているなど・・様々な項目がでました。その後のエクササイズで、私達は輪になって立ち、ファシリテーターが、「私は、女性である」「私は、英語がネイティブである」「私は、公立の学校へ通った」「私は、性的・身体的虐待の経験者である」etc.....沢山の項目をあげ、それぞれにあてはまる人達が輪の中心へ一歩入る(その項目に少しでも入った場合は、片足だけ輪の中心に入れるでも良い)ということをしました。このエクササイズでよく理解できたのは、誰もが、迫害される側にたった事もあれば、特権をもっている側にたったこともある・・という事です。このようなエクササイズは、身をもって、気づきが促されるという点で、すごくためになります。終わったあとに、なるほど・・と思いました。今日は、かなり重いトピックだったので、私も含め、みんなも疲れた様子。この虐待、そして、その上にあるシステム、特権/差別のことなどは、できれば避けたいと多くの人が思うトピック、叉は、他人事のようにながめていたいものでもあります。でも、たまには、この問題について考えてみるのも良いのではないでしょうか?これから、もっと国際化が進めば、今以上に日本にも多くの外国人の方がなんらかの形で移住したり、訪れたりするでしょう。移民の国であるアメリカの問題は、それほど他人事ではありません。(勿論、国際化が進む以前から、日本では差別問題が根深く残っていますが・・・)みなさんの中で、日本人として、どのような特権があるか?と考えた事があるでしょうか?「私は、日本人なので~ができる」という文を作って考えてみるのも、気づきの一歩かもしれません。