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N .E .YERS-小説と詩、ガジェット話やメタルと育児に資格試験勉強と時々投資と交通事故処理、でも本業は行政書士-

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2024.05.04
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「河川敷」

河川敷に転がる物語を説明するのは簡単なことではない

夢見がちな砂礫たちは、その身体が今よりも大きかったころを思い出し、眠る

列車が駆け抜けていき、悲鳴をあげる鉄橋は、あるいは、死にたがっているのかもしれない

 

橋脚に、ぼくは言葉を刻む

適度な大きさの石を掌に

その冷ややかな感触を握りしめながら

「さようなら」

上手く説明する必要など、そもそもないのだ。

 

「明日の行方不明」

“明日”がその姿を隠してからもう二週間が過ぎていた

関係各所では懸命な捜索が続いている

だが、発見されたのは異母弟の「昨日」、遠縁にあたる「来週」、赤の他人である「いつか」

 

「明日」はどこへいった?

「在る」

三か月の間、母が暮らした病室は

薬品の匂いと生活雑貨、そして、病と死の気配に満ちていた

 

しかし、それらも今では少しずつ、薄らぎ、まぎれ、消えゆく

痛みや静けさだけは今でも、繰り返し鳴り続ける鐘の音のように繰り返し、おしよせる。おしよせる。おしよせる。

 

持ち込まれたCDデッキが、母の好きだったロックミュージックを繰り返し再生している。ピッキングハーモニクスが空間を引き裂く。ディストーションの効いた低音が足元に広がる。ヴォーカルのシャウトが、世界の理のうちいくつかを明白に否定する

 

それでも、僕はここで思う。ここで聞く。ここで、打ちひしがれる。

鐘の音は繰り返し、繰り返し。おしよせる。おしよせる。おしよせる。





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最終更新日  2024.05.04 14:26:11
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