天然の高級えびをふんだんに使って作るえびせん 佳長
佳長ではみんなで収穫前の田んぼで草刈をします。えびせん作りを始める今年8月で9期目です。私は最初、建設会社で働いていました。せんべい作りはまったくの素人です。そんな私がせんべい屋をやりだしました。建設会社といえば、茶色とグレーしかない。色がない世界。人に嫌われる仕事で、いつも嫌われている。こんな世界に息子をひっぱりこみたくたくありませんでした。ある建設会社の社長から「建設業界はあかんぞ。食いもん、考えてみい!」と言われていました。その矢先にその会社が潰れてしまい、それが建設会社をやめるきっかけになりました。でも、何をやろうかと考えたとき、食べ物といっても初めての世界ですから何をやればいいのかなかなか決りませんでした。ただ、えび天やえびフライ定食が好きだったこと、えびが好きだったこと、これだけで、えびを使った食べ物をやろうと決めました。そう決めてから、ある日のこと、名古屋を旅行した時に海鮮せんべいみたいなところがいっぱいあったことを思い出しました。「コーヒー無料、試食食べ放題」、けれどうまくない。「なんでこんなもん買うていくんやろう?」と不思議で仕方がなかったことを覚えています。でも、名古屋駅でえびせんを食べた時は、あまりのうまさにカルチャーショックを受けました。そのえびせんは百貨店にも置いてありました。「やるならこれやな」と決りました。米菓業界は3000億円と言われていて、その中で菓子の製造業者が喰い合いをやっています。だからこそ、同じやるなら、うまいえびせんをやりたいと思いました。ある有名なお菓子屋のえびせんは、えびが7割入っています。ただ、固いんです。でも、おふくろがそれを食べて、「これは、うまい。ごまかしがない味やな」と言ったことで目標が決りました。これに負けないえびせんをやろうという目標です。建設屋だから、工場は自分で作りました。最初はえびの皮むきを2人でやりました。素人ですから作り方なんかわかりません。とりあえず小麦粉を入れてみて、でんぷんを入れてみてと、やっていきました。どうしてもわからないので、えびせんの有名なお店に電話して聞いてみました。でも、えびせん屋をやるから教えてほしいとは言えないので、村の祭りでえびせんを焼きたいから教えてほしいということで、聞いたところ、小麦粉、でんぷんにえびが7割も入っていることがわかりました。焼き方も一度焼いて乾燥、次は網火で焼く(炭火で焼く)こともわかりました。後は設備です。最初、最中の機械を買いました。しかし、これだと生地が鉄板にひっつきます。ひっつかないようにするにはどうしたらいいんやろうと悩んでいたら、妻がフライパンのテフロン加工を教えてくれました。乾燥機もないので、ふとん乾燥機で生地を乾燥させて、それを炭火で焼いたら何となく有名どころのえびせんと似た味になってきました。それから乾燥機はしいいたけの乾燥機を買い、ラックを付けて風が当たるようにしました。まだ炭火で焼けるところがないので、せんべいやあられを焼いているお店に行って、焼かせてもらい、そこの社長に食べてもらうと、「うちでも売れや」という話になりました。ついでに、その社長に中古の機械を扱っている機械屋を紹介してもらって、やっと自前でえびせんを作れるようになりました。ここからは売り先探しです。百貨店に飛び込み営業をやりました。百貨店の担当さんに食べてもらい、「こんなうまいもん、どこで作ってんのや」という話になって、偉いさんが出てきて百貨店に置いてもらえるようになっていきました。ちなみに、うちのえびせんは、えびを潰してからせんべいになるまで11日かかっています。寝かせることでアミノ酸化するからです。鰹節と同じ理屈です。ただし、これはえびがせんべいの7割を占めているうちのえびせんだからできることです。えびのような匂いがして、ほとんどえびが入っていないせんべいは、小麦粉95%、えびの匂いのするもの2%、えびの粉3%の比率で、うちのように寝かせたりするような面倒なことをやる必要はありませんので、それ相応の値段で、えびではないが、えびらしき雰囲気のものを入れて、効率的に製造されています。金儲けだけしようと思ったら、こんなことはいくらでもできます。でも、うちはこんなものは作りたくないんです。米も岩津ねぎも作っていますうちには佳長ファームという別会社があって、そこで米(コシヒカリ)を作り、米粉はその米から作っています。田んぼにはえび殻を粉砕したものと竹チップ(粉)を混ぜたものを肥料として使っています。バクテリアがえび殻を食べていきます。土の中で乳酸菌が活性化していきます。簡単に言うとヤクルトみたいなものです。乳酸菌は35℃で活性化し、栄養素ができ、それを吸って稲の根が伸びます。田んぼには除草剤を一度だけまきます。除草剤は雑草は吸うけれど、稲は吸いません。害虫除けの農薬は一切使っていません。たちの悪い雑草が生えてきて、それはカラスのエンドウが大きくなった感じの雑草で、これを放っておくと米の中に石みたいな固い種が入って、石が入っていたとお叱りを受けるので刈っています。そうやって手間暇かけて育てたうちの稲は倒れません。よその田んぼの稲はよく倒れています。うちの稲は雑草が持つ「自ら虫に食われないようにする力」を取り込んで育っているから丈夫です。それから、岩津ねぎ入りのえびせん用の岩津ねぎも農薬を使わずにうちでは作っています。自分たちで作っているコシヒカリと岩津ねぎだから誇りが持てます。これがえび殻と竹チップです。えびのことえび殻の話が先になりましたが、うちのえびは高級中華料理に使うタカツメエビです。実に甘みがあって、殻が固い、天然のえびです。うちが養殖エビを使わないのは、養殖ものは南方の温いところで抗生物質を投与して肥満体のエビを作ったものだからです。「自分の子供や孫におかしなものを食わされへん。安心できるものしか作れへん。」という思いです。間違いのないものを作っていきたい。それをお客さんにも販売したいんです。そいうものは大量に作られないので、うちは会社を大きくして大量生産する道にはいきません。それよりもタカツメエビを探すので大忙しです。高級中華料理に流れてしまうからです。うちを慕ってわざわざ遠方から来てくださるたくさんの人たちに自信を持ってだせるようにこれからも頑張ります。佳長のえびせんを一度食べたいと思われた方はお買い物コーナーへどうぞ >>>朝来の農産物、特産品、土産物の一覧ページ朝来の自然の中で作った岩津ねぎ、竹炭、但馬牛、野菜、米、特産品が一度に揃うネット通販「あさごもん」〒669-5211兵庫県朝来市和田山町和田山404電話 079-672-2362FAX 079-672-4844info@asagomon.jp朝来の自然の中で作った岩津ねぎ、竹炭、但馬牛、野菜、米、特産品が一度に揃うネット通販 あさごもんのブログ