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テーマ:ミステリはお好き?(1493)
カテゴリ:Mystery
ジャーナリスト伏見の住む鳴川市で起きた、連続イタズラ事件と陶芸家殺害事件は同一犯の仕業なのか。 『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』 事件現場に残された落書きは、何らかのメッセージなのか。 伏見は、13年前鳴川市で高名な教育者正木が講演中に教え子だった男に刺殺された事件のドキュメンタリー映画の撮影を行う途上、過去の事件と現在の事件の奇妙なリンクに思い至る。 現在服役中の正木殺害犯は、黙秘を貫きながらも 『これは道徳の問題なのです』と謎めいた発言をしていた。 過去と現在の点を繋ぐ線を追う伏見が、見出した事件の真相とは。 ------------------- 「爆弾」の作者のデビュー作にして、61回乱歩賞受賞作。 ただし選考で評価が割れ、加筆修正を条件とするいわくつきの受賞となった。 それも宜なるかな。 重いテーマと問題提起の意識は良いのだが、意余って文章が追いつかず、主題を伝えるための描き方、人物の設定、物語の構成が粗さ拙さが気になった。 会話部分の読みづらさが、読む側の考察を困難にさせ、過去の事件と現在の事件の関連付けは無理筋な印象で、ミッシングリンクものとして成功しているとは言い難い。 「真犯人」の動機が明かされても、これまた犯罪心理への強引な言い訳めいており、得心がいかず、それがラストに不全感と不満足感を残してしまう。 そんな、こんなも含めて、議論百出の「問題作」の書き手が、その後「爆弾」で見事な進化を見せてくれたことには感心する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.02 20:09:52
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