紹介文
一億人の心臓を鷲づかみにした「神戸連続児童殺傷事件」。審判は終わった。真実は詳らかにされることなく、少年Aは闇の中に消えた―。彼の内なる「酒鬼薔薇聖斗」はいつどんな家庭で産声をあげたのか。母親は魔物の誕生に気付かなかったのか。第一級捜査資料に綴られた生々しい「肉声」。少年が初めて語る狂気と虚無、そして両親の慙愧…。今ようやく浮き彫りとなる驚愕の全貌。
酒鬼薔薇事件のルポです。
以前犯人の両親が書いた
”少年A この子を産んで”の
感想を書きましたがこちらは
第3者からみた視点で書かれています。
“この子を~”では
割と理性的な印象を受けた
両親が第3者から見ると
エキセントリックな母親像であったり
やはり違った視点で見ると違った印象をうけるものだな、と。
だからひとつの報道や1冊の本で物事を判断するのは
危険ってことなんですよね。
また、本の中で逮捕後の少年Aの精神鑑定の分析などが
書かれていて興味深かったです。
意識的にそうしたのかもしれませんが
著者の意見はあまり前面に出ていない印象がありました。
ただ、精神科医やカウンセラーとの会話の引用では
少年Aに
同情的な意見が多かったのが気になりました。
夜更かしや昔に比べて栄養がいいため
精神的に女性へ興味を持つ前に体だけおとなになってしまい
たまたまそのときに興味を持っていた動物を殺す
という行為と性が結びついてしまった、とか。
でも。
厳しい親でも体だけ先に大人になってしまっても
人殺しをする子供はそんなにいない。
動物を殺すことを楽しいと感じる自分は汚れているから
無垢な子供を殺して血を飲めば浄化できると思ったとか
勝手に作り上げた理由で大切な命を奪う行為。
その前にハンマーで強打して殺してしまった女の子に関しては
猫の延長でしかない。
理由つけすらもされないで殺されてしまった命。
それが
正当化されることなんてありえない。
たとえ少年Aが死刑を覚悟でもとめられなかった行為なので
殺人は彼にとってはある意味自殺だったといったところで。
少年Aはこの本を含め自分の事件にかかわる本は読んでいるとのことで
殺してしまった子供たちに関して申し訳ないといっているそうですが
本当に殺された子供たちの無念や両親の痛みが
理解できることなんてあるんでしょうか?
人の心はわからなくても少なくとも出所後
人を傷つける行為は2度としないで欲しいと思います。