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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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マネージメントとコンプライアンス

2008.09.15
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お友だちの坂之上洋子さんのブログに「品がなくて朝日新聞の連載却下されたブランド論」というエントリーがあって、楽しく読ませていただきました。坂之上さんのボツ原稿は、しっかり単行本に収められているようです。
実は私も、日本の某金融機関のPR誌向けにコラムの執筆を依頼されたことがあったのですが、「品が無い」というよりは、コンプライアンス重視の日本の金融機関ではとても出せない内容だったのか、ボツになってしまいました。ほとぼりも冷めた頃ですし、せっかくなので初稿のままブログのほうで公開させていただきます。




出資先の中国企業の会議室に入ると、普段なら整然としている空スペースに、使い古されたサーバーが山積にされた異常な光景に遭遇しました。その会社のCEOは「ちょうど今日、運び出してきたんだ」と上機嫌に説明します。その日は、その会社の売掛金の評価について話し合うことになっていたのです。

私たちが出資しているインターネット広告エージェンシーは、前年比数倍と言う驚異的な売上の伸びを遂げていましたが、それと比例して売掛金の残高も増えていました。しかも支払期限を半年以上も過ぎた売掛金が全体の1割ほどを占めるようになっていたのです。ここまで放っておいたのも、以前北京で総経理を務めていた広告会社の売掛金の回収も遅延気味でしたが、期の節目ごとに”気合いを入れて”対策に臨めば何とか回収できたと言う”成功体験”があったからでした。
とは言え、顧客の多くが日系企業だった前職の時とは異なり、そのインターネット広告会社のクライアントは大半が中国企業で、しかも例えばオンライン・ゲームなど、インターネット上でのサービスを提供している新興企業が多いのも不安材料でしたから、支払期限を過ぎた売掛金について一つ一つ回収状況を確認する作業を始めたところだったのです。
会議室に山積にされたサーバーは、売掛金の”形”として顧客であったオンライン・ゲーム会社から強制執行で運び出してきたものでした。

多くの日本企業の皆さんが、中国での売掛金の回収を心配されているのではないでしょうか。
中国では、日本のように請求書を発行すれば自動的に期日めでに送金されるようなことは滅多にありません。中国企業の会計責任者は支払を遅らせれば遅らせるほど評価されるのです。ですから支払期限が過ぎても入金されない場合には、仕入れの責任者に支払を督促しても埒が空かず、会計責任者に支払をお願いしなければならないようなケースに遭遇します。
とは言え、私の経験上、支払期限が過ぎた売掛金であっても回収不能になることは滅多にありません。取引先が倒産した場合や、契約書に不備があった場合は別として、それなりの努力が必要な場合もありますが、何とか回収できるものです。

コンシュマー商品を製造・販売する日本企業の多くは、中国における売上代金回収リスクを過剰に警戒して、ホールセラーやリテーラーに対し現金取引を前提としてきました。
これは堅実な方法ではありましたが、商品の販売チャネルを絞り込む結果となり、外資系量販店や資金力のあるリテーラーの店頭にしか日本製品が並ばない、と言う状況を生み出すことにも繋がりました。いくら商品力に自信があっても、コンシュマーが手軽に手に入れられる環境を整えなければ販売は伸びません。せっかくテレビを使って広告活動を行っても、身近な店先で商品が見つからなければコンシュマーは買うことができないのです。メディアを使った宣伝よりも、店先に商品が並んで、それを購入するコンシュマーがいて、購入者がその商品を評価して、或いは友人・知人に口コミで評判を伝播することによって、ブランド力や商品力は高まるものです。
ですから私はかつてのクライアントに、何百万元ものお金をテレビ広告に費やするくらいなら、そのお金を売上代金が回収できなかったときの損金に充ててでも、販売チャネルとの取引条件を緩和してより多くの店先に商品を並べるべきだ、とお勧めしてきました。そうは言っても、売掛金の焦げ付きは販売責任者にとって不名誉なことですから、多くのクライアントはリスクが顕在化しない広告宣伝のほうを選んだものです。
結果として、日本企業の商品の多くは都市部のコンビニやスーパーやデパートでしかお目にかかることができず、中国のマーケットを”面”として攻略することができずにいます。
もちろん富裕者層が多く生活する都市部に、リソースを集中投下する方向が間違いとは言えないでしょう。

農村部の貧困地帯で代用教員を務めることになった少女とその教え子のこどもたちを描いた張藝謀監督の映画『あの子を探して』に、チョーク一本ですら貴重な貧しい農村のよろずやで先生と子どもたちが一本のコカ・コーラを買い、みんなで回し飲みするシーンがあります。貧しい村で暮らす子どもたちにとっては高価で容易には買うことができない”憧れ”の飲み物も、実は中国のどこに行っても売っているのです。

欧米のコンシュマー商品の多くは、都市型マーケティングから脱却して広大な中国を”面”として捉えた戦略を取っています。
もちろん、ホールセラーやリテーラーに現金前払いを強いたのでは販売チャネルは広がりませんから、市場導入時には取引条件を緩やかにして、売掛金の焦げ付き覚悟でも配荷率を高めていきます。そして、商品がマーケットに浸透した途端に取引条件を厳しくするのです。コンシュマーが買いたがる商品に成長すれば、販売店は前払いで仕入れてでもその商品を店先に並べておく必要に迫られるはずだからです。
このように、販売当初は回収リスク覚悟で拡販に努め、売上が大きくなってから回収リスクを小さくしていく、と言う方法で成功している商品は少なくありません。

さて話を戻しますと、私たちが出資したインターネット広告エージェンシーの”不良債権”の8割は、支払期限を最長で1年以上もオーバーしたものの、なんとか回収することができました。残りの2割クライアントが倒産したり、夜逃げしたりしたため回収が危ぶまれたのですが、その一部は冒頭のサーバーで現物回収して公的競売によって債権とほぼ等価の現金にすることができました。
この会社の法務部には弁護士資格を有する社員がいて、契約書類がしっかりしていました。法廷に持ち込まざるを得なかった事案についても、自社弁護士を増やして迅速できめ細かな対応が取れたため、訴訟が長引くことは無かったのです。

相手先の倒産のため回収不能と諦めていた債権に関して、CEOはトンでもない”裏技”を行使しました。クライアント(広告主企業)から回収不能に陥ったことを盾に、仕入先であるメディアと交渉し、その分の代金を帳消しにしてもらったのです。つまりデフォルトとなった売掛金と相応分の買掛金をデフォルトにしたわけです。
こうした対応は、商品であるメディアの直接原価がゼロに等しい広告業界だからできる技でしょう。無形の商品を販売する以上、売掛金が回収できなくなったからと言って在庫商品を引き上げてくるわけには行きませんから、業界全体の暗黙の了解のもと、広告主から回収できなくなった代金はメディア側が面倒をみてくれるという”セーフティ・ネット”が形成されているのです。インターネットに限らず、テレビ局や新聞・雑誌社などのメディアであっても、日頃お世話になっているエージェンシーに対してはこうした措置を取ることもあるようです。

期限を過ぎた売掛金問題が一段落したとき、買掛金が心配になりました。
案の定、支払期限を過ぎた買掛金がたくさん存在することが発覚….。会計責任者に尋ねると「取引先のメディアから、まだ督促を受けていないから大丈夫。」とのこと。

中国では、まだキャッシュフローが流暢な状態とは言えません。若い経営者の中には、キャッシュフローの重要性を理解した上で、期限どおりの入金と支払の管理を重視する人たちが増えてきましたが、売掛金と買掛金の管理を軽視する企業がまだたくさんあることも事実です。
現金取引を原則としたり与信管理を厳しくしたりしてリスクを減らす方法もありますが、ダイナミックに展開するためには信用取引が必要になることもあるでしょう。その場合、机上のキャッシュプランどおりには運ばないことを念頭に入れた、余裕を持った資金計画も大事になるでしょう。




最後のほうは、依頼もとの金融機関にも気を使ったつもりだったのですけど....。







Last updated  2008.09.15 19:00:44
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2007.05.16
とある中国の地方都市でボッタくられました。
上海人と香港在住のマレーシア人と3人で、夜の街に繰り出そうとタクシーに乗り込んだのです。3人とも初めての訪問となるその都市には残念ながら日本語のフリーペーパーのような便利なツールが無いので、情報はホテルのコンシェルジュくらいからしか得られません。上海人の提案で、タクシーの運ちゃんに"良い店"を尋ねることにしたのです。
中国には多少馴れているとは言え、日本人とマレーシア人は"客人"ですので、唯一の大陸出身者である上海人の彼が、私たち"客人"のために、タクシーの運ちゃんと相談し、案内されたお店の人と交渉してくれたのです。

結果は散々でした。最初に行ったカラオケのサービスもいまいちで、当初約束した料金の二倍以上を請求されてしまいました。上海人の彼は、お店の"マミー"(女性従業員の管理者)やマネージャー(店長)を呼びつけて、あれこれ怒っていましたが、最後はお店の請求金額に従わざるを得なくなりました。
ここで帰ればよいものを、私以外の二人は若いものですからおさまらず、やはり同じ運ちゃんに紹介してもらっていたサウナに寄ることになったのです.....。そして、ここでも酷い目に遭わされたのでした。(良い訳じみていますが、私は"大人"なので、またボラれると思い、早々にホテルに戻っておりました。)彼らの報告によると、サービスも料金体系もとんでもないものだったとのことで、マレーシア人の彼はお店の人と大喧嘩して、夜中の三時くらいにホテルに戻ってからも、悔しさと興奮で朝まで寝付かれなかった、とのことです。

上海人の彼は事業開発のマネージメントをしているのですが、ビジネスの上で初めてとも言えるような困難に立たされていました。ポテンシャルの大きな提携先を自ら探し出して交渉も順調に進んでいたのですが、ここ最近提携相手の態度が変化してしまったのです。いま中国のWeb系の私企業は内外のVCの引き合いが多くバブっているのですが、この提携相手も"売り手市場"への変化に気がついたのでしょう。提携交渉の詰めが思い通りにならず、憤っているばかりか、提携相手に"騙された"などと愚痴をこぼすようになっていたのです。

私が思うに、その上海人の彼は、
大陸でのビジネスで大きな挫折を経験したことが無かったのだろうと。
前職は、欧米系の大企業でセールスをしていたらしいのですが、お膳立てができているBtoBのルートセールスですから、大きなトラブルは無かったようです。その後、日本企業でキャリアアップしてマネージャーを務めるようになったのですが、"買い手"が強いマーケットに身を置いていたため、取引先の"裏切り"に遭うことなく順調に経験を積んできたのでしょう。
確かに有能でスマートな上海人。上海であればウラのウラまで知っている遊び上手なヤング・エリートといった感じです。
ですから、"アウェイ"とは言え地方都市でボッタくられた体験は、前述の提携相手とのトラブルと同じように、彼の"履歴書"の中ではあってはならないことだったのでしょう。

「上海では、こんなことはあり得ない。」
彼はそう言いましたが、自分のフィールドだけでビジネスが成り立つわけではありません。数日経って、ボッたくられたことが"笑い話"として話せるようになってから、私は彼にそう諭しました。聡明な彼は、理解してくれたようです。
日本人が中国で騙されることがあっても、彼は中国では絶対騙されないと自信を持っていました。でも、ビジネスのフィールドが広がったり、環境が変化すれば、自分も"外地人"と同じなんだ、そう思ってビジネスに臨まなければならないんだ、と彼は理解したようです。

地方都市でボラれた経験は、マレーシア人の彼の将来のビジネスにおいても、とても有益だったと思っています。
彼は上海人の彼よりもっと若くて20代の前半。資産家の子息で日本に留学し社会に出たばかり。私に言わせれば"純粋培養"の王子様なのです。そんな彼が香港からではあるにせよ、いきなり大陸ビジネスに手を染めることになるのですから。

有能な上海人は上海ではパーフェクトでしょう。同じように北京でのご接待は北京人にアレンジしてもらえば、何の不安もありません。でも、中国のスタッフを"アウェイ"(外地)に連れ出して、挫折を味合わせてみるのも悪くないと思います、夜のご案内だけではなく、ビジネスの世界でも....。日本人の中国での苦労を少しは理解してもらえるかもしれませんし、中国のスタッフにとっても、良い挫折経験になるかも知れません。
ボラれることによって、ビジネスの上でも成長していくはずです....。






Last updated  2007.05.16 20:44:38
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2007.04.27
アジア・メディアは初値が672円、まぁこれは想定の範囲内だったのですが、その後買い注文が殺到し、上場二日目の4月27日の終値はなんと852円だとさ。公募価格から二日で33%も上昇しちゃいました。ちょっとショック。
最近は、中国のネットやメディアの方々とお仕事をしているのですが、何だかすごくバブルです....。スタートアップ(設立)したばかりで向う1年は赤字見込みのネット系企業に、いきなり1,000万US$(12億円)規模のヴァリュエーション(企業価値算定)がついたりしちゃうのです....ふう。
そんなんですから、マネージメント・クラスの人件費も高騰しています。

ここのところ、北京でリクルーティングを行っています。一つはファイナンシャル・ディレクター(財務総監)、もう一つはビジネス・ディベロップメント・シニア・マネージャー(事業開発上級経理)。
どちらも、手取りで月2万RMB(30万円強)が相場でした。所得税や福利厚生費やボーナス見込み分を計算すると、会社負担額は年間で40万RMB(約600万円)を越えてしまいます。
インタビューを行ったキャンディティの中で、一番の高給取りは手取りの年収が60万RMB(約900万円)でした。3アメリカの大学でM.A.を取得し、中国とカナダの公認会計士(CPA)資格を持っていて、欧米系のメディア・エージェンシーでファイナンシャル・ディレクターを務めている、30代半ばの北京出身の女性でした。手取りの年収が60万RMBと言うと、会社負担は90万RMB(約1,400万円)を越えてしまうはずですが、特に吹っかけている様子も無く、そのくらいもらうのは当たり前、というご様子でした。
事業開発系の人材でも、欧米系の会計事務所や法律事務所で働いている人たちは、30代前半でも平気で手取りで月3万RMB(45万円強)とかもらっているようです。まぁ、中国の日本企業で現地採用の中国人にこんなに払っているところは、ほとんど無いでしょうね。
ただ、こういう人たち、レジメを見ると素晴らしい経歴ですし、インタビューしていてもしっかりしていて、人材としてはほんと魅力的ではありました。

日本に戻ると、いまの会社、いろいろ事情があって、常時求人活動をやっているようで、職を求める中国人のレジュメがかなりストックされていました。
国籍など関係なく、大学新卒の場合、年収はグロスで400万円弱くらいではないでしょうか。手取りにすると月20万円を切るくらいでしょう。日本の大学を卒業して、日本の会社で3~4年のキャリアを積んだ中国人でも、希望年収は400~500万円くらいだったりします。30代前半の社会人経験10年選手でも500~600万円くらいで働き甲斐のある職を探していたりします。

こうした中国人を日本の本社で雇用して、中国に送り込んだほうが、現地で採用するより安く済んでしまいます。
日本で採用すると、中国で働いてもらうときに、中国人であっても海外勤務扱いになり、諸手当や家賃補助などで費用がかさんでしまう企業が多いのかもしれませんが、こうした規定こそフレキシブルに運用しないと、逆に不公平を引き起こしちゃいます。北京出身の中国人が日本で採用され北京に赴任するときに、海外勤務手当てや家賃補助まで、日本出身の日本人並みに手立てしてあげる必要はあるでしょうか?現地採用の中国人との待遇格差が顕著になるだけではないでしょうか?
日本の本社へのロイヤルティなども考慮すると、日本の本社で採用し、中国で勤務してもらうほうが有利であることは確かでしょう。しかも、現地採用のほうがコストセーブできる、というついこの間までの常識が、常識ではなくなりつつあるわけですから.....。

ただ、日本で社会人経験がある人材が必ずしも優秀とは限りません。むしろ、中国で仕事の経験が無い(少ない)不利を考慮する必要があるでしょう。
現地で働いていなければ得られない情報や経験はたくさんあります。たとえ日本の会社で中国のファイナンシャルの仕事をしていても、現地の税務当局などと直接遣り合う機会はほとんど無いでしょう。日本企業のトーン&マナーはわきまえていても、中国ではうまく機能しない場合が多いでしょう。

マネージメント・クラスであれば、日本の本社採用にして現地に送り込んだほうが、現地で採用するより安く済む、と言う数年前では考えられないような状況になりつつありますが、いろいろ考慮すると、少し高くついても現地での経験が豊富な人材を雇用したほうが、うまく行くような感じもしております。






Last updated  2007.05.08 13:13:10
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2007.01.19
北京で中国人の知人が起こした会社を訪ねました。
0歳から6歳までの乳幼児の両親をターゲットとするマーケティングとコミュニケーションの会社とでも言いましょうか。アウトプットとしては、ヴァイラル(クチコミ情報)をメインとしたポータルサイト、雑誌、ペイテレビ・チャンネルなどによって、ママやパパと子育て関係の商品やサービスを提供する企業との間に情報を流通させるというビジネスです。

中国には6歳までの乳幼児が1億人近くいます。このうち約20%、2,000万人が貧困農村部以外に住んでいるそうです。そのうちの1割を顧客として取り組めれば200万人(世帯)。ペイテレビの視聴料を月10RMB(150円)として年間で120RMB、200万世帯なら2,400万RMB(約3億6,000万円)の収入になります。達成率3割とし、さらに広告収入や雑誌販売などの収入を控えめに見積もって、年間1億円ちょっとの収入があればペイできる、と言う比較的謙虚なビジネス・プランで進めているそうです。

ご存知の通り、中国では"一人っ子政策"が続いていて、都市部の大部分の家庭では子どもを一人しか持てません。おのずと子どもにかける期待が大きく、期待に比例して子育てにかけるお金も大きくなります。0歳から6歳の子どもを持つ大都市の夫婦は1ヶ月あたり800RMB(約1万2,000円)以上費やしています。10RMBや20RMBくらいであれば、子育て情報に費やするのは惜しくないはず。雑誌などは既に出尽くした感じですが、ウェブやペイテレビ・チャンネルは発展途上の市場と言え、いいところに目をつけたなぁ、と言う感じです。

オフィスを訪れて驚いたのは、こうしたサービスをすべてインハウス(自社内)で完結しようという姿勢です。つまり、アウトソーシングを一切考えていないのです。エディター(編集者)、記者、デザイナーはもちろんのこと、カメラマンや映像編集者、番組のディレクター、パーソナリティに至るまで、すべて自社で抱えているのです。設備も、ウェブやDTPの編集で使うパソコンはもちろんのこと、テレビカメラ、ライティング、スタジオまで、すべて一つのオフィスに収まっています。
つまり、ポータルサイトもペイテレビの番組も雑誌もすべてワン・オフィスで完成してしまうのです(雑誌の印刷などはアウトソーシングしますが)。
確かに、ビークルは違っても、情報の内容はウェブ、テレビ、雑誌ともほぼ同じはずです。昔と違って、1台のパソコンでウェブの制作もテレビ映像の編集も雑誌の編集もできちゃうのです。つまり、ウェブ制作事業もテレビ番組制作事業も雑誌編集事業も設備が共有できるということ。コンテンツ(行き交うデータ)は皆子育てに関するものですし。

日本をはじめ欧米など多くの企業では、アウトソーシングを活用し、自社はコンパクトにするという経営が主流です。自社内で完結しようとすれば、多くの設備が必要になりますし、多くのスタッフを抱えることにもなります。商売がうまく行っている間は、コスト削減にも繋がるでしょうが、商売を縮小する必要が生じた場合、身動きが取れなくなってしまいます。固定資産が大きくなり、その償却のため利益が削られますし、余剰スタッフにも人件費がかかります。専門的な業務であればあるほど、スタッフの配置転換も難しくなります。
こうしたリスクを回避するために、多くの企業はアウトソーシングします。ですから、工場を持たないメーカーやウェブ・デザイナーのいないウェブ制作会社などが存在します。日本の広告会社でテレビCMを作っていると思ったら大間違いです。

アウトソーシングを重視する経営姿勢は株価向上のため、とも言われます。固定資産を小さく抑えることができ、豊富なキャッシュフローが生み出され、四半期や一年といった短いスパンで経営を管理し易いわけですから、EVA(Economic value added:投資した資本に対し一定の期間でどれだけのリターンを生み出すか)を重視する投資家にとっては魅力的な方向と言えるでしょう。

経営者の知人に問い質してみると、中国の場合、サービス業を含むソフト系産業では、インハウス(自社完結型)のほうが有利だと考えているようです。いろいろ話したのですが、彼女の意見をまとめると、中国における固定資産と現金と人件費の関係にあるようです。
中国では企業価値というと未だに固定資産を重視する傾向にあるとのこと。債権回収がシステマティックに行われていない中国においては、売掛金や買掛金といった帳簿上の資産や負債よりも、現金化可能な固定資産のほうが重視されているので、資本を固定資産化することを投資家は歓迎するそうです。ま、独自の技術だとか知的財産などが未だに価値として認められていないようなこの国ならではの事情かなぁ、と思います。
次に、設備投資と比較して人材投資が圧倒的に安く済むということ。しかも、とりわけソフト系産業においては人材流動性が激しく、人件費を固定費として考える必要が無いということ。事業規模を縮小したときの社員削減コストも少なくて済みます。むしろ、成長性の無い会社なら自主的にスタッフが去っていきます。
ですから中長期的にみれば、労働集約型のソフト系産業の場合、アウトソーシングに出さないでインハウスで行ったほうが圧倒的に有利、というのが彼女の主張でした。

私としては納得できるような納得できないような感じですが、確かに知人の起こした会社は、複数の事業で設備やスタッフを共有できるフレームワークになっていて効率的です。しかも、オフィスのロビーがテレビ番組用スタジオと兼用になっていて、運転手さんが収録の音声スタッフ(マイク持ち)をやったりしていました(写真)。
それでも、いきなり100人近いスタッフを抱え、この先大丈夫なのかなぁ、と心配もしつつ、日本の企業に居てはなかなか発想にこぎつけない、"自社完結主義"を応援したいと思っています。スタジオ






Last updated  2007.01.20 01:02:02
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2006.11.14
11日に時事通信社が北京から伝えたきたニュース。日本の大手新聞各社はスルーしちゃったようですが、ニュースサイトに転載されていました(Infoseek楽天ニュース)。
【北京11日時事】中国に進出した日本企業の総経理(社長)を含めた邦人計4人が2005年以降、輸入品をめぐる関税逃れなど「普通貨物密輸罪」に問われ、上海などの裁判所で相次いで有罪判決を受けていることが11日分かった。中国に製品や部品を輸入する際、価格の過少申告や輸入物品の虚偽申告で関税などを逃れようとしており、上海では今年9月、日本企業で総経理だった男性が懲役2年の実刑判決と350万元(約5250万円)の罰金を科され、控訴中で現在も拘束されている。
関税逃れと言うことで摘発され、実刑判決を受け、拘束されている日本企業の総経理(経営責任者)が中国にいらっしゃると言う話です。"脱税行為"だから犯罪なのですが、きっとビジネスを成り立たせていく上で仕方なく行った行為なんだと思います。

中国で製造やアッセンブリーを行っているメーカーさんにとっては、日本などから中国に輸入される原材料やパーツを、いかにスムーズに通関を通すかが命綱です。通関でもたついて予定期日を過ぎても原材料やパーツが工場に届かなければ、ラインは止まってしまいます。それでも、工場の労働者にはお給料を払わなければなりません。出荷も遅れるわけですから、販売店や顧客からの信頼を失い、多大な損害が生じることになります。
日本のように、ある程度システマティックに通関業務が行われ、陸揚げされて中何日で通関完了と読めるのなら良いのですが、中国の場合はそんな甘くはありません。税関の方と"仲良し"にしていれば優先的に通してもらえたりしますが、"仲良しでない"と逆に意地悪をされてなかなか通してもらえないかもしれません。ときどき日本の時代劇で、関所のお役人さんに"袖の下"を渡してこっそり通してもらうようなシーンを見かけますが、まぁあ~いう感じもアリなのです。
ですから、中国外からの輸入品を扱う企業の多くは、税関の方と"仲良し"になるために、ご飯をご馳走したり、キャバクラにご招待したり、最新のケータイをプレゼントしたり、本社のあるアメリカや日本やヨーロッパの国に視察旅行にお連れしたりします。これは贈賄行為とも言えますし、イケないことだと分かってはいるのでしょうが、「ウチの会社だけはそんなことはしない」と正義を振りかざしたとしても、通関が滞るだけ。ライバル企業のほうは税関の方と仲良くしているわけですから、仲良くしていなければ不利を被る可能性が大きくなります。

通関業務をスムーズにしていただくための税関当局との"関係作り"あたりまでですと、まだ"グレイゾーン"なのかもしれません。けれども、企業側にも税関当局にも、更なる"欲"が出ちゃうわけです。企業側は関税をできるだけ安く済ませたいですし、税関の方はリッチな企業の皆さんともっと仲良くしたいと思っちゃうわけです。ライバル他社のように、輸入品の価値を過少申告したでも見逃してくれる、ような"理想的関係"を税関当局と築くことができれば、価格競争力までアップするはずです。本社から課せられた中国でのミッションを達成しようと真剣に頑張っている日本人マネージメントならば、そうしちゃうかもしれません。
過少申告とか虚偽申請までいっちゃうと、さすがにグレイとは言い難いわけで、時事通信社の報道にあるように、"普通貨物密輸容疑"などで摘発されたりしまうのです。税関にもグルになっている方がいると思うのですが、そういう方々が収賄で摘発されたのかどうかは不明です(たぶん何らかの処分は受けてると思いますけど)。

とりわけ税関-密輸となると、『アモイ事件(遠華密輸事件)』が有名です。7年前に発覚した事件でありながら、カナダに逃げ延びた主犯格の頼昌星さんが、中国共産党中央政治局常務委員で江沢民さんの仲間だった賈慶林さんのことを、胡錦濤さんたちにチクるのではないか、と言うことで、最近また話題を醸し出しているようですが(産経新聞中国総局記者・福島香織さんのブログ『北京趣聞博客』にわかり易い解説記事があります)、当局も過敏に反応しているのかもしれません。
この手の脱法行為に関しては、日本企業だけではなく、中国企業も欧米企業も様々なところでいろいろと摘発されていますから、日本企業の総経理が実刑を喰らった、と言う日本向けのニュースだけで、また「日本企業潰しだぁ」などと決めつかないほうが良いと思いますけど。

私が北京でお勤めしてたときは、あまり税関とはご縁が無くて助かりましたが、税務当局や工商行政管理局などのお役人さんと"仲良く"しておく必要はありました。ライバル他社がお役人と仲良くして優遇されているのに、こちらがキレイごとを通して意地悪されてしまっては、競争力に差がつき、大きな不利を被りかねませんから、これはもうある程度やるしかなかったのです。
実刑になってしまった日本人総経理の場合もきっとそうだと思うのですが、日本人の責任者が率先して、お役人を接待しようと贈り物をしようとか、言い出すことはほとんど無いと思います。多くの場合、中国人の幹部やマネージャーが言いだしっぺであるはずです。「Aさんとの関係を強化するとうまく行く。私の知人のBさんが仲介できる。ライバル社はCさんと仲良くしているようだが、Aさんのほうが"実力がある"からライバル社より有利にしてもらえる....。」まぁ、例えばこんな感じでしょうか。もちろん、接待の場に日本人の責任者が連れ出されることも多いでしょうが、"実弾攻撃"のほうは中国人の幹部やマネージャーが"汚れ役"を演じるわけです(ピンハネなどによって"役得"になる場合もありそうですが)。
日本人総経理はギリギリの判断を迫られるでしょう。日本の本社はコンプライアンス強化と言ってきているわけですし、"工作資金"の財務処理だって考えなければなりません。日本人の責任者に相談すれば「ダメだ」と言われると思い、或いは日本人をトラブルに巻き込まれたくないと言う気遣いから、中国人幹部が独断で"工作"を行う事だってあるはずです。

日本人が直接関わっていないケースも多いはずです。それでも大規模な摘発があれば、経営責任者である日本人総経理(社長)が責任を問われることになるでしょう。「宮内さんが勝手に行ったことで、私は知りませんでした。」という感じで主張しても、総経理(社長)という肩書きを持っていたら、簡単には納得してもらえないでしょう。
私は中国における違法行為や脱法行為を奨励する意図はありませんが、いまの中国で経済活動を行っていき、それなりの成果を挙げるためには、怪しげと思う領域に足を踏み込む必要が生じることになるかもしれません。日本の独資を含む中国の法人で総経理である日本人は相当な覚悟が必要だと思います。
できることなら、信頼できる中国人幹部に総経理(社長)というタイトルを明け渡し、自らは董事長(会長)か副董事長(副会長)に棚上げされるのが良いかもしれません。総経理には日常的な業務の責任がありますが、董事長や副董事長にはありませんから。
またこうしたコンプライアンス上のリスクを回避するために、日本側は敢えてマジョリティーを取らない(出資比率を50%未満におさえる)というのも手だと思います。中国人同士の話し合いで丸くおさめてもらいましょう.....。






Last updated  2006.11.14 16:19:52
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2006.07.11
一般に情報公開は、社外に対してだけではなく、社内に対しても重要ですし効果的です。
お互いの部署の業務内容や成功例・失敗例を公開し、組織的に情報を共有することは、日本企業の"得意技"とも言え、ビジネス展開上で、たくさんのメリットがあります。担当外のスタッフや別の部署の方から思わぬアドバイスや有益な情報が得られたりしますし、ライバル部署のサクセス・ストーリーを参考に奮起することにもなります。
また、会社の方針だけではなく、業績や財務指標、人事制度などについても、できるだけ詳細、正確かつタイムリーに、できるだけ多くの社員に公開することこそ、経営の透明度を高め、社員のモチベーション・アップにも繋がりますし、内部統制の強化にも繋がると言われています。

とは言え、中国でも社員に対し積極的に情報公開すべきか、と言いますと、必ずしもそうとは思えません。
情報の公開や共有だけでは無く、"情報の囲い込み"にもメリットがあることを忘れてはなりません。中国の人たちの多くは、歴史的に"情報の囲い込み"に馴れているようです。自分だけが持つ情報を最大限活用するほうが得意なようです。逆に言えば、公開された或いは共有された情報の活用にあまり馴れていないように思えます。

まず、情報を公開或いは共有するにあたって、その情報発信者(提供者)に気を遣う必要があります。
成功を自慢するのが好きな方は多いのですが、成功のポイントを他者に明かすことを嫌がる方が多いはずです。まして人的コネなどは個人のものであって企業のものではない、と言う考えを持つ方が多いのも事実でしょう。各個人の持つ情報や経験(もちろん会社のカンバンを背負って得たものがほとんどでしょうが)が、他のスタッフの業績に活かされるような場合には、何らかのインセンティブを与えることも検討すべきでしょう。
また、日本人の上司が「公開或いは共有された積極的に情報を活用しろ」と抽象的に命じただけで、積極的に活用するスタッフは少ないのではないでしょうか。個人主義的傾向の強い中国のホワイトカラーは、"他人の褌で相撲を取る"ようなことをあまり好まないからです。
情報を公開させるにせよ、その情報を活用させるにせよ、双方のメリットを明確にして、マニュアル化するなりシステム化するなりして、筋道を示してあげないと、なかなかうまく行かないように思えます。

業務に関する情報ではなく、財務指標や人事制度などの企業内部情報の公開については、更に真剣にメリットとデメリットを考慮する必要があると思います。
先ほどの話と矛盾するようですが、公開する側、つまり経営層の意図に反して利用される場合があります。また社内情報の社外への機密が保持が難しいのです。

例えば、毎月の売上を社員に公表するとします。前年比で10%落ち込んでいる場合、経営層は社員に奮起を促すはずです。でもこうした情報に、決して多くの社員では無いと思いますが、ネガティブな反応をすることがあります。「会社の業績が落ち込んでいる」と言う話がいつの間にかライバル会社に伝わったり、このままでは給与が減らされてしまうかもしれない、或いはこの会社の将来は暗いなどと、転職を考えたりする社員も出てきたりします。
逆に、前年比20%増で絶好調のような場合、経営層は社員に気の引き締めと更なる躍進を願うはずです。でも一部の社員は、給与の値上げや臨時ボーナスの支給を期待し、そうしたアピールに出るかもしれません。会社側にそうした用意があれば良いのでしょうが、そうでない場合は、一部の社員にとってはネガティブな情報でしかなくなります。

売上くらいの情報ならまだましですが、総利益や最終利益あたりまで公表するのは更に危険だと思います。
以前取引先ごとの総利益(粗利)を社員に公表したことがありました。「A社の総利益率が高いので、B社やC社の総利益率もA社並みになるよう頑張りましょう。」と言うのが、日本的企業人の発想です。ところが中国では必ずしもそうではありません。結果としてA社の総利益率が徐々に下がっていきました。
ライバル社にウチの総利益率が筒抜けになってしまったこともありますし、最終利益が目標より多かった年には、社員から利益の再配分を求める声が高々に挙がったりもしました....。内部留保について説明して納得してもらうのにも一苦労です。
そんなワケでウチの会社は、以前全社員に公開していた毎月の財務指標などを、ごく少数の中国人幹部社員のみに"囲い込む"ことにしました。そうした情報を活かす活かさないは、中国人幹部社員の判断に任せることにしたのです。

機密漏えいなんて論外だ、と思われる方もいらっしゃると思います。ウチでも労働契約書に、機密漏えいに関する条項を設け、退社後一定期間効力を有することになっています。パソコンやメールの管理もかなり厳密にしています。そして退職届が提出されると同時に、その社員が使っていたパソコンを凍結するのですが、100%完璧とは行きません。これは情報に対する考え方の違いからくるものだと思っています。

中国に限らず、情報の発信者が意図したとおりに受信者が活用することは、なかなか難しいと思います。日本企業の多くは、情報を広く社内外に公開する会社ほど"開かれた良い会社"と考えがちですが、特に中国の場合、充分デメリットも考慮する必要があると考えています。






Last updated  2006.07.11 18:00:52
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2006.05.29
中国において代金回収はとても頭の痛い問題です。中国では、お金の支払を引き伸ばさなければならない環境になっており、支払を遅らせることこそ経営手腕と見做される場合も多い、まさに構造的な問題なのです。
コンシュマー製品を例に挙げますと、購入する消費者はニコニコ現金払いが通常ですが、小売店はその売上代金をなかなか問屋さん(中国ではメーカーが直接小売店と取引するケースが増えているので問屋さんが介在しないケースが多いのですが)に払いません。問屋さんはメーカーさんになかなか払いません。メーカーさんはパーツのサプライヤーさんに仕入れ代金をなかなか払いません。それで零細のサプライヤーさんの老板(社長)はその従業員になかなか給与を払いません。こんな感じです。こうした構造において、約束どおりきちんとお金を払いたいと思ったとしても、資金繰りがつかず払えないという状況に陥ってしまうわけです。ですから、どの段階でも約束どおり支払うことを躊躇わざるを得ないことになってしまうわけです。
中国における構造的な問題ですから、中国企業だけではなく、中国で企業活動をしている外資企業や日系企業も巻き込まれていきます。「代金が回収できない」と言う被害者としての話題は良く出てきますが、一部の日系企業など外資企業も「約束どおり代金を払ってくれない」と言う加害者になっている場合もあります。

そんな折、中国においてプレゼンスが高い欧米系広告会社オグルビー&メイザーが北京ベンツ・ダイムラー・クライスラー自動車有限公司を提訴したニュースが話題になっています(新浪網ニュース) / Do News)。

2004年、上海オグルビー&メイザーは北京ベンツが生産する3ブランドの自動車(三菱ブランドと北京ジープ・ブランドでメルセデス・ベンツは含まれていません)の広告サービスとメディア買付けに関する覚書を取り交わしました。ところがその費用のうち1,262万RMBが未払いのままになってしまったそうです。オグルビー&メイザーは遅延利息を含めた1,359万RMBの支払を北京ベンツに求め北京市第二中級人民法院に提訴したということです。

広告業界の場合も、同じような構造問題を抱えています。約束どおり広告費用を広告会社に支払わないクライアント(広告主)がたくさんいるのです。そして、広告会社が広告枠の買付け代金をメディア(テレビ局や新聞社など)に支払う場合も、約束の期日まで支払わない場合も多いのです。
これには当然のことながら"力関係"が影響します。"力"を持ったメディアは前払いしないと広告枠を売ってくれないこともありますし、"力"や"信用"を持った広告会社であれば、広告掲載の3ヵ月後とか半年後とか1年後の支払いであっても、"力"をあまり持たないメディアから"取引停止"にさせられるようなことは無いわけです。中国のメディア業界は過熱競争気味ですから、"力"のある広告会社やクライアント(広告主)が予定通り代金を支払わないとしても、"泣き寝入り"場合が多いようです。広告会社のほうも、クライアント(広告主)との取引が継続している限り、代金の支払が遅れたとしても、大きく騒ぎ立てず、じわりじわりと督促・回収する場合が多いようです(まぁ、日本においてもこうしたケースが無くは無いでしょうが....)。

オグルビー&メイザーがベンツを訴えるに至ったのは、既に取引関係を打ち切った、ということ、しかも将来的にも当面は取引を再開するつもりが無いからでしょう。両社ともグローバル展開をしている企業ですが、中国以外でも当面取引を行う意志が無いことの表れです(なお北京ベンツは、今でこそダイムラー・クライスラー傘下の外資企業ですが、もともとは北京ジープという国有自動車工場でした)。要するにオグルビー&メイザーにしてみれば、北京ベンツは喧嘩別れしても痛くも痒くも無い(少しは痛いでしょうが)クライアントであるということでしょう。
経営が傾きかけている取引先などにはこうした強硬手段も取れるのでしょうが、取引を継続していきたいと思っている場合には、訴えたりすることはなかなかできない、と言うのが実態ではないでしょうか。どのあたりで"見切り"をつけるか、と言う判断が重要になってくるわけですが、中国の信用情報は必ずしも正確であるというわけではありませんし。

以前にも書きましたが、第一にきちんと契約書を取り交わすこと、取引を証明するエビデンスをきちんと保管しておくこと、が基本だと思います。こうしたエビデンスが用意できなければ、訴訟に持ち込むにも時間がかかりますし不利に展開するでしょう。第二に余裕のある資金計画を心がけることでしょう。契約書どおり入金されるなんて考えないで、入金が少しくらい遅れても資金繰りに大きな影響を受けないくらいの手元資金を確保しておきたいところです。可能であればあらかじめ資金調達コスト分くらいは上乗せして値決めするのが理想的ではあります。最後に、ある程度の回収不能を見越して、"心の中で"引当金を見積もっておくことです。年間のPLでたくさんの利益を確保できた経営者であっても、あまり調子に乗らないほうが身のためかもしれません。翌年、翌々年にその利益を呑み込むくらいの不良債権を処理しなければならなくなるかも知れませんから....。日本の本社で中国現地法人を管理する側の皆さんも、回収の遅れと回収不能について、"心の準備"をしておいていただくのが良いと思います。どんなに有能な経営者であっても、中国では避けられない問題だと思うからです。もちろん、すべてニコニコ現金前払いで取引が成り立つような"力"のある企業であれば別ですが。

私個人としては、中国の大企業との取引において、支払遅延はあったとしても、取引が継続している間は、"取りっぱぐれ"(回収不能)に陥るケースは非常に少ないと考えています。経営状態が危なくなってしまった取引先の売掛金が焦げ付くのは、何も中国に限った話ではありませんし....。






Last updated  2006.05.29 13:59:35
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2006.04.25
日本企業の中国現地法人では、大企業なら部長クラス、中小企業なら総経理(社長)を中国人に委ねています。マネージメントに中国人を登用することと『現地化』は決してイコールではないと思いますが、中国で中国人マネージメントを登用することは、ビジネスの成功に不可欠な必要条件ではあります。

さて、中国人マネージメントの登用の仕方にも、大きく分けると二つの方法があります。一つは、日本の本社で仕事をしてきた中国人を中国の現地法人に駐在させる、と言う方法。もう一つは、中国で採用した有能な現地社員を登用する、と言う方法です。前者には、日本に留学し日本の別の企業で経験を積んで、日本で中国要員として転職し、ほぼすぐに中国に派遣されるケースなどもありますし、後者には、その現地法人の中で長年働いている社員が昇格する場合もありますし、いきなりヘッドハンティングで幹部に登用するケースもあります。様々なケースがありますが、日本の本社からの派遣か現地での登用か、の二つに分けてお話を進めてみたいと思います。

中国人幹部を日本の本社から派遣する魅力は、何といっても会社に対するロイヤルティ(忠誠度)ではないでしょうか。これは、日本の本社社員が海外に駐在する場合と同じ待遇であることが前提ではありますが。お給料も評価も、自分の人生も、みんな日本の本社に依存することになりますから、日本の本社にとってマイナスになるような行為はあまりしないはずです。また、日本本社の企業理念、企業文化、社風などを理解している場合が多いので、中国の現地法人に日本の本社のそれらを導入する場合は、大きな力になるはずです。さらに、日本流のビジネスの仕方をわきまえているはずですから、中国における日系企業との取引などにも力を発揮できると思いますし、日本の本社との連絡、報告、交渉においても、うまく行くでしょう。日本の本社や現地法人の日本人にとっては、比較的安心感があると思います。

しかし、これらのメリットはまた、デメリットに変わりかねない危険性をも秘めています。
まずは待遇格差。日本の本社社員としての待遇と現地法人の幹部としての待遇には、多くの場合、雲泥の差があります。前者の場合、給料は日本本社の体系に基づきますし、海外勤務手当てなども上乗せされるでしょう。さらに、中国での住居や日本への帰国も会社費用で賄われる場合が多いはずです。現地採用の有能な幹部に、現地法人がいくら優遇したとしても、月5万RMBも払える日系現地法人は稀でしょう。年収60万RMB(約900万円)は、中国都市部のビジネスマンの中でもかなり高給取りに属すのでしょうが、同じポジションで日本の本社から派遣された中国人幹部の場合は、いろいろ含めるとこれ以上の報酬を得ているはずです。一般的には月2~3万RMBあたりが限界線でしょう。しかも、日本本社では成果や実績に関わらない(ほぼ)固定給が未だに主流ですが、中国の現地法人では成果報酬制を採用している企業も多いはずです。
日本の本社からどんな待遇を受けているのか、現地法人の社員は知るはずもないだろう、考えるのは少し甘いと思います。給料や待遇のことなど筒抜けになってしまうのが中国の現状です。無理に隠そうとすれば、正確でない大袈裟な噂が立つことになるかもしれません。
もちろんその中国人幹部が、現地法人の中で活躍して、成果を挙げ、現地法人のスタッフに評価されているのであれば、大きな問題にはなりません。中国では成果主義が根付いていますから、報酬に相応しいほどの活躍をしているのであれば、"本社待遇”であろうがなかろうが、現地法人のスタッフは納得するはずです。
けれとも、そうで無いケースが意外に多いようなのです。

その原因こそ、皮肉なことに日本流のビジネスの仕方をわきまえていることや、日本本社の事情をよく理解していることの"反作用"だったりします。
つまり、日本に留学したり、日本の会社で働いている間に、中国の事情に疎くなってしまう場合が多く、中国の現地法人に赴任しても、現地でのビジネス経験の豊富な現地採用の中国人幹部ほど能力が発揮できず、なかなか成果を挙げられないケースがあるということです。。
中国の変化は日本と比べものにならないくらい速いのです。5年、10年、日本で生活しているうちに、いろんなことが変化してしまいます。許認可や手続きのシステムやマーケットの状況などであれば、日本からでも情報収集できますが、中国ビジネスで重要な"人間関係"の形成に空白期間ができてしまいます。効果的な"人間関係"は主として実践を通して形成されていきます。中国で働いていれば、政府関係者にせよ、取引先にせよ、どんどん人脈を広げ深めることが可能ですが、日本に居る期間が長いほど、中国での人脈が細くなっていきます。日本本社から派遣された幹部は、中国人でありながら中国の事情に疎く、有効な人脈をあまり持たない人材と言うことになりかねないのです。ですから、現地採用の幹部よりも成果が挙げられないということにもなりかねないのです。
さらに、日本流のビジネスの仕方に馴れてしまって、中国風のビジネスの仕方に馴染めないというケースもあります。日の本社が、日本流のビジネスの仕方を貫き通しほしい、と願ってくれても、"郷に入れば、郷に従え"です。中国で中国人が日本流のビジネスの仕方を貫き通して、うまく行くケースは稀ですし、マイナス面のほうが多いと思います。

こうして、"待遇の割には使えないヤツ"という評判が現地採用のスタッフの中から沸きあがってくるケースがあります。
こうなってしまうと、日本本社とのパイプの太さが、現地法人の内部での軋轢を生む原因になっていきます。日本から派遣された幹部なら日常的に本社とコミュニケーションできます。相談や報告が"的を得たもの"であれば良いのですが、自己保身のために、現地スタッフのよからぬ話をレポートするような場合もでてきます。現地採用の幹部のほうはダイレクトに日本の本社とコミュニケーションする機会が少ないでしょうし、日本側も本社から派遣させている中国人幹部の報告を信用しがちです。

一方、現地で育成或いは採用した幹部は、中国や業界の事情に詳しいはずですし、中国のビジネス習慣をわきまえながら仕事を進めていくでしょうから、大きな成果を期待することができるかもしれません。でも日本の本社に対するロイヤルティ(忠誠度)はあまり期待できないでしょうし、リベートやバックマージンはおろか、ウラで自ら会社をつくって"ピンハネ"するようなリスクも否定できません。日本流のビジネスの仕方が理解できず、日本の本社としてはコントロールしにくいでしょう。

現地法人の中国人幹部。日本から派遣する、現地で調達する、どちらの場合でも、メリットとデメリット(リスク)があります。もちろん、こうしたリスクの心配が要らないくらいの有能な人材が居れば、本社派遣だろうが現地採用だろうが、どちらでも構わないのですが、なかなか見つけることは難しいと思います。






Last updated  2006.04.25 21:29:59
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2006.03.30
以前、中国側パートナーを軽視したため董事会で中国側から解任動議を出された日本人総経理のエピソードをご紹介しました。今回はどちらかと言うと逆の例です。
日本の本社から派遣されて現地法人を委ねられていたにも拘らず、現地幹部とうまくやってきたが故に、日本の本社の不評を買い、帰任してしまった日本人総経理と取り残された幹部社員のお話です。

その現地法人は世界的にも著名な日本企業がマジョリティを握っており、中国側パートナーはほとんど経営には関与せず、配当だけ入ってくれば良いような感じだったそうです。中国側から派遣された老齢の副総経理は、自分の子どもくらいの年頃の幹部社員の意見や方針に逆らうことなく、目を細めて見守っているような人でした。
その日本人総経理は、中国側総経理のメンツにも気を遣いつつ、現地幹部社員をうまく取り込み、短期間で業績を拡大していきました。更に現地幹部社員のモチベーションを更に高めるため、昇格や昇給など待遇の改善も行いました。
ここまでは理想的な展開と言えるでしょう。

ところが意外なところから綻びが生じ始めるのです....。
その日本人総経理と日本の本社との関係がギクシャクし始めるのです。いろいろあったようですが、一例として挙げるなら、現地人幹部社員を優遇し過ぎている、と言う批判が浴びせられたのです。
日本の本社はこの現地法人以外にも複数の現地法人を中国に抱えています。部品と製品、生産と販売などそれぞれ役割は異なりますし、経営規模や利益水準、現地社員の待遇も違います。しかし、本社からみれば業績を比較し、派遣した総経理などの幹部社員を評価するわけですから、ある意味でライバル企業同士とも言えるのです。ですから、私の推測ですが、他の中国現地法人の日本人から足を引っ張られたという可能性もありそうです。
その日本人総経理は、本社の方針よりも現地人幹部の意見を重視し過ぎている、他の現地法人と比較してその会社の現地人幹部の待遇が良すぎる、などと非難されるようになり、業績が好調なのにも拘らず、予定任期を1年残しての帰任と言うことになりました。

総経理帰任とその理由を知った現地人幹部は動揺しました。自分たちが最も能力が発揮できる環境が脅かされると察したからでしょう。
日本企業の中国現地法人は、ローカル化などと口にしながら、重要判断は日本の本社が行うケースがほとんどです。しかし中国の会社法では総経理に日常的な会社経営に関する絶対的な権限があります。資材の調達先を新たに開拓するとか、仕入れ価格を決定するような話にまで、本社の決裁が必要なような状況では、"飾り物の総経理"でしかなく、現地幹部社員の信任すら得られないでしょう。中国のホワイトカラーの働き場としての日系企業の人気が低いのは、こうしたことも影響しています。現地への権限委譲が進まなければ、配下の社員も働きにくいのです。
その日本人総経理は、そうした事情をわきまえて、"飾り物の総経理"に留まることなく、できる限り現地判断で経営を遂行したようです。幹部社員の意見や提案を尊重し、もちろん自分なりの検証を行った後に、日本の本社にいちいちお伺いを立てることなく、バシバシ進めて行ったので、現地の幹部も働き甲斐があったでしょうし、社員から尊敬と信任を得られたのでしょう。その結果として業績も拡大したのです。

彼(女)らは、そうした"老板"(親分)のもと自己実現に適した場の提供を受けて、楽しくも一生懸命働いてきたわけです。もちろん一方では、一般的な日系企業の堅苦しさも知っていたでしょうから、彼(女)らの多くは日本人総経理の帰任後の"反動"を心配して、その現地法人から去ることになりました。
傍観していた中国側副総経理も、いよいよ会社の行く末を心配して、中国側パートナーの上層部より日本人総経理の帰任を棚上げするように日本側にリクエストしたらしいのですが、日本の本社は聞く耳すら持たなかったそうです。

旧正月で帰国した際、その元総経理にお会いしました。「(中国のスタッフは)皆、会社のブランド力や知名度に惹かれて働いているのだと思っていた。自分についてきてくれたのも、自分があの会社の看板を背負っていたからだと...。ボクが中国を去ったとき、彼(女)らの多くが現地法人を離れてしまったのは、意外でした。」
私には良くある顛末に思えました。日本企業に限らず、総経理の入れ替わりとともに、中核社員も入れ替わってしまうことなんて、中国ではよくある話です。

中国のホワイトカラーの多くは、自己実現し易い環境で働きたいと思っているようです。自分の能力が如何なく発揮でき、尚且つ更に伸ばせるような環境を求めています。そうした環境を提供してくれるのが、会社なのか上司なのかはあまり重要なことではないのです。特に上昇志向の若い人たちは、会社の知名度よりも職場の環境を重視します(もちろん待遇も重要です)。
働き易い環境を提供してくれるのが、会社ではなくて上司だと知れば、彼らのロイヤルティーは自ずと上司のほうにシフトしてしまうでしょう。特に日系企業は、中国の若者に自己実現しにくい働き場所だと思われがちです。

日本に帰任した元総経理は、会社の看板ではなく、尊敬と信任できる親分のもとで働きたいと願い、転職したそうです。以前より更に輝いてみえました。






Last updated  2006.03.30 16:43:45
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2006.02.06
懇意にしていた日本の大手メーカーの中国現地法人の日本人総経理(社長)が突然帰任することになりました。
その現地法人は日本側の出資比率が過半数を占め、名実とも日本メーカーの子会社なのですが、外資規制などいくつかの理由があり、中国の国有企業との合弁会社になっています。年に1回開催される"董事会"(日本で言うと"取締役会"と"株主総会"を兼ねたようなもの)で、中国側"董事"(日本で言うと"取締役"のようなもの)から、"総経理解任動議"が提出されたようです。出資比率同様、董事会においても日本側がマジョリティーを占めていますから、その場で否決されてしまうのが本来の姿であるはずなのに、日本側董事(つまりは日本の親会社のトップたち)が本国に持ち帰ってから検討するということになり、結果として日本側も総経理の解任に同意してしまいました。
つまり、この日本人総経理は出身元の日本の本社からはしごを外された格好になってしまったのです。

この総経理が、業績を上げられなかったのか、或いは業務怠慢だったのか、というと、私のみたところ、決してそうではありません。プレイング・マネージャーとして土日を惜しまず仕事をこなし、業績を向上させていました。まぁ、私にしてみれば、そのことが"アダ"になってしまったのではないかと分析していますが.....

その会社は、日本の国際的ブランドの製品を中国でも製造販売するため設立されました。
製造管理もマーケティングやセールスも日本側に任せる、という合弁条件を中国側が受諾し、総経理(社長)も日本側が本社から送り込むことになりました。中国側の合弁相手は、地方政府機関がお膳立てした"お見合い"で半ば強引に結び付けられた国有企業。広い意味で同業種ではありますが、業績もパッとせず、製造ノウハウはもちろん、中国市場におけるマーケティングやセールスのインフラもあまりあてにはできないような企業にみえました。
そうした状況を目の当たりにしたその日本人総経理は、既に海外において市場開拓経験のある方でしたので、中国側合弁相手に頼らないマーケティングやセールスの体制を築いていきました。

中国側合弁相手から派遣されている副総経理(副社長)には、ほとんど何も相談せず、独断で進めてきたことは、当然のことながら"ワンマン経営"に見えたでしょう。けれども市場参入から3年、売上も市場シェアも順調に伸ばすことができたのです。
その会社が製造販売する製品の市場でのプレゼンスが大きくなり、
事業規模が拡大すれば、"利権"が生まれてきます。例えば、資材や原材料の調達にしても、立ち上げの頃は良い取引条件を引き出すために数多くのアウトソーシング先を訪ねてギリギリの交渉でコストダウンをしなければならなかったのですが、事業が順調に拡大していけば新規取引を狙った様々な会社から頻繁に"売り込み"が来るようになります。あちこちを飛び回って不在がちの日本人総経理ではなく、閑職の中国側副総経理のほうに"売り込み"が集中することは容易に想像できます。
発注者としての権限を持つこと、イコール"権益"を握ることですから、そうした"権益"を中国側合弁相手が奪還しようと考えるのも良くある話です。

中国側合弁相手は、董事会で日本人総経理解任の理由について、ワンマン経営を第一に挙げたそうです。合弁会社であるのに中国側から派遣されている幹部には何も相談せず、すべて独断で行っている。権限が集中して、取引先との関係が不透明だ。そして、中国のことは中国に居る者が関わるべきだ。
最後の「中国のことは中国に居る者が関わるべきだ」については、私がこのブログの中でも常々主張していることではありますが、立ち上げで苦労しているときに傍観していた中国側の方たちに主張されては、違和感を覚えてしまいます。

さて多くの日系合弁会社と同様、この会社の日本側董事は総経理を除き、日本本社の社長や海外事業担当役員など重役が名を連ねています。中国側董事も出資元企業のトップや重役が就任するのが一般的で、そうしたう方の中には政府機関や共産党の幹部役職を兼務しているケースが多いのです。日本側董事すなわち本社の重役たちは、中国側董事のこうした"肩書き"に過剰な期待を持つことが多いわけです。
また、表向きであっても合弁事業が円滑に進められているときの董事会は、年に一回の"日中友好宴会"みたいな感じになりがちです。董事会そのものは、一般的な日本の株主総会の如く「異議無し」の連発で恙無く終了し、その後食事会みたいなものが用意されていて、お互いが相手先を喜ばせるような趣向を凝らしたりします。
日本側董事は年1回の董事会の折に、中国側合弁相手のVIPに"骨抜き"にされることになります。「もっと中国側のリソースを活用できるはずだ」「現地の総経理が報告を上げてくることと違う印象を持った」などなど....多くの中国人は接待上手ですから、たまにしか会わない日本側トップに、中国側を胡散臭いなんて思わせる隙すら与えないはずです。現地を任されている部下の日常の苦労話などどこ吹く風のように消え去り、中国側合弁相手への信頼感のほうが増してしまうことすらあるわけです。

そんな董事会でいきなり提出された"解任動議"。さすがに日本側トップは、その場で受諾することは避けましたが、結果的には受け入れてしまったのです。
その総経理がワンマンだったのは事実だと思いますが、理由は明確ですし、最初の2年間は中国側も面倒な責任と仕事を押し付けられず喜んでいたフシすらあるのです。日本の本社は、現地で苦労してきたその総経理=自社社員の"言い分"などよりも、あまり役には立たないはずの"大切な"中国側パートナーの意見のほうを選択してしまったわけです。
後任の総経理も日本から送り込まれてくるのですが、権限は大幅に削がれるようになるでしょう。

「現地化」とよく言われます。マネージメントを現地人にするのも現地化の一つだと思いますが、根本理念は(日本人であろうが現地人であろうが)「現地を預かっている責任者を信頼する」と言うことではないかと思います。もちろん内部統制上、本社の関与は必要ではありますが、可能な限り「現地判断を尊重する」ことこそが「現地化」のファースト・ステップだと思います。
重要案件が最終的に日本本社の判断となることは致し方ないにせよ、年1回程度の中国側パートナーの"心地よい応対"に惑わされて、モノゴトの全体像を把握できないような日本の重役の方が決めてしまうのは、どうかと思ってしまいます。

多くの中国人は、プロコトルの使い方に秀でています。七夕みたいなお付き合いしかなくとも、”非公式の場"では日本側トップ(決定権者)の好評価を獲得します。そして董事会での解任動議のように"公式の場"の権威性を巧みに利用します。普段日本にいらっしゃるトップや重役の方の多くが、そのワナにハマってしまい、"ビジネス"よりも"友好"のほうに傾いてしまいます。
なんだか、日本の外交にも似ているような気がしますが.....






Last updated  2006.02.06 20:14:38
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