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テーマ:本のある暮らし(3192)
カテゴリ:本
今日、念願の本棚がきた。
引越してから1ヵ月ちょい、わたしの本たちはダンボール箱5箱に詰められ静かに眠っていたのですが、とうとう再び日の目を見ることとなりました。 新しい本棚に本を納めながら、『わぁ~、この本も久しぶりだ~』なんてハシャギながらで、作業はゆっくりゆっくりと進んでゆきました(実はまだ終了していません)。 その中の一冊が、井伏鱒二さんの『厄除け詩集』です。 わたしはこの詩集が好きです。 タバコのヤニを飲み込ませられたカエルが、胃袋を取り出して必死にゴシゴシ洗っている詩だとか、(多分、井伏さんが)電車に乗っていたらアゴの外れた人がいて、その人の慌てようを見ながら笑いをこらえるのに必死だった、というような詩だとか。 有名なあの詩も入っています。 『コノサカヅキヲ受ケテクレ』 『サヨナラ』ダケガ人生ダ タイトル『勸酒』 * * * わたしは智恵子抄の『レモン哀歌』を読むと、どうしても涙が喉に流れてしまいます。 思えば小学校や中学校の教科書に載っているお話は、本当はとても面白かった。 『レモン哀歌』も安部公房も、わらぐつの中の神様も、教科書で知りました。 だけど、何日も何日もかけて段落がどうの、ここの要点はどうの、と言っているうちに、大好きな詩がだんだん色あせてゆくようでした。 何年も何年も後になって再び『レモン哀歌』に出会ったとき、初めて読んだような新鮮さを感じ、そして自然と涙を流している(この時は喉にではなく)自分に驚きもしました。 そのくせとても、懐かしかった。 * * * 井伏鱒二といえば『黒い雨』 その一部分を授業で習いました。 が、戦争のお話だったということと、いつも同じ男子がいつも同じ部分を読まされていたような記憶以外、何も覚えていません。 その後に何かで知った『山椒魚』の最後の部分が、大幅に削られたというお話。 そちらの方が印象が強い。 ついでに言えば、夏目漱石の『こころ』も、覚えていない。 誰かが自殺したお話、というイメージしかない。 このイメージは多分、間違っている気がするけれど、他には何も覚えていない。 授業で、何日も何日もやったハズなのに。 * * * ところでわたしは、何を書こうとしていたんだっけ。 そうそう 『サヨナラ』ダケガ人生ダ この訳詩を読んで、やっぱり涙が喉に流れたのでした。 取りようによっては、ひたすら後ろ向きにも思えますが、わたしはこの言葉に前向きな無常さ(あぁ、めちゃくちゃな表現ですが、他に思いつきません)を感じたのでした。 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 『譯詩』より
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