770400 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

乱読・積んどく・お買い得!?

乱読・積んどく・お買い得!?

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

Category

Archives

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

chiko619@ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593@ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist@ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist@ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist@ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…

Headline News

2021.07.18
XML
カテゴリ:社会・政治・時事
 1871年に行われた廃藩置県により、全国260以上の藩が消滅しました。
 1869年の版籍奉還の後、知藩事として国元を収めていた殿様たちは、
 領地・家臣団を失い、強制的に東京に居住させられることになりました。
 と、ここまでは学校の教科書にも載っていて、誰もが知っていること。

 しかしながら、その後、殿様たちがどのように過ごしていたかとなると、
 私を含め、多くの人たちがほとんど知らない。
 本著は、そんな人たちに殿様のリアルを伝えてくれる一冊。
 「そうだったのか……」と思わず唸らされる内容が満載です。

   ***

第1章「維新の波に抗った若き藩主たち」に登場する
超有名人の松平容保(会津藩)や、その弟・松平定敬(桑名藩)、
さらに林忠崇(請西藩)や徳川茂承(紀州藩)らは、所謂イメージ通りの人たち。
幕末、そして維新の時期を殿様・知藩事として過ごした人らしい生き方。

そして、第2章「最後の将軍・徳川慶喜に翻弄された殿様」に登場する
超有名人の松平春嶽(福井藩)や山内容堂(土佐藩)、
戊辰戦争で敵味方に分かれ兄・松平容保と戦った徳川慶勝(尾張藩)らも、
私たちがイメージしやすい生き方をした殿様たち。
 
しかし、将軍職を退いた慶喜の跡を継いで徳川宗家当主となった家達(静岡藩)は、
貴族院議長を明治36年から昭和8年までの長きに渡り務めるなど大活躍。
大正3年には「内閣を組織せよ」という大命が下りましたが、辞退しています。
また、大正10年には英国留学経験を活かしワシントン海軍軍縮会議に全権として参加。

そして、現在大河ドラマ「青天を衝け」でも登場している慶喜の弟・昭武(水戸藩)は、
慶喜の名代としてパリ万国博覧会に参加した後、そのままパリに留まり過ごします。
帰国後は、1868年4月に水戸藩主に就任し、新政府の命で箱館戦争に参加。
その後、軍人生活をした後、アメリカの万国博覧会御用掛を務めるなどしました。

続く第3章「育ちの良さを生かして明治に活躍」に登場する殿様たちは、
その生き方も実に様々で、本著の中でも最も興味深いところかも知れません。
蜂須賀小六の子孫・茂韶(徳島藩)は、元老院議官や東京府知事などの要職を歴任、
浅野長勲(広島藩)は、製紙会社を起こし、銀行頭取や外国公使も務めました。
岡部長職(岸和田藩)は、米国留学後に外交官として活躍、東京府知事にもなりました。
亀井茲監(津和野藩)は早くから教育に力を注ぎ、宗教行政に尽力しました。

中でも印象に残ったのは、名君・上杉鷹山を敬愛した上杉茂憲(米沢藩)。
県政不服従運動が展開される沖縄の県令に就任すると、
教育機関・医療機関の充実と間切吏員制の改革に着手、
改革意見書「沖縄県上申」を提出しますが、各省は「時期尚早である」との回答。
しかし、茂憲はあきらめきれず、さらに意見書を提出したのです。

  政府の高官たちは茂憲の熱意を感じながらも、大いに閉口した。
  沖縄を牛耳っているのは、旧王族や士族、間切の吏員たちであった。
  まだ沖縄は、日本の統治下に組み込まれたばかりで、
  今後も清朝が領有を求めてくる可能性があり、
  そのさい沖縄の支配層が清朝と結びついては都合が悪かった。
  このため政府では、「旧慣温存」を沖縄統治の根本政策とした。
  支配層に有利なように昔ながらの慣習をそのまま温存するというものだ。
  まさに間切吏員制は、その柱であった。
  それを茂憲は、大幅に改革したいと主張しているわけだ。
  もちろん、県民のためになるのは明らかだが、沖縄統治のためには、
  旧琉球王国の支配層の力が必要なのだ。
  ここにおいて政府の実力者たちは、茂憲の召還を決めた。(p.191)

政治は難しい。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.07.18 19:39:01
コメント(0) | コメントを書く
[社会・政治・時事] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.