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カテゴリ:経済・ビジネス
結婚とは「所得連動型の債権」という金融商品である。(p.21)
読み進めていくにつれ、この言葉の意味するところがジワジワと伝わってきます。 ・結婚と離婚で動く金は、基本的には、慰謝料、財産分与、婚姻費用の3つ。 ・養育費は、離婚成立までは婚姻費用に含まれる。 ・慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金で、離婚の原因を作った側が支払う。 慰謝料については、日本では相場がある程度予測可能で、浮気なら100万~200万円程度、 アメリカのように莫大な金額になることはないそうです。 さらに、芸能ニュースでいうところの「慰謝料」は、離婚に際し払った総額のことをいっており、 法律用語でいうところの「慰謝料」とは違っているとのこと。 ・財産分与、婚姻費用の算定では、どちらが悪いかは全く関係なく、所得で決まる。 ・財産分与は、離婚する際に、結婚してから形成された共有財産を分割するもの。 そのため、結婚前に持っていたお金については、財産分与に関しては全く関係なく、 親が金持ちのボンボンと結婚しても、理論的にはそこから1円も取れないそうです。 ・婚姻費用は、夫婦間でより稼いでいる方が、そうでない方に毎月一定の金額を支払うもの。 ・これは、夫の所得、妻の所得、子供の数と年齢から、家庭裁判所ではほぼ機械的に決まる。 ・離婚後、婚姻費用の支払いが滞った場合には、預金や給料など何でも差し押さえ可能となる。 これは、「夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持し、 夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務がある」 と民法に規定されているためです。 これらのことから、年収1200万円のサラリーマンの夫が、 専業主婦の妻に、14歳以下の子供一人を連れて実家で別居され、婚姻費用分担を請求されると、 夫は月々約21万円を妻子に支払い続ける義務が発生し、コンピ地獄が始まります。 これを終わらせるには、離婚を成立させるしかなく、夫は離婚裁判を起こすことに。 双方が書面で相手を罵り合いますが、妻は離婚したくない、元の生活に戻りたいとも主張。 それは離婚成立を困難にし、相手を有責配偶者にして、コンピ地獄を長期化させるため。 その妻と10年後に離婚、結婚後築いた財産が夫の預金1000万円、妻の預金100万円である場合、 夫が離婚に際し支払う総額は2970万円、以後養育費として月額17万円を支払うことに。 *** すでに述べたように、親が億万長者である無職のボンボンと、 年収300万円のOLが結婚した場合、 旦那が愛人を作って出て行った場合に、 毎月、婚姻費用を支払わなければいけないのは、OLである。 離婚するときに財産分与を支払わなければいけないのも、OLのほうなのだ。(p.112) このルールさえ頭に入っていれば、 結婚・離婚に際しマネーがどう動くかについて、 格段に見当がつけやすくなりそうですね。 とても勉強になる一冊でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.18 11:21:18
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