柳居子徒然

 格別深い関係では無いが、何十年も毎朝一緒に珈琲を飲む仲間　私事では無いが無理を聞いて貰った事もある。　浮世の義理という言葉がある。見舞いは当然果たさねば為らない義理だが、本人の立場で考えると、健康・元気印の柳居子が行けば　己の身の萎みを晒したくないという思いも有ろうか　又　大凡入院患者は見舞い客に元気そうに振舞う事が多く客が帰った後　熱を出したり病変が進む事があると聞いた事がある。出掛けない方が良いと思う反面　あれだけ親しくしていたのに　顔すら見せないと思われていないか　この辺りの兼ね合いが実に難しい。

　人がこう思うだろう　と云うのは、あくまで此方の思いで有って　多分瀕死の枕頭　もう柳居子の事など頭に無いはずという決断を　もう一度病院に症状を問い合わせた上で下そうかと思っている。

　見舞いの話　別口　干支一回り上の卵屋の親父の入院の時、常日頃の親しさから見舞いに行けば　『何しに来た　弱っている処を見にきて、皆に言い触らすなょ』　と言われる事が判っていたから、病院宛　患者の気分の良い時に渡すようにと見舞いの文言をファックスで送った。折り返し意外な事に病院から返事が来た。『本来病院は患者を治療するところです。お見舞いの方は、病院側が施す治療にだけに限定するとマイナス要因と本音チラリと書いて、お心遣いを感謝いたします。という内容だった。

　退院後　本人が届いたファックスのお礼にやって来た。何度も読み返して嬉しかったと　柄に無く殊勝な挨拶に先が短いのかと心配したが未だに元気にしている。毒舌は影を潜め仏の様になつた外面(そとづら)と　家族の大変とは反比例しているに違いないと柳居子睨んでいる。

柳居子花徒然

Rose(イントウーリーグ)