なまず的日常見聞録

朝いち浦添まで自転車で向かう。今日の予定としては、当初、浦添美術館での「ねこ展」で岩合光昭氏のトークを聞いて展示鑑賞→昼食後に「ハクソー・リッジ」前田高地を見物→まじゅんランドのトレーニングルームで運動→てだこまつり見物で飲み食いして、一応花火まで見て「シャーロック」の時間までには帰還、であった。日がな浦添で過ごすというこの予定は、脆くも午前中だけで暗礁に乗り上げた・・・

浦添美術館は長蛇の列が。「ねこ展」は先週始まったばかりで混雑はある程度は予想していたので朝いち来たわけだけど、まさかここまでとは。既に入場制限がかかっていて、11時のトークへの入場は厳しいだろうと言われ、この時点で僕は今日の見物は断念。行列に並ぶとか大嫌いだし、大体、浦添美術館ただでさえ、そう広いところじゃないから、そんな混雑の中で見物するのはゴメンだ。これは来月以降の少し落ち着いたところでまた来るよりあるまい。前売券買ってあるからね。

というわけで、予定を変更してハクソー・リッジの方だ。今日も暑い日だけど、まだ午前中なので今のうちに歩いておく方が正解だろうし。ハクソーこと前田高地は浦添ようどれの先にあるはず。ようどれそのものは以前も訪ねたことはあるけれど、その時点では前田高地の存在は認識していなかった。今や、ようどれの資料館前にはでかでかと映画のポスターが掲げられ、ガイドツアーも催されている。

まずはようどれへ行く。少し行くと礼拝所があってそれで終わり。沖縄の城らしく破壊された後に復元されたものだから、整い過ぎていて今ひとつというパターンだ。で、前田高地はどっち？ようどれの下の方はきれいに芝が刈られ、地元の人のお散歩コースになってる。高地だから当然丘の上の方だよなと方向転換。

映画の影響でアメリカンの来訪多し。伊波普猷の墓を過ぎて、少し行った展望台のある場所が前田高地。今は「ハクソー・リッジ」として新しい案内板が建てられている。家族連れアメリカンがブラーブラーとはしゃいでいる。彼らのちょいとしたハイキングコースとして定着していきそうな雰囲気だ。見下ろすとお墓ばかり。勿論、ウチナンチュのだが、これは戦没者というわけではなく、跡地が墓地になっているということだ。跡地利用としてはふさわしいかも知れない。

前田高地平和の碑はちゃんとあって、これは前にも訪ねていると思う。そして、戦時に使用されたガマが数ヶ所残っている。もっとも、どこも崩落の危険があるということで中に入れるわけではない。おっかないからあまり入りたいとも思わないけど。クチグアーガマとかいくつか案内板がある一方、何も案内がないガマが一つあって、これは入ろうと思えば入れる。今でも人骨が出てきそうで怖い。映画を観て訪れたアメリカンたちはここいらまで見るのだろうか？

映画で描かれていたような急斜面は今は面影をとどめず、むしろ、周辺の、日本兵や沖縄の民衆が籠もったのであろうガマの存在の方が気になる場所だ。そう、ここは激戦地であるが、何よりも沖縄戦の記憶を残す場所。孤軍奮闘で負傷兵を救った奇特な人物の功績は否定しないが、彼を称える場所ってわけではない。

映画の主人公ドスの碑をここに建てるというような話が出ているそうだ。こういう時にアメリカンは異様に力を発揮するというか押しが強いから、また一方で浦添市も観光客増えそうだからと安易にOKしちゃいそう。勿論、市や県がその費用を出すなんてのは論外で、アメリカンが募金でもして費用を工面するなら勝手か。でも、それにしても、この場所はそれだけで語られる場所ではないのだ。反対はしづらい雰囲気あるだろうけど、反対して然るべき案件であろう。

伊江島のアーニー・パイルの碑のようなものだろう。あれは誰が金出したのか知らないけど、アメリカンにとっての偉人もウチナンチュにとっては、多くの戦没者に対してアメリカ側の犠牲者の一人ということに過ぎない。劇場に名を冠してもらったってピンと来やしないのだ（アーニー・パイル劇場があったのは沖映通りだっけ？）。とにかく、ハクソー・リッジはあくまで前田高地なんであって。当初は、映画の配給会社のアホな宣伝に対して、浦添市はキチンと史実を伝えようとサイトを作ったりしていてがんばっているなと思っていたけど、今となっては、ちょっと映画に乗り過ぎているような気がしてきたのだ。

汗ぐっしょりで丘を降り、昼食どころを探すが周囲はどこも混み合っている。美術館に併設されたカフェなんかも満杯。仕方なく自転車で浦添市内に移動するが、そうなるともう戻るのは難儀だ。58号線まで出ちゃったしね。既に汗かいたから運動するのも何だし。大体、まじゅんランドはてだこまつり期間中休館で、体育館のトレーニングルームは開いてたけど市外の利用者は260円になるからこれもいいかなあと。なわけで、てだこまつりすらもスルーして前田高地見物だけでお部屋に戻りました。花火と上間綾乃は少し見たかったかも・・・