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カテゴリ:読書
県立図書館が再開して、これまで借りていた4冊を返し、新たに3冊借りてきた。ちょっと分量のあるものばかり借りてきて、果たして期限内に読み終えるかは怪しいけれど、3冊の中で一番手頃なものから読み始める。それは、「フィリピン史」(守川正道著 '78 同朋舎)だ。
セブ島行きの前にフィリピンの歴史をおさらいしておこうというところだ。これが案外少なくて、那覇市立の方には、そういう類の本がなかった。県立の方でも、これと、後は岩波書店から出ている「日本占領下のフィリピン」があったくらい。著者の守川という人についても、あまり情報はないが、出版社は学術書を主に発行していて、現在も健在のようだ。 守川という人は過去に「黒人闘争の歴史」とか「サッコとバンゼッティ事件」といった著書があるので、その傾向はわかる。この本も、抑圧されてきた歴史を持つ、フィリピンの民衆に寄り添った内容、筆致ではある。何せ、フィリピン、幸か不幸か、国名もスペインの王フェリペに由来するものなのだから。 いわゆる大航海時代に、あちこちで登場するマゼラン、レイテ島に到着した後、セブ島に移り、セブ王への服従とイスラム教からのカトリックへの改宗を迫るようになる。当然、住民の反発をくらい、マクタン島の王ラプラプとの戦いで戦死する。ラプラプはセブの英雄、いや、フィリピンの英雄となっている。 しかし、セブの地名にもなっているレガスピによって、マニラが征服される。スペインの植民地の時代が続いた後、次はイギリスが進出、更に、スペインとの戦争に勝利したアメリカの傘下になっていく。そこで、独立を宣言するも、事実上はアメリカの統治下であった。反発したフィリピン人が蜂起してアメリカとの戦争が始まる。ここで、アギナルド初代大統領を捕らえたのがアーサー・マッカーサー、あのダグラスの父だ。後には、息子の方もフィリピンにやってくるのだが。 そのダグラス・マッカーサーは、第二次大戦化に日本がフィリピンに攻めてくると、フィリピンを見捨てるような形で逃れ、フィリピンは日本の軍政の支配下に置かれる。しかし、アメリカもそのまま黙ってはおらず、フィリピン奪還を仕掛け、日本との間で住民を巻き込んだ戦闘を行う。沖縄戦に匹敵、それ以上かも知れない地上戦により、フィリピン住民は多大な被害を被った。そして、アメリカ傘下で基地も残された。ここいらは沖縄の歴史にも非常に通じるものがある。スペインの世からイギリス世、アメリカ世から日本の世、そしてまたアメリカ世・・・ この本で書かれている歴史は1960年代までだ。“フィリピン人民はどこへ行くのだろうか”と締め括られるように、米軍が撤退する1990年代までは、真の独立を果たしたとは言えない状態が厚づいた。その後も、マルコスの独裁政治が続き、後の大統領もエストラーダだのドゥテルテだのといったトランプチックな人が務め、現在は、独裁者だったマルコスの、まさにぼんぼんだった、ボンボン・マルコスと。いやあ、独立が果たされても民衆の苦労は絶えないのではないのかな。ここいらのフィリピンの、特に政治面については、まだまだわからないことが多い。沖縄の図書館には、そこらの蔵書が乏しいので、これはまた、移ってから改めて・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年03月11日 22時51分20秒
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