再現答案-III IV-
【事例III】第1問販売面では、多様な販売形態の多数の販売先に直接販売していることで安定的な売上高を確保している。生産面では、塗料や接着剤に有害物質が含まれていない高付加価値で消費者ニーズにマッチした製品を提供し、安定的な売上高を確保しているためである。販売面・生産面で切り分けているのは良いと思います。比較的好調である業態に直接販売を行っている点まで踏み込んでも良かったかもしれません。第2文は点数が入る可能性は高いと思われます。第2問(1)営業部門との情報交換が行われないため精度の高い販売予測や生産計画が行えないこと。生産ロットサイズを部品加工工程1日あたり可能数量で決定していることで、過大な製品在庫と製品の欠品が生じている。ロットサイズが販売予測を踏まえたものではないことで在庫が過多になっていること、生産計画の変更がタイムリーに行われておらず欠品を招く製品があること、がポイントでしょう。概ねそのような趣旨で書かれていますね。(2)まず、段取り作業を外段取り化やシングル段取り化することで段取り作業回数を減らし稼働率を向上する。次に、生産ロットサイズを月販売予測数に基づき決定する。さらに、部品切断加工以外の工程でも作業指示を行うことでリードタイムの短縮を図る。(1)の裏返しで考えると良いと思います。段取り作業の効率化で大ロット生産をしなくても済むように効率化を図ること、情報交換により生産計画変更をタイムリーに行い、作業指示を行って生産の統制を図っていくこと、でしょうね。大きくは外していないんじゃないでしょうか。第3問(1)販売面では、独自の販売活動が不要となり、安定した売上げが確保できる。生産面では、先方から製品アイデアの提供を受けるので、独自の製品開発が不要であることである。販売面:第1問にあるように「C社は安定的な業績を維持」しているので、さらに安定するはずですね。生産面:現在、営業担当者が小売店から消費者の要望を汲み上げ、開発や設計部門に提案しています。さらにOEMの取引先から製品アイデアがもたらされるので、製品開発力の向上が期待できるでしょう。「不要」と言い切ってしまった点がどう評価されるか、がこの解答に点が入るか否かのポイントのように感じます。(2)受注生産で一括納品するため短納期化が課題である。対応策として、情報システムを活用した管理体制を構築すべきである。営業部門の受注情報、製造部門の生産計画、進捗情報、余力情報、現品情報を一元的に管理し、常時アクセス可能とすることである。第4問と解答が一部重複している点がどう出るか、ですね。設問1の解答の裏返しで考えると書きやすかったんじゃないでしょうか。販売面で言うと一社依存体制によるリスク、生産面で言うと情報の錯綜、混乱によりニーズに合わない製品が今以上に生産される可能性、といった点です。もっとも短納期化も大外しはしていないとは思いますが。第4問見込生産は、需要予測や生産計画情報を重視し、精度向上が管理ポイントである。受注生産は、余力、現物、進捗情報を重視し、リアルタイムに管理することがポイントである。題意に沿って丁寧に解答されています。 【事例IV】第1問(a) 売上高対総利益率 (b) 25.08%(c) 原因は、国内大手のY社の有名ブランド品のOEM生産や、自社ブランドの販売・海外輸出により、売上高が多いためである。(a) 有形固定資産回転率 (b) 2.62回(c) 原因は、計画性の乏しい本社の拡張を行い、有形固定資産が増大したためである。(a) 自己資本比率 (b) 25.56%(c) 原因は、設備投資用資金を長期借入金に依存しているためである。挙げた指標はともかく、原因については、与件を活用したいところです。また長所・短所の判断基準として同業他社との比較を記述させたい問題だと感じました。第2問(1) 5.34%(2)本社の売却により税引前自己資本利益率の期待値は12.21%と改善するが、バラツキを示す標準偏差に変化はないので、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキに変化はない。第3問(1)(a) 5,105百万円 (b) -330百万円(2)(a) 4,472百万円(b)営業レバレッジは本社を売却しなかった場合-19.23倍であるのに対し、売却した場合は34.34倍となり改善する。これにより、売上高の増加が営業利益の増加に直結しやすい影響がある。第4問(1) 1,000万円(2)(a)ドルのプットオプションを購入し、決済時為替レートが100円未満の場合行使し、100円超の場合は行使しない。(b)長所は、決算時の為替レートにより権利行使の可否を決定でき、為替予約よりも柔軟性がある点である。短所は、プレミアムという手数料が必要な点と、取引相手が見つからない場合には取引が成立しない点である。第2~第4問は難易度が高いので、文章問題は、一般論で逃げるべきでしょう。数値で答えさせる問題は逃げようがありません。文章で答えさせる問題に数値を盛り込んでいますが、この数値があっているかどうかが大きなポイントだと思います。